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シン・モンスター研究部

44話 シン・モンスター研究部


「まいったなぁ。今年でミステリー研は廃部だってさ」


 ボクは大田和進、大海田中一年B組。


 一年間楽しんだ「ミステリー研究部」が廃部と決まった。

 先輩の不祥事もあり、3年生が卒業後はボク一人とうこともあったし。


「なら、自分で新しい部活始めれば」


 と言ったのは幼なじみの今井ミカだ。

 ずいぶん簡単に言う。


「あたしも協力してあげるよ、一年間居た読書クラブに飽きたからさ。2年は別のクラブ入ろうと思ってたんだ」


「簡単に言うけど部員集めるの大変だぞ。まず同じミス研は難しい……。それに顧問の先生は来学期は居ない」

「前向きで行こうススム、あんた名前負けするよ」


 行動派の彼女は、なんと入学式が終わり一週間後には部員の既定数を集めていた。


 どうやって、集めたのかと聞くと。まず、部活内容考えたと、ミス研じゃなく「モンスター研究部」にし、活動内容は、ココ、大海田で二十数年前に起きたUFO怪獣事件を研究する部にしたと。


 「UFO怪獣事件」と言えばウチの父もあの真っ只中に居て体験した事件で、小さい時から、その話は何度も聞かされていた。


 この事件、実は大海田市の観光課のでっち上げとかも言われた、未だ未解決の事件だ。

 ボクもスゴく興味はある。


「部長はススムであたしが副部長。あとは顧問見つけて生徒会に申請。会長はあたしのアニキだから問題ないよ」


「顧問かぁ……ウチの担任の佐藤先生はどうだろう?」

「佐藤先生はバスケ部の顧問じやなかったっけ?」

「そうだけど、英語の内山先生は卓球部と英会話部をやってるし、松岡先生は剣道部と漫研。スポーツ部と文化部なら大丈夫なんじゃ?」


 ボクらは放課後に体育館に。


「顧問。ダメダメ。ウチは去年、県大会決勝で負けただろう、今年こそは優勝狙ってる。かけもちは出来ないな」


「名前だけで……」

「あ、オレそういう無責任なこと出来ないの悪いな。『モンスター研究部』か面白そうだな、オレもガキの頃にハマッたよ、モンスターゲーム」

「あっそういう部じやなくて」

「ああ、知ってるよ。あの事件だろ。オレさ、ガキだったけど、裸で戦う巨大なマリリンにときめいちゃたんだよ」


 先生は遠くを見る目で言った。コレはネバレばいけるかも。


「先生、お願いします。部員は揃って、あと顧問の先生だけなんです」


「そうだ。もう一人の佐藤先生なら、彼女はまだ来たばかりだから何処もやってないと思ったけど」


「ホラ、バスケの佐藤先生はだめだったでしょ」

「でも、先生が教えてくれたんだけど」

「もう一人の佐藤先生ってウチの副担任のでしょ。どうかなぁあの先生、あたし苦手なんだ」


 もう一人の佐藤先生は、ボクが一年の時に臨時教師で来て、次の年に正式に教師として赴任してきた先生だ。ミカが言うとおり彼女の2年A組の副担任だ。


 職員室に行くと。


「佐藤先生……女性の……どこかしら?」

「廊下の自販機の前で見たよ」


 言われた、旧校舎と新校舎の境にある廊下の自販機のところに行くと、赤いジャージ姿の先生がベンチに寝転んでいた。


「先生!」


 ミカの声に目を開けた佐藤先生が。


「甘い…ミカ……ン」

「違います先生、今井ミカです。甘いミカンじゃありません!」

「そうとも言う」

「言いません! あたし学級委員長なんですから憶えて下さい!」


 先生は起き上がり大きなあくびをすると、自販機にコインを入れバナナジュースのパックを買った。


「2年B組の大田和進です。新結成したモンスター研究部の顧問をお願いしに参りました」

「ススムマジメ……。オータワ、会ったけ?」


 先生はパックにストローを射し込んで聞いた。


「一年の時に授業で」

「そうだっけ? モンスター研究部……って何するの?」


 バナナジュースをすすりながら。


「昔、大海田で起きたUFO怪獣事件の研究をする部活です」

 

 先生はクセっ毛だろうモジャモジャ頭を片手でかきながら。


「それ、研究して楽しい?」

「ハイ、ボクは楽しいです」

「ミカンも?」

「あたしもまあ楽しい……けど、モンスターよりハムスターの方が好きかな」

「ハムスタァ……? わたしは何するの?」

「先生はべつにナニもしなくても」

「そうなんだ。グリュッウ!」


 先生は意味不明の言葉を言って親指を立てた。


「いいよ」

「ありがとうございます先生!」


               つづく

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