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叔父の手記 その2

43話 叔父の手記 その2


 ドーテーは日記を取りに三階へ行った。


「ごめんなさいね。バタバタして。私、ここに居てもいいかしら? 主人がしてる仕事、けっこう好きなんです。興味あって」


「ああそう言えば芸能界ではオカルトマニアで有名でしたよね」


「マニアってほどじゃ。ほぼキャラなのよね」

「はぁそうですか」


 キミさんが私の前のソファに座りコーヒーを口にした。しっかり自分の分も持ってきてあった。


 そこへ日記を持って降りてきたドーテーは、テーブルの上に日記を置いた。


 想像していたノートのようなものとはだいぶ違った。ノートと言うより本だ。それも分厚い百科事典みたいな。鍵が付いてた。

 なんだろう、この異様な感じは。


「キミさんも居ていいの?」

「私はべつに問題ない」


「まあそれなら……」

「それ日記なの? 鍵は?」


「とりあえず、警察はそう判断しているけど、雑記帳のようでもある。覚書ノートとか。鍵は執事が持ってた、部屋やクルマのキィの束に入ってたんだ。執事もはじめ、知らなかったそうだ」


「なんで日記と?」

「単純に日付とその日の事が書かれていたからさ。でもね、むちゃくちゃな書き方だ、順に並んでないし。思いついた事を日付を入れて書いているだけだから。警察では頭のおかしな男の手記と判断したらしい。コレを僕より詳しいオカルトマニアに見せたら、彼は、現代の『グリモワール』と言ってた」

「グリモワールって?」


 キミさんが。で、私が。


「簡単に言えば魔法書のことです。昔の魔術師たちが魔法を勉強した参考書みたいなものです」

「さすが霧島だ」


「なるほど……ごめんなさい続けて」


 私は日記を手にとった。なんだこの悪寒は。この本、いや日記は普通じゃないよ。


「わかった霧島? ものすごく嫌な感じしたでしょ」


 私はうなずいた。


「どんな感じ? 私にも触らせて」


 とキミさんは日記に手を置いた。


「キャツ!」


「どうした?」

「なんかびびって!」


 キミさん、ホントに霊感とか強いんだ。


 私は恐る恐る表紙を開いた。いきなり下手くそな落書きが、ん、ネネコと書いてある。ちょっとオタク風の女の子キャラだが、お世辞にもうまいとは言えない。叔父さんは絵が下手だったんだ。


 パラパラとめくってみると日本語の他にも英語やフランス語、ドイツ語など数カ国の字もある。


「ラテン語やアラビア語とかわかる?」


「いや、そっち方面は、ダメ。でも、この妙な図形や数字で、なんとなく『グリモワール』だといわれたのがわかるわ、この赤丸してある『賢者のいななき』ってなに?」


「目につくよねソレ。僕もオカルトマニアの知人に聞いたんだ。そいつは……」


 まとめると。本当のタイトルがわからないという珍本、奇書だそうだ。私は、はじめて聞く。

「賢者のいななき」


 あの有名なホラー作家ラブクラフトの小説に出てくる「ネクロノミコン」ではないかと噂もある本で、中世時代に出された「グリモワール」は不完全で本当に魔術が使えるものなどないそうだ。


 だが、この「賢者のいななき」はその不完全な「グリモワール」の取り除かれところを集めた書物だという。

 そのタイトルは賢者と呼ばれるほどの男が魔術に失敗しロバになって泣き叫んだところから付けられていると。

 まあ存在すら疑わしい偽書とも言われているらしい。


「僕が思うに、世界の何処か、日本でか知らないが、叔父はこの本を手に入れたのでないかと」

「その本は何処に?」

「残念ながら叔父の家からは見つからなかった。だけどその赤丸のあとから、『ゴモリの召喚』や『クラゲもどきの召喚』と怪しい文字が出てくる。僕はあの大竜巻、憶えてる?」


「マンションをキメラから守った竜巻?」


「そうアレ、アレも魔法で出した竜巻だと考えてる。あのマンションは市長の住まいだった。が、叔父の造った建物だ、あのへんぴ場所に建てたのには何かがあると思ってる。なんだろう結界とかナニかの封印かゲートとか。まだ研究中だ風水も考えられる」


「ここに書いてあるマスター・フランケンシュタインって、まさかあの」

「多分ドクター佐藤だと思う。マスターと書いてあるからにはドクターは叔父のマスター。師弟関係にあったのではないかと」


「ドクターのこと調べたの今日はその資料を」


 私はノートパソコンを起動させ、ドクターの資料をだした。


「日本に帰化したドクターの祖父はドイツ人で、彼の先祖は代々魔術師や錬金術師の家系で、先祖の誰かが人造人間を造ってもおかしくないわ」


「そうなんだ、しかしあれは小説。しかもモロ名前はそのままって」


「ドラキュラとかは変えてあるけど実在したモデルが、狼男だって伝説を使い書かれた。人造人間もありえなくない。モデルがいたのよ。フランケンシュタインも姓だし、インパクトがあるから使ったんじゃ。〇〇シュタインってけっこういるみたいだし」


 さつき私は見てないけどゴモリ召喚ってそれ。


「ねえ秘書の五森レイは叔父さんがたしか……」


「ゴモリ召喚だね。ゴモリってね、ルシファーの副官の一人にいる堕天使なんだ。これはあくまで個人を指している。ゴモリという一族が存在しているとも。ゴモリは女性の姿していて月に居た存在であるとされている。そして『忠実』『寛大』『涙』『正直』『悲嘆』の象徴と」


「秘書にビッタリな天使ね」


「しかも召喚した者の愛を成功に導くすべをも教えてくれると。中世の多くの魔術師たちは彼女の召喚をしようとしたそうだ」


「魔術師ってスケベなのね。あっドクターも。まさかマリリンはどこからか召喚された?」


「さあそれはないと、マリリンってどこか不完全な感じでしたから。そういうものとは」


「まあゴモリの召喚はわかるけど、クラゲもどきの召喚って何なのかしら? そんなモノ召喚してなんの得があったのかしら」


「愉快犯とかじゃ」


 とキミさんが。


「前に、あの怪物が出て誰か得があるヤツがいるのかと、話したけど居たんです、ほらここに『UFOネネコ』って、これ、元市長の、当時町長だった谷モモコですよね」


「あっUFO出て町が有名に。そして人が大勢来てにぎわった。UFO焼きそばとか……」


「そうあの時得したのはココ大海田の町」


「それって町おこし……」


と、キミさんがつぶやいた。


               つづく

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