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多田野等とパパ

27話 多田野等とパパ

 

 学校の新校舎に着地したレオナルドは、もはやヤギでもホグジラでもない別の形態だった。


「ケンタウロス!」


 あたしとゴーレムが同時に言った。

 あの形態はどう見てもケンタウロスだ。頭部には長い黒髪がなびいてるのが見える。ここからは顔や細かい部分はわからない。


「部長、次のヤツの名はケンシローとでも」

「それはないわ。よく見て、胸あたりふくらんでない。アレはメスよ」


「ねえさん、見てヘリが、黒いのが」


「どこのヘリすっかね? 自衛隊でも報道関係にも見えませんけど」

「霧島、あっちからもヘリが2機」

「あっちは自衛隊のヘリだ」

「戦うのかしら?」

「多分そう簡単には戦闘にはならないでしょう。あそこは学校ですから、まだ人が」


 でも高台の学校の方から逃げてくる学生たちが見えた。坂だから転げ落ちてるの生徒も見える。

 

 ヘリのおかげででヤツは人間を見てない。


「駅の方から10器くらいのドローンが飛んでくる来る」


 ドローンはあたしたちの上を飛んで行った。あれは報道関係やYou Tubeの。


 自衛隊のヘリがヤツの近くに着く頃、あの黒いヘリが消えた。


 ヤツの周りにドローンが到着すると。


 ヤバッヤツが吠えた。雲が来る。ここいらに雨を防げる場所がない。


「雨が降る前になんとか駅まで走ろう!」


 あたりは暗くなりもうすぐ雨が。駅のガード下まであと少しのところに。


「マッチ乗れ!」


 急にクルマが停まり、ウィンドウが降り、マリリンが。


「マッチ?!」


 あたしか? 


「早く乗りなさい雹が降るぞ!」


 運転席のウィンドウからは多田野さんが。


「ウソ! パパ?!」

「サオリ…早く、雨が降ってきた」 


 クルマは海辺で見たのじゃなく、はじめて会った時の黒塗りの外車だ。

 デカいゴーレムは助手席に。あたしら4人は後部席。マリリンが乗っていても余裕の広さ。


 マリリンは相変わらずの白の水着ブラにジーンズの超短パン。

 運転席の多田野さんは黒い帽子にサングラスの診療所で見たトキのMIBスタイル。


 はじめてマリリンを見たモデルちゃんとモモネは目を丸くしていた。


「はじめまして、山本です」

「白石百音です」


 マリリンは相変わらずの眠たそうな目で笑顔をつくり手をひろげ。


「マリリンです」


 二人の名は覚える気ないのか? マリリン。いつもの名前ボケは。


 あっさっき多田野さんをパパって言わなかった? モデルちゃん。


「あの、バパよね、なんでババがココに」


 運転席の多田野さんの首に手をかけ。


「パパ、イランに出張じゃなかったの?」

「この人、タベヒロシ」


 と、マリリンが。


「いえ、多田野等さんでは?」

「違うわ、この人はパパよ。そんなMIBみたいな格好をしててもわかるわ」


「すみません、さっきからこのお嬢さんはなにを言ってるのか。私は多田野という者であなたのお父さんでは」


「わたしにはわかるわ、その声。それにさっきサオリと言ったじゃないの」


 なんかいつもの彼女と違った感じなのは家族だからか? 

 本当にパパさんなら、何か深い事情がありそうだ。


「空耳では、私は言ってません」

「言いました!」

「言いません」


「言った、マリリンも聞いた」 

「パパ、なんでマリリンさんと。まさか……浮気じや。新しいママが可哀想」

「マリリンは仕事上の関係で」


 あれ親戚じゃないの?


「私は独身で、娘とかいませんから人違いですよ」


 あっ外では雹が降ってきたスゴい音だ。やはりこのクルマも特殊なんだろう。窓にはヒビとか入らない。でも。ふたりは。


「マテラさん、なんとか言ってくださいよ。私はこの子の父親じゃないんです」


「と、言われてもあたし多田野さんのことよく知りませんしぃ」


「ゼッタイにパパよ! この人は、わたしのパパで山下幸四郎です!」

「いや、違います。他人の空似ですってお嬢さん」


「部長、雹やんだようです」

「あっホントだ」


 あたしはその場から逃げるように外に出た。


 あれ、あいつが校舎の上から消えた。


「部長、あっち!」


 あいつはいつの間にか駅に近い駐車場の方に居た。


「ゴーレムいきまーす!」


 と駅の方に走って行った。


               つづく

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