お腹がすいたらパンダ
14話 お腹がすいたらパンダ
「ハラヘッタ」
「エーッ今のマリリンのお腹の音?」
「そうみたいです。音は隣から。日の出を見に来たので朝食がまだなもので」
マリリンがこくりとした。しぐさが妙に可愛かった。
「あのこんなもので良かったら」
あたしは自転車のカゴに入れた紙袋から細長いパンを取り出した。フランスパンほど長くなく、柔らかいイワシ独特の臭いがするパンだ。
「この海地区で開発されたイワシブレッドです。真ん中には餡とマーガリンが。ちょっとクセがありますけど」
ウチのジイちゃんの好物で頼まれて買ったんだが。マリリンにあげちゃおう。ゴメンジイちゃん。
「パン?」
マリリンは一口で半分くらい口に入れ数回モグモグして動きが止まった。口にあわない?
「美味い。はじめての味。サカナの臭いがイイ」
ホッその香り苦手な人が多いんだ。大海田の名物にするために開発されたパンだったがイマイチ評判が悪く、今は開発した地元のパン屋でしか売ってない。不名誉なパンだ。
「ほうイワシの香りのパンですか、私も一つ」
袋からもう一本取り多田野さんが。
「これは美味だ。大海田にこんな美味しい名物があるとは。これはどこで?」
「近くにある『パンダ』というパン屋です」
しかし、ダサい店名だ聞くところによると上野にパンダが来て騒がれた頃に開店したとか、改名したとか。
さっきの多田野さんの言葉あのパン屋に聞かせてやりたい。
「『パンダ』のイワシブレッド、まだ売ってたんだ。マテラも好きなのか?」
「いやジイちゃんが。まだ数本残ってた。じやあたしはこれで」
急いでイワシブレンドのある店「パンダ」に引き返した。
〘突然現れたヤギのような生物が千葉県立大海田農高のファームを襲い牛や豚を……〙
「あのヤロー派手に暴れてんな」
「農高は休校になってるそーだよ。まだ襲われてないけど人に被害が出るおそれもあるらしいって」
「しかし、大海田も有名なったな。新聞やワイドショーで大騒ぎだ」
「ネットニュースとかでCG使ったフェイク動画だと言ってるのも。ここへ来て確かめてから書いてほしいな」
「フェラーリ動画ってなんだ?」
「フェイクだよ作り物のウソ動画だって」
「そいつら連れて来い! こっちじゃ妙な雹が降って農作物がやられて農家の連中が泣いてた。アレもヤローの仕業だろ。 そういやぁ近いうちに町長の会見があるってな。谷ネネコテレヒで見れるな」
テレレレッテレー
「おい、電話だ!」
ボクのスマホだ、取ろうとしたらオヤジが先に取った。
「サダヒコ、コレからだ」
小指を立てて、ボクに投げた。まったく困ったオヤジだ。画面を見ると。霧島マテラと。
〘テレビのニュース見たドーテー〙
童貞言うな家族に聞かれてる。
「あいつの特集ニュースだろ、見てるよ」
〘偉そうな生物学者とか出て来てさ、ゴーレムみたいに腕組んでさ、ナニもわからないって。あたしらとレベル一緒よね〙
「だね。妖怪とかUMAとか話してるボクらの方がましかも」
〘そうね。あのさぁドーテーあたしと付き合ってよ。明日暇でしょ〙
なに? マテラの突然の告白。
つづく




