表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/52

皇帝陛下と長男

 結局二週間かかって皇帝陛下の宮殿に到着した。


 馬車から降りると、先に到着して準備してたランベルトさんに案内されたんだけど、一台目に乗ってた役人と帝国側の人が、三台目の馬車から重そうな箱を沢山降ろしてるのに目が吸い寄せられた。あれが持参金。後で公爵家側の役人に聞いたら、なんと金貨で10万枚、10万グルデンだった。


 はー、なんかもうどう考えて良いのか分かりません。報酬が最低100グルデンって聞いて舞い上がってたのがバカみたい。


 宮殿に入ってランベルトさんに部屋まで案内された。今日は休養して明日皇帝陛下と謁見、会食になるらしい。


 ランベルトさんとは2週間一緒に旅してきたから、結構慣れたと言うか、接していてもあんまり緊張しない。淑女ぶってみても最初の出会いが出会いだったから。正直どうも緊張感が維持できないんだよね。手を抜いてるわけじゃないけど。


 ランベルトさんは、モンスに来て以来出会った人の中でアメリさんに次いで親しいかもしれない。それに結構若くて美男子。物腰しも柔らかだし、しかも態度が変に親しくしすぎないで、私の事をきちっと淑女として扱ってくれるんだよね。まあ、お役目を考えたら当然と言えば当然なんだけど。いっそランベルトさんが結婚相手ならまだましだったのに。


 あまり意識してなかったんだけど、やっぱり疲れていたのかな?その日はさっさとベッドに入って直ぐ寝た。明日の事は考えたくもない。


 翌日はアメリさんと召使い二人の三人がかりで準備をしてもらって、いよいよ皇帝陛下に謁見。玉座に座っているのはあまり威厳を感じさせないお爺ちゃん。こちらから見て左にいるのが長男のヨハン様だと思う。背が高くて、厳つい。右側にはランベルトさんがいてちょっと安心。


『その方がアンジュ家のマリア殿か』


 失礼ながら陛下の声には全く威厳を感じなかった。しわがれてお年だなって感想しかなかった。


「陛下はアンジュ家のマリア様かとお聞きです」


「マリー・ド・アンジュでございます」


『マリー・ド・アンジュ嬢でございます』


『こちらが儂の長男のヨハンだ。どうだ』


「こちらが陛下の長男のヨハン様です」


「ヨハン様、よろしくお願いいたします」


『マリー嬢がヨハン様によろしくと』


『こちらもよろしくと伝えてくれ』


「ヨハン様もよろしくとの事です」


『どうだヨハン。マリー嬢は?』


『肖像画が誇張でなかったとは驚きだ。正直これ程美しいとは』


『兄上、騙されてはいけませんよ。マリー嬢はとてもお転婆なのです。一行が賊に襲われた時、馬車の上に登って銃で迎撃したんですよ』


 ランベルトさんが何か言って皇帝陛下もヨハン様もびっくりした顔をしてる。何言ってるか分からないけど、ランベルトさん、余計な事言わないで。


『それは本当か?この様な麗しい姫がそのような』


『兄上にも人の本質を見抜く目をやしなって欲しいですね』


『ランベルトもそれ位にしておけ。マリー嬢がいぶかし気な顔をしているぞ』


 ランベルトさん、皇帝陛下ともヨハン様とも親し気だなあ。三人だけで盛り上がってる、こっちは帝国語は分からないのに。


「ランベルトさん、私は帝国語が分かりません。どの様なお話か教えていただけないでしょうか?」


「ああ、すいません。マリー様がお美しいとヨハン様が驚いていました」


 とてもそれだけの話とは思えないけど。ランベルトさん、半笑いだったじゃない。謁見の場にはアメリさんは入れないので、話の内容が分からない。せめて大使に付き添ってもらうべきだったかな?


 謁見は滞りなく済んだけど、なんだかな。あれがヨハン様か。あの人と結婚しろって言われても正直困る。どんな人か全然分からなかったし。偉丈夫だしあの人の下で戦えって言われたら納得出来るけど、結婚しろって言われてもねえ。


 大体私まだ一度も直接結婚しろって言われたこと無いんだよ。アメリさんに公爵様が盟約するには政略結婚が一番だって言ってるとは聞いたけど。でも私が公爵様に命じられたのはマリーの代わりに帝国に向かえって事で、マリー様が政略結婚のために帝国に行くって事は聞いてなかった。盟約するための使者だって言ってた。


 盟約するための使者と政略結婚のための花嫁はお貴族様にとっては同じかもしれないけど、私は庶民だからそんなことは知らない。


 ランベルトさんは帝国にお嫁に行くって前提にして話してたよね。荷馬車に持参金乗ってるの知ってたし。皇帝陛下もヨハン様も当然結婚するために来た花嫁って思ってるんでしょうね。帝国語の会話は分からなかったけど。


 それにしても何、あの持参金。結婚する本人が全然知らないところで、あんな大金。大金って一言で言い尽くせない金額だよ。10万グルデンって言ったら一生分の給金が何人分よ。公爵令嬢の持参金ってあんなに凄いの?なんだか本人関係なしに高い金で売買される馬みたいじゃない。


 あれれ?


『公爵令嬢に相応しい衣装や装身具その他を用意する。出発した時点で全て其方の物だ』


 公爵令嬢に相応しいように用意された『全て』が私のものだって『確かに』公爵様は言ったよね。


 つまり、あの持参金って私のものじゃない?


1グルデン金貨=3.5g

10万グルデン=350kg

箱まで考えれば400~500kgぐらいかと。

新世界から金銀が流入する前で、何百年単位でインフレが無かった。

専門職の給金がひと月4グルデンで、一家5人を養えたから、

ざっくり1グルデン10万円として100億円位かと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ