第9章 レインの真実5
にやにやしながら二人の元へスキップしてくるマキノを見つけてレインは笑った。
「安心しろ。お前は呼んでない」
「とか言ってほんとは俺がいなくて寂しかったくせに! この甘えんぼさんめ! ほら、俺が抱きしめてあーげる!」
と、両手を広げてレインに迫る。
「マキノ、背負い投げしていいか?」
マキノが嬉しそうに2人の周りを回るのを見て、レインは腕を組んだ。
「お前ニールの追跡を頼んでいたのになんでここにいるんだ? 羅剛神が復活した時もお前いなかっただろ」
突然マキノの動きが止まり、笑顔で頭を掻いた。
「えへへ」
「えへへじゃないだろ! 今すぐ任務に戻れバカ者!」
レインが怒鳴って森を指でさすと、マキノは
「大噴火! 大噴火!」
と、言いながら逃げだした。と、言っても踊りながら進んでいるせいでなかなか進まない。
「あいつ、こういう時だけはどこからともなく現れるくせに何の役にもたたんな」
レインが悪態づくと、クランは隣で呆れたように笑った。
「それがあいつのやり方だからな。あいつは単純でうらやましいよ」
小さくなり始めたマキノが不意に立ち止まって声を張り上げた。
「レイン!」
それに対してレインも声を上げて応える。
「なんだ?」
マキノは笑顔で振り返った。
「人生何とかなるもんだぜ。あと、俺の胸はいつでも空いてるからな!」
投げキッスしてからマキノが両手を広げて回るのを見てレインは小さく笑った。
「早く行け」
笑顔で樹の陰に消えていくマキノの背を見ていた2人は見えなくなってから笑った。
「レイン」
「ん? なんだ?」
晴れ晴れとした顔で見上げたレインに、クランは光の加減で色が変わる透き通った綺麗な石を差し出した。何か分からずにいるレインの手にクランは石を乗せた。
「なんでも願いが叶うっていう伝説を持つ魔石の欠片だ。俺が願っても変化なしだったからあの伝説は嘘だったみたいだけど、まぁお守り程度に持ってろよ」
レインの手に収まる小さな石は手の中で様々な色に移り変わっていった。
「ありがとう。持ってるよ」
レインは魔石の欠片を胸ポケットにしまい、再びクランに目を向ける。
「さ、私達も行こうか」
クランが頷き、2人は歩き出した。
2人が立っていた場所から2メートルほど離れた樹にもたれかかっていたニールは1人にやにやとしていた。
「イアンはウンディーネと人間のハーフ、か。それであんなことができたのか」
と、呟いて納得する。イアンの傍から現れた水の柱はウンディーネの力なのだ。
「イアンはレインの弟、ね」
ニールは背で樹を押すようにして姿勢を戻すと、鼻歌を歌いながらその場を後にした。




