↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/104

第22章 親友を遺して

 激しく咳き込んで、僕は大量の血を吐き出した。息が苦しい。身体中が痛い。やっぱり僕は死ぬんだと思った。カミーが麒麟に何か言ってる。麒麟は首を横に振ってる。予言のおばあちゃんが言ってたことは正しかった。僕はここで死ぬんだ。でも、僕どうなっちゃうの? 独りでどこへ行くの? 置いていかないで。僕を一人残して皆が歩いて行ってしまうみたい。そんなの嫌だ。僕のこと忘れちゃうの? 僕はこの世界からいなくなったことになんてならないよね? 僕はここにいたんだよね?


 姉さんが泣いてる。カミーも僕を泣きそうな顔で見てる。僕がもっとしっかりしていれば皆もっと笑顔でいられるのかな。


「僕は、恨んでなんかないよ……」


姉さんに言いたいこと、言わないと後悔すること、全部言葉に出した。精一杯強がって、せめて皆に笑っていて欲しくて、涙は見せないでいようと決めた。


 また息が苦しくなって、体の中から何かが込み上げ、たまらず咳き込んでまた血を吐いた。また吐いちゃった。また、いっぱい吐いちゃったよ……。吐いた血が怖い。僕が死に近づいていることを否応なしに理解させられてしまう。息も苦しいままだ。必死で吸っても、肺に血がたまっているのか、苦しいままだった。


「そんな、そんなこと、言わないで、イアン……」


姉さんが顔を歪めてる。僕が恨んでるなんてそんなこと考えないで。僕ね、本当に感謝してるんだ。姉さんがいてくれたから僕は今ここにいるんだ。


 文字を教えてくれたこと、守ってくれたこと、僕を助けてくれたこと、1つずつ一生懸命残さず伝えた。

僕がいなくなって、そのあと苦しむことがないように。言えないままじゃ、僕は絶対後悔する。それに、この言葉が、僕が生きた証になってくれるんじゃないかって思うんだ。そしたら少しぐらいこの不安が薄れるかな。ねぇ、姉さん。姉さんは僕のこと忘れない? 僕は忘れたくないよ。忘れないでいられるのかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。