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無事に王子と顔合わせできた私、アイリスは、現在ルンルン顔でロイスと会場内を歩いております。
だって!!ニアがちゃんと実在した!!断罪の確率が減った!!思わず顔がにやけてしまうのも無理もないですよね。あとはルーシュルートを潰せばいいだけですね!
まずルーシュをとっ捕まえて……そしてニアについてそれとなく聞いて……
「ねぇ……アイリス聞いてる?」
おおっと、ニアについて考えてたらロイスの存在を忘れ……てません!!だからそんなジト目で見ないでちゃんと聞くから。
「ニア嬢のことをきいて嬉しかったことはすごくよくわかるけど、ちゃんと話聞いて?」
「は…はい」
「僕、今からお父様たちにあいさつしてくるから、ちょっとはずすね。くれぐれも他の奴に微笑みかけたりしないでね。アイリスは可愛いんだから」
う…流石攻略対象者。さらりとぶっこんできますね。ちょっと不安そうなお顔もあざとい!!可愛い!
「もちろん!私はロイスを不安にさせるようなことしませんわ」
そう私が言うと、不安そうな顔から一変、花が咲いたような笑みに変わりました。
「じゃあ、いってくるね!」
ロイスを見送り、私は1人になりました。さぁ、ルーシュでも探しますかぁ。ルーシュも貴族だからいると思うんだよね。私は会場内を1人で歩き出しました。
……いない!!なんで??こんだけ会場内を探しまくってもいないとはどういうことでしょうか??
「王子の誕生日に来ない貴族とか普通いないでしょ!……まさかさぼ…へぶっ」
ぼけーと考えながら歩いていたので誰かとぶつかったようです。鼻の頭が痛い。思わず俯いてしまいます。
「すまない!怪我はないか?」
声変わりしていない男の子の声が聞こえます。
「いえいえ、今回は私に非がありますのでお気になさらず」
そういって顔を上げたと同時に私は目を見張りました。
少しはねた真っ赤な髪。宝石のルビーよりも輝く赤い瞳。
「き……騎士…様?」
そう。私が思い出せなかった攻略対象者にそっくり……というか本人でしょう。
「騎士様?」
怪訝そうな顔をした騎士様(仮)は私をまじまじと眺めてきます。
やば、明らかに失言です。こういう時は…
「すみません。知り合いに似ていたもので…ではまた!!」
逃げるに限りますよね!!さらばだ!騎士様!!
……とはなりませんでした。ガシッと私の腕を掴みました。そしてもう一度私の顔を見たかと思うと私を睨みつけてきました。解せぬ。
「おい、お前誰のルートに入るつもりだ?」
「え?」
ルート???え??まさかまさかの展開ですか???
「そう。そのまさかの展開だ。俺の名前はレオルド・ジョルナー。お前……アイリス・セドンに攻略される対象であり、転生者だ」