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堂島家

33話 堂島家


 マリリンは寝てしまった。ドクターたちも帰って来ない。

 あたしら、ぼーっとして何をしてるんだこんなとこで。


「堂島先輩の家の方の山火事、おさまったみたいですね」

「モモネ、ドーテーの家知ってるの?」

「まあだいたい。あの堂島事業王の実家ですから、この町の人は……」


 まああの叔父さんはそこそこの大海田町の有名人だけど。実家まではあたし。


「行ってみよう。ちょっと心配だし」

「部長、あの林道は通れませんよ。向こうから火が」

「ちょっと遠回りになるけど向こうの道を」

「ねえさん、田んぼの畦道通れば早いすっよ」


 モモネ案で、畦道を行くことにした。


「よし、オーカイコーモンスター研究部ゴー!」


 と、はりきって田んぼの畦道をよろよろと歩きだす。


「部長って堂島先輩と付き合ってるんですか?」


 モデルちゃん、こんなとこでなに急に言い出すの落ちそうになったわ。


「そんなわけないじゃない!」

「だって堂島先輩のことドーテーって。知ってるんですか? 予定とかあるんですか?」

「予定って何よ?」

「ドーテーじゃなくなる」

「赤くなってそんなこと聞くな」

「サオリン、それは勘違いだ。堂島先輩のドーテーはただのあだ名だ。まああの先輩はそれっぽいけど。先輩の家がやってる民宿が堂島亭というんで、店のことを皆ドーテーって言ってるんだ。で、先輩も」


 あれ、その説有名なの。名前の方だと。



「おーいドーテー!」


「おいサダヒコ、田んぼの方からかわい子ちゃんたちが来るぞ」

「はんとだ」

「やはりおまえもドウテイと呼ばれてんのか。いやな、民宿の名前を親父が堂島亭って付けてから、オレも、弟もドウテイってあだ名付けられたんだ。違うって言いたくて、女のケツばかり追いかけてたんだオレ。おまえも頑張れ」


 畦道を上がるとドーテーの家が見えた。二階のベランダにお父さんらしき人どドーテーが見えた。


「おーいドーテー」


 って思わず言ってしまった。

 玄関まで行くとドーテーが降りてきた。


「家の人、避難してないの?」

「父だけじゃないんだ祖母も。避難したのは母だけだ。生き物が暴れてるんだから何処に行っていいかわからないってウチに居るんだ。火事の方は消防の人たちが」


 あたしらはドーテーの家のベランダに上がらせてもらって、キメラのうごきを、見ることに。


「コレは、サダヒコがお世話になってるお嬢さん方。いらっしゃい」


 ドーテーのお父さん、何処かで見た気がする。何処だっけ? 

 さすが客商売やってるだけあって、ドーテーと違い愛想のイイおじさんだ。


 ソコにおばあちゃんがお茶を持って上がってきた。


「サダヒコのガールフレンドが3人も来てお茶をださんとな」


 他人の家のベランダで輪になってお茶。危機感もなんにもない。


「ところでサダヒコ、本命はどの子じや」

「ナニ言ってんだばあちゃん!」


 ドーテーの大きな声をはじめて聞いた。



「ドクター、まだですか?」

「あとこの等身大ラブドールをダストシューターに入れてくれ」


 コレはかなりリアルなラブドール。しかも、デカい。大女フェチ専用なのか?


 ドクターは背中のリュックに何冊も本を。

 私も手さげ袋にいっぱい、まるで同人誌即売会帰りのヲタクのような格好で診療所から出ると、建物の向こうの雑木林が燃えている。


 しかし驚いたのは私のベンツの上で寝ている巨大なマリリンだった。


             つづく

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