ゴーレムとクロガネ
29話 ゴーレムとクロガネ
〘巨大生物が大海田高校付近に出現しました。ただちに付近の人は避難してください〙
サイレンの音と共に野外スピーカーでレオナルド出現をうったえたが、遅いんじゃないのか。
駅前のマンション近くでまだ、ジャージと体操シャツ姿の黒鉄先輩と出くわした。学校から逃げて来たらしい。
「大田和じゃねーの。マテラたちと一緒か?」
「さっきまで一緒でしたけど、ボクはヤツの写真を撮ろうと」
「おまえらしいな。そうだ、オレも付き合うぜ」
「校舎の屋上に居たあいつはなぜ駅の方に?」
「知るか、あの雹が降ってる間に移動したんだ。あのヘリのせいか?」
なるほど、ドローンは雹にやられたが、ヘリ2機はまだ飛んでる。
「黒鉄先輩、ボク、マンションの屋上から撮ろうと思ってます」
「いいぜ、行くか」
駅の改札から走ったら5分もしないとこにツインビルが建っている。このマンション、ボクが生まれる前、昭和に建てられたと地元の友人が、彼とマンションの住人の漫画家さんに会いに来たのが1年生の時。彼はこのまえの屋上で。
今のマンションと違いすぐにエレベーターホールに。
ここから最上階、十二階へ。
「おまえ、あいつを見たか」
「ええ、なんかまえと違いケンタウロスみたいになってましたね」
「あいつの人間の部分見たか。スゲーグラマーでよ。顔が美人だったんだ」
「遠かったんで、胸があるというのしか」
「よし、上についたら見てみな、あんなデカいおっぱい、そう見れねーぞ。が、顔が美人なのは半分だ。半分は化け物状態だ」
黒鉄先輩が撮影に付き合うってそういうことか。美人のデカいおっぱいなら、ボクも大歓迎だ。
部長たちと別行動で良かった。
エレベーターが止まった最上階の通路を通って屋上に行く小階段に、鍵がかかっていた。
「まかせな」
先輩は黒塗りの棒のような物を鍵が付いた鎖にねじ込んで鍵をねじり飛ばした。
マリンパの屋上の時も持ってたなあれ。先輩はいつも携帯してるのか?
「スゴい! 先輩と一緒で良かった」
「オレさ、地元だけどここへ入ったのはじめてだ。ここはオレのオヤジが若い頃建てたんだ」
「先輩のお父さんのビルですかココ」
「じゃなくて、工事に入ってたって事だ。オレんち建設業だからな」
屋上に出ると強風だった。屋上の周りには高いフェンスがあったが隙間からあいつが見下ろせた。
ヘリの爆音が。
下からは消えたように見えた黒いヘリが飛んでいた。
自衛隊のヘリに見えないよう隠れてたのか?
黒いヘリに気づいたのかヤツが移動した。顔が見えた。確かに美人だが何処かで見た気がする。誰だっけ。
「先輩、あの顔誰かに似ていません?」
「言われてみれば……誰だっけ?」
「もしかして、屋上で食われた誰か」
「そうかぁ屋上で思い出したあれは、番組の女デレクターじゃねーの?」
「言われて見れば。あの人食われちゃたんだ」
わぁっ反対側が見えた。なるほこれはひどい、豚か牛のようななんだか表現できにくい顔だ。そっちだけヤギのような角が生えてる。
「おい、見ろ、超でかい生おっぱいがゆれてるぞ、しっかり撮影しろよ。大田和。デカいから乳首が立ってるのか普通なのかわからねぇな」
先輩がスマホを出して、しばらく見て。
「コレどうやって拡大で撮れるんだ?」
「ちょと貸して下さい」
とか、やってたら黒いヘリがショトガンで撃ちはじめた。
「マジかよ、攻撃した」
弾丸をくらった、ヤツの腕があるべき所、こいつは腕がないんだ。肩の下あたりから触手のような物二本ずつ出てきてヘリを攻撃し、追いかけた。その時動きまわる触手が屋上のフェンスを壊した。
フェンスだけなら見晴らしが良くなっていいが、ビルの外壁にも。
ヘリが使ってる武器が対怪物用とは思えない小火器だ、わざと怒らしてるのか?
また外壁が、コレは危ないかも?
先輩は壊れたフェンスから外側へ出てスマホで撮ってる。さすがにボクはあそこまで。
つづく




