第3章 ファンダラの遺跡3
僕には言い返す言葉が無かった。僕らは絶対に間違っていない、今までそう信じて疑わなかったけれど、話を聞けば聞くほど自信が無くなっていった。素直に納得させられてしまったのだ。僕らは結局大罪人なのだ、と。
「じゃあ、僕らはどうしたらいいのさ」
イアンがふてくされたように言った。彼自身、言い返すことができないのだろう。
ベリトルは急に優しい口調になり、また唐突に話をし始めた。
「二人は革命がどんなふうに成されるか知っているか?」
「え? そりゃあ、不満が溜まって爆発するんだよね」
僕がいうと、ベリトルは肯定した。
「革命は始め、反逆者、罪人と認識されるが、成功すれば反逆者は英雄となり、革命前の英雄は罪人とされもする。歴史と言うものは勝者が作るものだ。やり遂げればそれは正しいとされる。善と悪は見方によって変わるものだから、一概に善悪を判断する事はできない。2人も同じだ。私個人としては、一緒にいることが罪だとは思わないし、もう一度あの平和な世界が戻って欲しいと思うから、2人を応援するし力を貸すよ」
ベリトルは一拍置いてから先ほどまでの優しい声とは一変し、低い声で言った。
「ただし、考え方によってはこの持論は横暴を許すことになる。革命を起こしたことで世界が変わるというのも事実だが、それにより多くの血が流れ、平穏な生活が失われたというのもまた事実。大規模な変化を起こすという事は、周囲の幸せを奪う事と紙一重であるということを肝に銘じておかなければならん。誰も自分が悪だと思って戦争などしない。やらざるを得ない、または自分が正義だと思うからこそ戦は起こる。それを十分理解した上で、自らの行動を熟慮し前へ進むのだ」
僕らが麒麟にあって許されれば追われる理由は無くなる。それは一方で誰かの幸せを奪う結果になるかもしれない、ということだ。
僕らが真剣な表情でその言葉を整理していると、ベリトルは得意げに言いだした。
「やんちゃなお子様だな。私がいないとすぐに道を見失う。全く、子守りは勘弁してほしいものだ」
それを聞くなりイアンがそっと腰からベリトルを抜いてその場に落とした。
「さっきの話を聞いてたら色々納得したし考えさせられたけど、なんか急に生意気だわこの剣」
「確かに、突然上から目線になったよね」
地面に落ちたベリトルを2人で覗きこみ、僕らはにやりと笑った。
「そんな調子乗りは」
「埋めちゃえ、埋めちゃえ!」
僕は足で、イアンは手で、近くにあった土をベリトルにどんどんかけていく。数秒も経たないうちにすぐさま悲鳴が上がった。
「ちょっと待って! やめてやめて! やめてって! 悪かったから! 調子に乗り過ぎました! 私が悪かったです! 許してください!」
僕らがベリトルを土の中から渋々救出してやると、ベリトルはまたしても泣きそうな声で必死に抗議した。
「なぜまたそうやって私をいじめるのだ! なんでだ? 埋められるかと思ったぞ! 埋められて置いていかれるかと思ったぞ! そういうことして悪いと思わないのかこの鬼! 悪魔!」
正直その反応が面白いからやっているということにベリトルは気づいていないらしい。
「ごめんごめん。でもさ、さっきのベリトルの話は確かにって思ったんだよ。僕らは勝手に自分を正しいと思ってきた。僕らだけとはいえ、勝手な行動が結局何かの引き金になる事もあるんだって思ったんだ。僕らは罪人どころじゃない。大罪人だよ。でも、僕らの行動でまた世界は昔みたいな平和を取り戻すかもしれない。つまり、僕らは麒法に縛られたこの世界で革命を起こそうとしてるってことだよ。ここまできたらやるしかない」
目を背けてきたことを目の前に突きつけられて耳が痛い事ばかりだったが、ベリトルは僕らを応援してくれていた。安易に自身を正当化せず物事をしっかり見極めろということだ。だからこそ僕らは慎重に、そして確実に前へ進もう。これから何が待ち受けていようと。




