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23_装備はどうしようか

題名とあらすじを少し変えた記念に更新します。

「うーん、メイスと盾か~。刀匠なら知り合いもいるんだけどね」


 直哉に魔封石の説明を終え、月光糸の糸繰り実演を見せた俺は、俺はすみれさんに自分の武装について相談をしていた。

 あー、糸繰りを一時間も連続してやると本当に疲れる。

 でも名取川姉妹が「もうちょっとだけ、あとちょっとだけ」ってなかなか罷めさせてくれなかったんだよなあ。



 さて今までは拾った木の棒で何とかしていたが、このままうまくいくとは限らない。

 武器はちょうどいい鉄の棒を適当に用意するとしても、盾は良い品を使いたい。


 そこですみれさんに相談してみたのだが、あまりいい返事は返ってこなかった。

 武器は剣でもいいのだが、あれは警察に職質されたら逮捕されそうだしなあ。

 うーん、そうなるとやっぱり自分で用意するしかないのか。


「すみれさん、鍛冶場を貸してくれるところとかご存じないですか?」


「鍛冶場?自分で作る気なの?」


「はい、そうです。試したいこともありますし」


「はいはい、やりたいことは先に言っておいてね。隠蔽しなきゃいけないかもしれないんだから」


 俺とすみれさんの話を聞いていた直哉が静菜さんに問いかけている。内容は良くは聞こえないけど。



「いつもこんな感じなの?」


「そうだな。彼が持つものは外に漏らせないものが多い。今までは物品関連や彼自身の実力だけかと思っていたが、直哉君の様子をみると魔術でもいろいろと希少な技術や知識を持っているかもしれない」


「そうだね。やはり本場は違うものだと痛感させられたよ。彼を教導官に招いた判断は間違っていなかった。ぜひとも加賀谷と縁を繋いでもらいたいね」


「それは出来ない話だな。彼と私達名取川はもう一蓮托生、一心同体なのだ。だからこそ私達姉妹は彼の傍にいて、彼を見ていなければならない。そう、ずっと」


「えっと、考えていることはなんとなくわかったんだけど、今の時代じゃそれは難しいと思うよ。大体どっちが「側」になるのさ?」


「表沙汰にならなければいい。文句を言ってくる奴らも大した連中ではない。最悪の場合はアイテムで上層部を黙らせればいい。それに「側」に関しては彼が決めることだ」


「覚悟が決まり過ぎてて、ちょっと怖いんだけど」


「大体そういう存在を持っていないと言い切れる当主がどれだけいるのだ?表沙汰になっていないだけだろう?それに私達は、自身が納得しているから問題ない」


「いや、私達はって。ヒロは純情だから、そういうのは抵抗があるんじゃないかな。それに彼を独占するのはどうかと思うんだよ」



 なんだか白熱してるなあ。仲良く議論できるのは良いことだって誰かが言っていた気がする。

 おっと、その前に俺の装備の件だった。


「近接武器や盾って小規模で販売しているネットショップは見つけたんですが、それなら自分で作った方が早いし、満足できるかなと思ったんです」


「ふーん、材料はどうするの?鉄とかだったら専門の会社に依頼した方がいいよ。手間もかからないし」


「確かに鋼ならその方がよさそうですね。先の話になりますが最終的にはミスリルで装備を揃えられればと考えてます。」


 俺は前回アイテムの件で失敗しているので、前世にあった物をここで作ろうとする場合は、出来るだけすみれさんや静菜さんに連絡するようにしている。

 事前に情報共有ができていればあの時もあそこまで話が拗れることもなかっただろうから。


 また魔封石についても、おいおい広めていく予定だ。

 無節操に広める気はさらさらないが、これがあればモンスター退治で出る死者や怪我人を減らすことができるはずだ。

 そう考えると俺達だけが持っていても仕方がない。

 広め方は慎重に考えないといけないけどな。


「ミスリルってあのファンタジー小説でよく出てくる金属の事?こっちでも作れるの?!」


「ええ、鉱石は確認済みなので、後は鉱石を集めて製錬できればと考えています。でもミスリルって製錬する時、魔力操作が必要なんです。それが影響しているのか鍛冶場と炉をひどく汚すんですよ。しかも神力を手に集めながら掃除しないと汚れが取れないし。あまりにもひどい時には炉と鍛冶場を放棄した事もありました」


「炉と鍛冶場を使い捨てか~。うーん、それでミスリルってどんなものなの?」


「こっちだとアルミニウムが一番近いですね。重量感とかよく似てます。強度とか武具としての性質は鋼以上でしたけど。あと特徴として非常に魔法付与(エンチャント)をしやすい金属でした」


魔法付与(エンチャント)?」


「品物に対して魔法的効果を付与すると言えばいいでしょうか。魔封石も魔法付与(エンチャント)の初歩ですし」


「なるほど、そういう効果ね」


「でも鉱石を相当量集めることが必須ですし、そうなると保管しておく場所も考えなきゃいけません。こう考えると現実味は薄いですね」


「鉱石がある場所は解ってるの?」


「中学の頃、学校行事で上永山にハイキングに行ったんですが、その時に鉱石が集まって落ちている場所を見つけましたので、付近に鉱脈があるんじゃないでしょうか?」


「うーん、これはちょっと持ち帰らせてほしいかな。鍛冶場の件は知り合いに相談しておくから、これもちょっと待って欲しい。後必要な鉄の量なんかもメールで送って。手配しておくから。」


 ああ、これは言っとかないといけない。でも恥ずかしいなあ。


「あ、できれば革も調達する事ってできますか?これもお願いしたいです。あと情けない話なんですが貯金があまりないので、できる限り安いところで見積もりをお願いしたいです」


「うん?何故君がお金を出すの?名取川家で全部処理するよ」


「いいえ、そこまでご迷惑をかける訳にはいきません。自分の武装ですし」


 昔も装備は自腹で揃えて自分でメンテするものだったしなあ。

 しかしすみれさんの表情が不機嫌なものに変わっていく。


「それは違うの!普通後ろ盾になる場合、相手の装備の面倒や維持費を保護する側が負担するのは当然の事なの!大体保護する代わりに、働きで返してもらうんだから。装備が壊れてたので依頼されていた任務に失敗しましたとかあったら困るでしょう?」


「そうかもしれませんが、俺は任務なんて受けてませんしまだ何もしていません」


「考古部に入部して、初仕事したでしょうに!考古部入部は父さんからの依頼だったんだから、十分に働きになるの!というかこちらが返せることを削ろうとするのはやめて!私達二人じゃあ・・・!」


「姉さん、そこまでです」


 おっと、静菜さんが直哉との会話を打ち切ってこちらに来た。

 でも私たち二人って何のことだ?

 すみれさんは静菜さんの声を聴いて、深呼吸して落ち着こうとしている。


「すまないな。でも姉さんが言っていることはこの業界では至極当然のことなのだ。受け入れてほしい」


「・・・わかった。そういうことならお願いするよ。迷惑かけて悪いな」


「そこは持ちつ持たれつでいくべきだ。そうだろう?」


「ああ、今度の納入を期待していて欲しい。」


「ふーん、納入って何の話なんだい?」


 いきなり直哉が俺に聞いてくる。


「俺は3か月ごとに魔封石を15個と月光糸を60m、これはボビンひと巻き分なんだけど、名取川家に納入する約束をしているんだ」


「へ、へえ。その代価は?」


「俺の後ろ盾になってもらう。決して俺を切り捨てたりしない。それが代価だ」


「え、いや、そういう事じゃなくて」


「いやこれが代価だ。それ以外はない」


 直哉の動揺した言葉に静菜さんが返す。


「なるほど一蓮托生、一心同体か・・・。確かにそうなるだろうね。となるとうちの家も同じ道を歩くべき、いやもう歩かざる負えないのか・・・」


 直哉がすみれさんを見ながらため息をつく。


「これはひどい。好奇心に負けた報いがこれとは」


「好奇心って怖いわよね。でも報いはちょっと酷くない?十分そちらにもメリットはあるわよ?」


「納入されたアイテムを分けていただけるんですか?結局それに依存することは名取川本家に依存することとイコールです。僕達魔術師は独立心が旺盛なのはあなたもご存じでしょう?」


「あら、一番に名取川本家につくと言ってくれた家に、アイテムを譲るだけなんてケチなことは言わないわ。博人君、君の知識を使うけどいいかな?」


「俺は名取川家から保護を受けている人間です。名取川家の考えに背くことはありません。これは保護を受ける側としては絶対の条件だと思うので」


「またそういうことを言う・・・。ちょっと教育しなきゃいけないかもね」


 すみれさんは物騒な笑みを浮かべながら、俺の頬に手をあてながら顔を近づけてくる。

 ひえっ、怖え・・・。


「姉さん」


「おっと、そういう場合じゃなかったわ。直哉君、加賀谷家には魔封石の作成方法を伝授します。これは十分なメリットでしょ?」


「そんなことを勝手に決めていいんですか?それこそ伯父さんの承認がない約束には何の意味もないでしょう。空証文もいいところだ。あなたは嫡子だが当主じゃない」


「ええ、私は当主ではないわ。でも彼に関連することについて、父さんから権限をもらってるのよ」


 すみれさんはカバンから封筒を取り出し、中に入っている紙を直哉に見せる。


「この術印は、たしかに伯父さんの物。なるほど名取川家では代替わりの準備中ですか?」

「それもあるわね。これで納得してくれる?」


「いいえ、それは加賀谷家を発奮させるための餌でしょう?今頂ける飴を見せてもらえませんか?」


「あら、本当の事よ、もし彼が許すのなら今から伝授してもいいぐらい」


 直哉は下を向いて考えこんでしまった。



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