表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王太子殿下(攻略対象)は、溺愛がうんざりなので、今度こそ本格ファンタジーを目指します !?  作者: 戸埜前 遥宇
第3章 システムの裏側 ~ファンタジーなのに、SFってアリですかっ?
68/101

第3章 16_ミニミニ大逆襲

 そんな風に、俺等がアホな会話をしていると、不意に、絶命したはずのガチむち巨人の体、首断面から、何か()()()()()が、


 モゾモゾモゾモゾ……


 と、這い出してきた。


 この位置と距離で()()が見えるってことは、チワワくらいの大きさだろうか。


 俺は不思議に思って、()()を目で追っていると、()()は、


 ぴょんっ


 と、仰向けに倒れた巨人の胸部に跳び乗った。


 傍目には、棒が突き刺さった円柱に、色違いの2本の線が生えたみたいな頭部、人形みたいな細っこい体。ちっちゃい黒い箱状のリュックっぽいのを背負い、そこに頭から伸びた2本の線が繋がっている。


 なんだか、ものすごく直近で見た覚えのあるフォルム。

 子供のラクガキみたいなミニミニなヤツ。


「……!」


 その正体が明らかになって、俺は愕然とした。


(あれって、まさか、部品(パーツ)ならぬ駆動機(モーター)コビトっ!?)


 形状からして、もうミニマルな部品じゃなくて、立派な複合体だ。


 しかも、複合体なだけあって、今まで見たどの部品(パーツ)コビトより、一回り大きい。

 あの線がコードだとしたら、あの背中にしょってる黒いのって、もしや、アイツ専用の蓄電池(バッテリー)


 その上、駆動機(モーター)コビトは、その小さな首に、ミニミニな()()()()()を掛けていた。


 まもなく、駆動機(モーター)コビトは、ミニミニな軍隊ラッパを(くわ)える。というか、絵(ヅラ)的には、そのシャフトにラッパが接続(ドッキング)している状態だ。


 駆動機(モーター)コビトは、そのまま、意気揚々と、自分の頭部に備わる部品(パーツ)を、


 プイーンッ


 と、回す。

 いや、俺の目には判別つきにくいんだけど。音がするので、たぶん、回ってる。


 その動力か、もしくは、内臓プロペラみたいなので、ラッパに風が送られたからだろうか。


 ♪パパパッ、パパパッ、パラパッパパー、パパラパッパッパッパー、

 パパ、ラッパ、ラッパ、ラパラ、パッパラ、パパラッパパッラッパーッ!!


 なんて、器用に、軽快なリズムの号令音(?)を吹いてみせたんだ。


 ほどなく、この部屋の扉があった方角から、

(この時には、バトルの巻き添えで、もうブッ壊れて、マーブルキラキラになってたんだが)


 ザッザッザッザッ……


 と、物凄い数の足音が聞こえてきた。


 何かと思えば、それらは部品(パーツ)コビトの大軍で、ヤツらは、完全に出陣するっぽい隊列を組んで、ぞろぞろ、こちらに歩いて来ていた。


「うわっ! 何だよっ、あのチビっこいのっ。キモッ!!」


 レオナールも、悪寒を感じたのか、我が身を抱いて、ブルッと竦み上がった。


(だよなー。アイツら、ガチむちサイコロ巨人とは、また違う意味で恐いよな。つか、そもそも、アイツら、クソみてえに多過ぎんだよっ!)


 俺は苦笑いをしたが、ハッとする。


(まさか、俺等、今度は、あの大軍と戦うワケっ!?)


 なんて、ゾッとしていたら、部品(パーツ)コビトらは、ガチむちサイコロ巨人の分離した箱頭の周囲をずらっと取り囲んだ。


 それを認めた駆動機(モーター)コビトは、隊員(?)な部品(パーツ)コビトらに指示しやすい立ち位置へ、ぴょんっ、とジャンプ移動した。


 駆動機(モーター)コビトは、再び、高らかにラッパを吹いた。


 ♪パッパパ、ラッパ、パッララッパッパッ、

 パッラパッ、パッラパッ、パラパラパー!!


 すると、部品(パーツ)コビトの何人かが、あの箱頭を、うんしょ、うんしょと押し始めた。完全に、運動会の大玉転がしみたいな絵(ヅラ)だ。


 箱頭は、まったくサイコロのように転がって、あっという間に、その向きが天地逆転に、顔が「▽〇〇」に換わる。その上、それは、本当に箱らしく、首側だった方が、ぽっかり空いていた。


(は!? (なん)っ、あの穴ッ)


 罷り間違っても、俺の光魔法で空いた穴じゃない。


 おそらくは、元から、あの穴で箱頭が首にドッキングしていたというか、挿入口みたいな? ちょうど、着ぐるみの頭部と同じ構造というべきか。


(……え。着ぐるみ?)


 俺はなんとなく嫌な予感がした。


 駆動機(モーター)コビトは、また、ラッパを吹いた。


 ♪パッパ、ラッパ、パッパラーッ、パッパ、ラッパ、パッパラーッ!!


 今度は、一際、強く、勇ましく。


 すると、箱頭を取り囲んでいた部品(パーツ)コビトどもが、キャーキャー騒ぎながら、


 ぴょいっ、ぴょいっ、ぴょいっ――


 と、次々箱の中に飛び込んでいく。


 部品(パーツ)コビトが1匹ダイブするたび、箱は、パアアとまばゆい光を放ち、どこからか重油っぽい臭気が湧いて、怪しいマーブルキラキラな煙が辺りに立ち籠める。


 その煙に誘われたのか。もしくは、駆動機(モーター)コビトのラッパに反応したのか。


 倒れていたはずのガチむち巨人の体が、


 ぬぼーっ


 と、その場に立ち上がっていた。


「え」


 俺は、恐ろしいことに気づいてしまった。


(あの『〇〇△』……実は、目と口じゃなくて、〇が部品(パーツ)コビトで、▽が矢印なんじゃあ……??)


 つまり、上向き三角が「OUT」で、下向き三角が「IN」。

 ――と、いう意味ならば。


部品(パーツ)コビトとガチむちサイコロ巨人って、実は()()()()()、完全体……?)


 やがて、すべての部品(パーツ)コビトが箱の中に吸い込まれると、駆動機(モーター)コビトがテケテケと箱まで歩いてくる。


 ()()を、ひょいっと持ち上げ、あの巨人ばりに、ぐぐぅっ、とカエル座りし、その脚のバネを力に、


 びよーーーーんっ!


 と、高く跳び上がった。


(マジか! って、コトは、あの巨人――、あれで1個の生命体じゃなく、実は、()()()()()()的なヤツで、あの駆動機(モーター)コビトが操縦してたのかっ!?)


 その予想は、どうやら間違っていなかったらしい。


 部品(パーツ)コビトらを無限に呑み込んだ箱を担いだ駆動機(モーター)コビトは、しゅたっと、首無し巨体に降り立った。


 パアア――――!


 首断面が光るのと共に、駆動機(モーター)コビトは、


 ずぶずぶずぶずぶ


 と、中に沈んでいった。

 そのコビトの姿も箱もまるっとガチムチ巨体に這入(はい)り込むと、


 カッ!


 と、凄まじい閃光が戦闘空間(バトル・フィールド)を駆け巡った。


「うわっ!」

「まぶし……ッ!!」


 俺とレオナールは、思わず怯んで、一時的に盲目(めくら)みたいになる。


 果たして、目を開けた時には。


「マジかよ……」


 レオナールは戦慄したようにつぶやいた。


 俺もゴクリと息を呑み、全身が恐怖で震えるのを()して言った。


首無し騎士(デュラハン)ッ!」


 そこには、もう、ガチむちサイコロ巨人でもなければ、部品(パーツ)コビトでもない。


 なんとも()()()()()な雰囲気漂う、首が無い、巨大な甲冑騎士が、俺等の前に立ち塞がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ