キメラ・リーブス
28話 キメラ・リーブス
「なんかまえに見たクラゲやホグジラとは、大違いだなありゃ」
「まえより重量を感じる。まえは、もっとふわっとしてたようなぁ」
「モモネもそう見える? 見て、足の下のクルマから煙が。つぶれてるんだよ」
まえのフォノグラムとかCGとか言われていた頃とは、違うよアレ。存在観あるし重そうだし。
「あれは30メートルくらいはあるんじゃないの。ちょっとした巨大怪獣だね」
最後にクルマから降りて来た多田野さんがサングラスをずらしてながめてる。
「パパ、アレ怪獣なの。わたし帰国子女だから怪獣ってわかんないの、向こうじゃみんなモンスターよ。妖怪さえも。どう違うの?」
多田野さんは娘のコトバを無視して。
「あいつ、こっちに馴染んじゃたんかね?」
「多田野さん、どういうコトです?」
「ドクターが言ってたんですよ。ヤツはこの世界の生物じゃないだろうって。だから、こちらに馴染まねばすぐに消えると。しかし、今度はちょっと長いですね」
「サオリパパ、ドクターって魔法使いなんですか?」
メンドーなのでドーテーやクロガネみたいに直球で聞いてみた。
「サオリパパじゃないですって。ドクターは……ドクターはとても優秀な医者です。だから医学界の神の手とも魔術師とも言われてます」
いやいやいくら優秀な医者でも、ヤツが別世界の生物とかは、それにすぐ消えるとか。
「ソレはわかります。なんでそんな名医がこんな田舎の診療所にパパさん?」
「あなたも……私は独身者の多田野ですって。ドクターはおもての派手な世界が嫌いで、人の少ないこの地で……」
「そんなドクターが魔術師的神の手でマリリンを大怪我から救ったんですね。でも、ドクターはどこかの漫画みたいな黒い無免許医で……」
「マテラさん、私はそんなことは……」
「あいつ、ボクんちや診療所の方に」
ドーテーがスマホで電話を。
「あっオヤジ、今怪物がそっちに」
「ドクターはわかってるのか?」
サオリパパも電話を。
「テトラ、アレはなんだ?」
「テトラ……マテラです。アレはまえに言った怪物です」
「スーパーが儲かるヤツだな」
「ドクターがでない……クルマで、マリリン。乗って!」
多田野、サオリパパはマリリンとクルマに乗り診療所の方へ。
「ドーテーも一緒に行けばよかったのに。家近いんだから」
「行って来まーす!」
と、ドーテーは家の方に走って行った。
「行っちゃいましたね部長」
数十メートル向こうをあいつがズシンズシンとあたしたちを追い抜いてった。その後を2機の自衛隊ヘリが。まだ攻撃はしていない。
あたしはあいつの姿をじっくりと観察した。
「ヤッパもうレオナルドじゃないわね」
「尻尾は大蛇みたいで、後ろ足は牛、前足はヤギみたいだったけど、その上の女体は顔立ちが案外良かったわ美人さんだった。そしてあの長い黒髪……部長アレはキマイラじゃないですか?」
「キメラともいうしね。よし、あいつはこれからキメラ、キメラ・リーブスよ」
「まえのレオナルドといい、リーブスって部長って映画ファンですか?」
「ねえさんはデカプーもキアヌも大好きなんです……。ねえさん、あいつがそばにいるのに、あたしらこのまえの屋上みたいな危機感ないですね」
「多分、あいつが人を襲ってこないからよ」
「なんで、ですかね? 部長?」
「きっとあれなんじやない、お腹いっぱいとか、屋上で人間いっぱい食べたから」
「悪くはない考えだけどモモネ。あの人型になった頭の中に大勢の人間の脳が集まってて、人間を敵として、あるいわ食料としみてないのでは?」
「部長、あいつの思考が人間化したってことですか?」
「あくまであたしの推測よ」
「ハカセ出た」
マリリンが、ずっと電話してた。
「あ、ドクター。私です。知ってます? 今、そちらへデカい怪獣が向かってます。はあ、私もそう思ったんですが、今だに消える気配はありません」
「ハカセなんて?」
「心配するなと。診療所はそうやすやすとやられんから心配しなくてイイと」
「グリュッウ!」
つづく




