表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王太子殿下(攻略対象)は、溺愛がうんざりなので、今度こそ本格ファンタジーを目指します !?  作者: 戸埜前 遥宇
第2章 陽はまた昇る ~サブカル定番、2周目始まりました!?
41/42

第2章 14_偶然か、必然か

(なんつー偶然だ。もはや、嫌な予感しかしねェ)


 軽くピリとした頭痛を覚え、俺はこめかみを指で押さえながら、溜息をつく。


 そういや、ニルスは王太子(おれ)の従僕っつっても、ずっと俺と一緒にいる訳じゃねーもんな。同級生でも、あくまでも、使用人の延長みたいなもんだから、一定の身分以上じゃないと出入りできないところは、俺から離れていることもあったんだ。


 しかして、紳士会の方は、基本的には、身分制限のない男子生徒オンリーのサロンだ。平民で2等枠のニルスでも普通に入ることが出来る。


 ただし、その入会システムは、京都の「一見(いちげん)さんお断り」に似ている。

 つまりは、既に、会員になっている人からの紹介がないと入れない訳だが。

 

 だから、俺なんか、むしろ入りたくなかったから、ガン無視してたのに。

 したら、なんか向こうから勝手に声掛けてきたんだ。俺が王太子だから。


 それで、俺が公務と生徒会で忙しいのを理由に断ったら、「じゃあ、モラン君だけでも」って、あっちに押し切られちゃったっつーか。


 だって、ニルスは、仮に王太子(おれ)にくっついてても、生徒会のメンバーにはなれないから。連中に「殿下が生徒会(あちら)にいらっしゃる時は、君、手持無沙汰だろ?」って言われて、反論できなかったんだ。


「でも、よくそれだけの聞き込みできたね。そいつ、紳士会でも相当な嫌われ者だったんでしょ? なんか、変な目で見られたり、悪口とか嫌がらせとかされなかった??」


 俺が案じるように尋ねると、


「あ。それは無いです!」

 と、ニルスは、にぱっと笑った。


「ぼく、お偉方(えらがた)の反応と対処法は、散々心得てますし。王子の乳兄弟で従僕だから、むしろ、引く手数多に声かけられましたよ。たぶん、みんな、王子と太い繋がり持ちたいんでしょうね。その方が、将来的に出世できるかもしれない訳ですから」


「そ、そっか……」

 俺は、ほっとしたものの、逆にニルスが、紳士会の連中に変なお願い事されてないか、心配になってしまった。


(けど、攻略対象者(ヒーロー)なら、1周目(まえ)の時もいたはずだよな? なのに、2周目(こんかい)は、学年1位とか。なんで、急激に存在感が出てきてんだ??)


 俺は、眉を(しか)め、腕を組み、「うーん……」と考える。


 このループで、もし、ストーリーに大幅改変があるなら、その原因は、色々な可能性が考えられる。


 それは、まず、メインヒーローなリシャール(おれ)が、ヒロイン(アンジェル)()()と結ばれるかもしれないこと。


 俺は、じっと右手薬指に嵌まった黒色(こくしょく)銅金斑(どうきんまだら)の指輪を見る。


(この【混沌の盟約(カオス・パクトゥム)】が、どこまで影響するのか、未知数だけれど)


 今はまったく光っていないので、たぶん、機能してない。


 でも、【プロコピオスの鏡】で明らかになったリシャール(おれ)の現在ステータスからして、この指輪が【ループでペナルティ】を引き起こしてるのは、まず間違いないだろう。


 なんだかんだ1周目(まえ)はあった「っぽい」転生ボーナスのチート補正が無くなるのは、ちとツラいけど。(シナリオ・リシャールきた時にはよく発動してた)


 でもでも、俺は、ぶっちゃけ、()()()()ぶった肉食ヒロイン(アンジェル)より、ピュアなユノのがイイっていうか。(あのコ、恋愛わかってなさそーだけど)

 

 とかって、やっぱ前世のマサト(おれ)青春(アオハル)謳歌できなかったし、今世の1周目(まえ)だって散々だったから、2周目(こんど)こそは、俺、「もっとフツーにアオハルしたい!」っつーか。で、オマケにシナリオから解放されるなら、Win-Winで、ダブルにOKだよな? ってカンジ??


 けれど、ここへ来て、1周目(まえ)には、ほぼほぼ絡んでこなかった、他の攻略対象者(ヒーロー)が急に出てくるとなると――。


(あの入学式の日、またリシャール(おれ)・ルートになったと思ったんだけど。もしかしたら、俺の知らんところで、今度は、他の攻略対象者(ヒーロー)・ルートとかになってるのか……?)


 それが、(くだん)のレオナールになるかどうかは分からない。

 そして、なんか、ちょっとモヤるというか、寂しいものもあるけれど。


 とはいえ、ヒロイン(アンジェル)リシャール(おれ)以外と結ばれるなら、俺は、もう、シナリオ・スイッチに怯えなくて良い訳で。


(……いや。逆ハーなら、リシャール(おれ)とレオナール()()って可能性もあんのか。それはそれでなんか()だな。システムの所為だとしても、攻略対象者(ヒーロー)目線なら、ヒロイン(あのコ)、ただのビッチ以外の何者でもないし)


 ただ、リシャール(おれ)以外のルートだと、100(パー)悪役令嬢(マリエッタ)が殺害なり事故死なりで死亡してしまう。


 幼馴染みとしては、やっぱ放っておけないし、同じ()()()()()()()として、見て見ぬフリすんのは、同情心が半端ねェ。だから、そこは婚約者で王太子の俺が逐一気にかけて、回避策を模索してあげないと、流石に不憫すぎるよな……。


 しかして、その時――。


 ゴンッ!!


「ア(イタ)ッ!?」


 ベンチに座る俺の眼前に立っていたニルスの目から、イキナリ()が飛び出した。――もとい、何か()()()()()が、ものすんげー勢いで空から降ってきて、ニルスの()()()()()()()


「ニルスッ!?」


「お……、おーぅじィーっ……ぼくっ、なんだかっ、目が、チカチカ…………っ」

 言いかけて、ニルスは、たちまち、バタンきゅー、と倒れた。


「うわっ!?」


 俺は蒼褪めてベンチから立ち上がる。


 まもなく、気絶するニルスの頭には、なんか、めっちゃ漫画みたいな赤い()()()()がぷうっと膨らんだ。


(いや、ナニコレ。デカすぎんだろ。ガチ頭だし、ちょっとヤバくない!?)


「だ、大丈夫かっ! すぐに回復を……っ」

 俺は、倒れるニルスの傍らに腰を下ろして、フォォと、治癒魔法をかける。


 ほどなくして、


「ごっめーんっ! ごめんっ!! こっちにボール飛んで来なかったァーっ?」

 と、1人の男子学生が駆けて来た。


「え」

 俺は目を剥いた。


 走ってきたのは、めっちゃラフに制服を着崩して、木製バットを片手に持った、赤ツンツン頭。


 同級生? いやいや、上級生??


 どっちか分からんが、その身なりとか、橄欖石(ペリドット)な三白眼とか、がっつりイキッてる風だし、まじガラ悪そう。


「……ボール?」


 俺は眉をひそめて、きょろきょろと辺りを見回すと、ニルスに直撃した飛来物は、確かに小さなボールだった。しかも、前世日本人な俺には、ずいぶん見慣れたタイプのボール。


(マジか――)


 バット持ってたから、そんな気はしたけど。


 それは、どこからどう見ても、典型的な()()()()のボールだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ