表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王太子殿下(攻略対象)は、溺愛がうんざりなので、今度こそ本格ファンタジーを目指します !?  作者: 戸埜前 遥宇
第2章 陽はまた昇る ~サブカル定番、2周目始まりました!?
35/41

第2章 08_なんで、こんなとこにヒロインが??

「あ……あのっ、……も、申し訳、ありません……。わたし……っ」


 カアアッと赤面して、ヒロイン(アンジェル)はモジモジと唇を押さえ、下を向く。


(え? どゆこと?? なんで、君、学園(ここ)にいるの。で。なんで、攻略対象者(おれ)と出くわしてるの。君、入学してくるの、1ヶ月後のはずじゃんっ……)


 俺は激しくパニクりながらも、じじぃっとヒロイン(アンジェル)を見返す。

 すると、アンジェルは、学園の制服でなく、無地の簡素なバッスルコートを着ていた。どう見ても私服っぽい。


 ただ、衣装の感じから、それはまだ真新しさが残っていて、シンプルながらも、その生地は1級品の絹に見えた。

 こんなの、およそ平民が身に着けられる代物じゃない。


(サヴァティエ伯爵が用意したヤツ? それより、ここにいる()()()よ!!)


 なんて、誰に尋ねるでもなく、1人で悶々(もんもん)としていると、急に、俺も、

 

 ピキピキーンッ!!!


 と、全身が硬直して、即座にフッと意識が飛んだ。


(ヤバいっ、シナリオ・リシャールくるっ……!!)


 すると、リシャール(おれ)は、今にも泣きそうなヒロイン(アンジェル)の頬をそっと撫で、クス、と儚げに苦笑した。


S・R(シナリオ・リシャール):

「いや。君が無事ならいいんだ。僕は男だからね。かよわいご令嬢(マドモワゼル)を守るのは、僕の義務だから。本当に、どこも怪我が無くて良かった」


 なんか、言葉はまともなのに、めっちゃ()()()で言ってる。

 今朝、婚約者である悪役令嬢(マリエッタ)のことは、冷淡に突き飛ばしたのに。


 そして、ヒロイン(アンジェル)も、きゅきゅぅーんっ♡ とキたみたいに、王太子(おれ)に熱っぽい眼差しを向けてくる。


 そこへ、慌てふためくニルスも駆けつける。

「大丈夫ですかっ! 王子……っ」


(いや、ニルス、来るの、遅っ!)


「わっ! 大変だっ。保健室(アンフィルムリ)の先生、呼んできましょうかっ??)

 心配そうにニルスは言うけれど。


 いや、おまえ、()()()ガッツリ()()()にしてるヒロイン(アンジェル)のことはツッコまんの?


S・R(シナリオ・リシャール):

「落ち着きたまえ、ニルス。僕は大丈夫だよ」

 飄々(ひょうひょう)一蹴(いっしゅう)するリシャール(おれ)の澄まし顔を、


 ヒロイン(アンジェル)はギョッと二度見して、


「……えっ? お、王子……様……??」

 と、真赤になりながら、さらに、わたわたと動揺し始めた。


 そりゃ、1国の王太子、思いっきり緩衝材(クッション)にしたら、そうなるの分かるけどさ。


「し、失礼いたしましたっ! あの……っ、わたし……っ!!」

 ヒロイン(アンジェル)はバッと慌てて立ち上がり、ペコペコと俺に向かって平謝りする。


 リシャール(おれ)はすっくと立ち上がり、穏やかに苦笑して、パンパンッと制服の埃を払った。


S・R(シナリオ・リシャール):

「構わないよ。だって、僕がそうしたかったんだから」


 なんか見るからにキラーンッって感じのドヤ顔。


 まもなく、リシャール(おれ)は、おもむろにヒロイン(アンジェル)の耳元に唇を寄せると、


S・R(シナリオ・リシャール):

「……それより、ごめんね? 僕、君の()()()()()、奪ってしまったよね??」


 と、敢えて()()()()()を強調する。


(それ、言わんでいいヤツ!)

 天の声な俺はツッコんだが、


 ヒロイン(アンジェル)は、ボッと顔から火を噴いて、


「あ……。えっと……」

 と、うつむき、モジモジしていた。


S・R(シナリオ・リシャール):

「僕も、()()()だったから、驚いてしまったけれど。でも、なんだか、すごく――胸が高鳴った。()()を感じてしまったんだ。君のような愛らしく素敵な女の子(マドモワゼル)なら、もっと、きちんとした出逢いをしたかったな」


 なんて、さらっと一目惚れ(?)&初キッスをカミング・アウトしてる。


(つーか、リシャール(おまえ)、婚約者いるじゃん! こんなの浮気じゃんっ。

王太子としての自覚ないんかよっ……)

 いきなりハンターに変貌するリシャール(おれ)に、天の声な俺はドン引きした。


 しかして、ヒロイン(アンジェル)もまた、ポポポッとますますウブな顔で照れちゃって、


「そ、そんなっ……。わたしの方こそ! よもや尊い貴方様のような御方にっ。こ、光栄ですっ……!?」


 って、声を大にしていた。

 途端に、天の声な俺はガガンッとなった。


(イヤ、語尾オカシイ! そんなん言ったら、リシャール(あいつ)調子こくじゃんっ!!)


 そうして、オソロシイことに、再び、リシャール(おれ)・ルート開始の鐘(いや、むしろ()()()かも?)が、どこかでリーンゴーンッと鳴った気がした。


2周目(こんど)こそ関わりたくなかったのに!)


 思うや、リシャール(おれ)は、フフフッと悪戯(イタズラ)っぽく微笑んで、余裕綽々(しゃくしゃく)に、ヒロイン(アンジェル)からそっと離れた。


S・R(シナリオ・リシャール):

「――君も学園(ここ)の生徒なの?」


 (まぶた)を伏せて、ふぁさっと髪を掻き上げ、リシャール(おれ)は問う。

 たちまち、流れるサラサラ金髪が陽光に映え、如何にも、少女漫画でヒロインが()()()()()()()()()っぽかった。


 だからこそ、むしろ、天の声な俺の方が照れてしまう。

(うわーんっ。やめてよ! ソレッ! 

『俺』らしくなくて、めっちゃ恥ズいから~っ……!!)


 かたや、ヒロイン(アンジェル)は、ギクッと(おそ)(おのの)いていた。

「あ、えっと……。その……」


S・R(シナリオ・リシャール):

「――うん?」

 リシャール(おれ)はちょっと小首を傾げ、


S・R(シナリオ・リシャール):

「僕等、今日が入学式だったんだ。でも、おかしいな。式に、君の姿は無かったようだけれど――?」

 と、とぼけた風に、ヒロイン(アンジェル)に探りを入れる。


「ですから、その……。わ、わたし……っ、にゅ、()()()()でっ……」


S・R(シナリオ・リシャール):

「……入学試験?」


 怪訝に訊き返すリシャール(おれ)に、ヒロイン(アンジェル)は、「あっ」と両手で口元を覆って、目をつむり、ビクビクと震える。

 もはや、その緊張も頂点に達しているらしかった。


 それに、ニルスも「ああっ!」と(かみなり)撃たれたように声を上げる。

「そういえば、この間、噂になってましたっ! とうとう【聖女様】が現れたって……!!」


S・R(シナリオ・リシャール):

「セイジョ??」


 リシャール(おれ)が眉をひそめると、ニルスは興奮した眼差しで「はい!」と頷いた。


「その子は15歳のお誕生日に天啓を受けたものの、平民だったので、その御身をお護りするには、確固たる後ろ盾が必要だ、って。故郷の領主である伯爵様のご養女になったらしいんです。でも、それらの手続きをすべて終えるには少々お時間を要するので、時期的に、入学式には間に合いそうもないって……」


 ドキドキと少し舞い上がった風に語るニルスに、リシャール(おれ)は、一瞬きょとんとしたものの、すぐに、ちろっとヒロイン(アンジェル)を見つめた。


S・R(シナリオ・リシャール):

「……そうなの?」

 うっすら顔を覗き込むような感じで、ほのかに案じる面持ちでリシャール(おれ)ヒロイン(アンジェル)に尋ねる。(なんか、ちょっとアザトい……)


 ヒロイン(アンジェル)は、またカアアッとなって、


「はい……」

 と頷きながら、おずおずと答えた。


「でも、わたし……、まだ、信じられなくて。ほ、本当は……自信もないんです。ですから、今日、試験を。この国のために、わたしなんかでお役に立てるなら、って……。とても、誇らしくはあるんですけれど……。ただ()()()()で、便宜を図って頂けるのは、なんだか()()()()()……っ」


 奥ゆかしい言い分だけれど。

 これ、たぶん、ゲーム(オリジナル)の設定から、そうなってるはずだよな?


 けど、ヒロイン(アンジェル)って、推薦入学じゃなかったんだ。俺、てっきり、このコも例外枠っぽい感じで、ニルスみたいに「面接だけ」で入学――――。


 天の声な俺は、「ん?」と、喉に小骨が引っ掛かったような感覚を覚えた。

(……いや、どうだっけ? 試験…….。あったよーな、なかったよーな……??)


 だって、今世のリシャール(おれ)は、ヒロイン(アンジェル)の事情なんか全く知らんけど、少なくとも、前世のマサト(おれ)は、()()()()()()()()、一応、ヒロインを操作したことあったんだから。

 

 とりあえず、【賢者の聖別】は、一定の生活水準もってる国民が、魔力の有無を測るためにやるヤツだから、学園の試験とは異なるし。


 王太子(おれ)だって、王族だけど、魔導学園の中等部に入る時には入試を受けた。でも、高等部は受けてない。中等部の方で、エスカレーター式にスライドするのに十分な単位、取ってたから。


(……どうしよう。なんか、わからんくなってきた)


 ただ、今、()()を気にしたところで、さして問題でもなかったので、


(ま、結局、入ってくんの5月なん変わらんなら、どっちでもいーか)

 と、一旦、思考停止した。


 そんな天の声な俺の戸惑いなんて、どこ吹く風か。シナリオ・リシャールは、


S・R(シナリオ・リシャール):

「じゃあ、これも何かの縁だし。この先、困ったことがあれば、遠慮なく()()言ってね。きっと、力になれると思うよ」


 と、ニコッと、まさに頼れる王子様な顔で告げた。


 すると、またまた、ヒロイン(アンジェル)は、王太子(おれ)に悩殺されたみたいに、ポッと赤くなる。恥じらいのあまり、やたら、おどおど、ソワソワ。


(いや、これはフツーに可愛いな)


 シナリオとか関係なく、リアルに()()なら、俺だって力になってあげたいけど。


(でも、この()1周目(まえ)はピュアなフリして、攻略対象者(おれ)にガッツいてたし)


 油断すると、またナナメ上な肉食モード改変くるかも。

(だって、現状、シナリオと1番結びつき濃ゆいの、ヒロインのこのコだよな?)


 つまりは、これら全部、ヒロインによる好感度アップの一環なんだと思えば。

 マジ、ノーサンキュー!(いや、我が国はフランス語だから、()()()()()()?)

 正直、マサト(おれ)的には、全力でヒロイン(このコ)から逃げたいっす!!


 でも、ニルスは「さすが王子!」って顔してるし、ヒロイン(アンジェル)もドキドキと王太子(おれ)を見つめてる。そうして、リシャール(おれ)は、ヒロイン(アンジェル)の桃髪を1房とると、そこに、ちゅ、とキスをした。


S・R(シナリオ・リシャール):

「これからよろしくね、【聖女様】?」


 パチリ♡ とウインクする。


 内心、俺はゾッとした。


(イヤァ――ッ、やめてェ――っ! そんなん、ヒロイン口説く気マンマンじゃんっ。俺、2周目まで、この()に攻略されたくねぇ――――ッッッ!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ