第11回 「ヒーロー、再起」
武装した三島の前に立つカッパがまた一体倒れた。
彼女が武装してものの数分、周囲のカッパの数はみるみるうちに減っていった。
少し荒さの目立つ戦い方だが、それでも確実に相手の脳天へ弾を直撃させている。拳銃一つでは補いきれない個体には直接打撃を加え、武装により強化された機動力と攻撃力で仕留めていく。
三島の動きに合わせ、スタイリッシュな機械音と鈍いレーザー音が響く。
一体、また一体と、カッパが血を流し倒れていく。
「自分は見ていることしかできない」と松隈は内心思い、すぐにその考えを改める。目で追うことすらできていなかった。
気づくとカッパの数は松隈でも数えられるほどになっていた。
松隈は困惑しながらも目を輝かせていた。
彼女こそ、彼の理想であり、憧れの英雄。
「終わりだ」
三島は腕のパネルを操作した後しゃがみ込み、背部パーツを展開。射出した小型のロケット弾により広範囲による砲撃を与える。
三島の最後の一撃により辺りは静けさを取り戻した。
「三島警部…お疲れ様でした。それにしても凄い…とても初めての扱いとは」
「私はマニュアルを熟読するタイプだ」
「……すみません。僕、何も…」
「慣れてしまえばどうということはない。君もやってみるか?」
「えっ!ぼ、僕がですか!とてもじゃないですが」
「はははっ、冗談だ。私のデータを基に、私専用で開発されたものらしい。…九条ハジメ。どこまで我々に干渉するつもりか」
——同時刻、森の奥。
そこはすでに、カッパ・イート・マンが周囲のカッパを全て喰い尽くした後だった。
何も言わずに立ち去ろうとするカッパ・イート・マンをマスミが呼び止める。
「ま!待ってください!」
「あ?」
「助けていただき、ありがとうございます。見たところ、あなたはあの化け物どもと敵対関係にあるように見えた。共通の敵を追う者同士、我々と協力してもらえないでしょうか!一時的でもいい、我々と行動を共にしていただきたいのです」
「ハッ…■■が。俺がお前らと協力してなんになる?関わるんじゃねえ、俺は俺1人で行動する」
カッパ・イート・マンの背後から、今度は萩原が彼を呼び止める。
「おい待てよ。そもそもテメェが今そうして歩けるようになってんのは誰のおかげだ?お礼の一つもねえんじゃ、このまま見過ごせねえな」
萩原は、カッパ・イート・マンが先ほどの少女を認知していないことに賭けた。でもまあ、嘘はついてないし、と思いながら。
「…助けろなんて頼んだ覚えはねえ」
しかしあまり効果はないようだ。
それを瞬時に察知したマスミは続けて口を挟む。
「つ、ついていくだけでもダメでしょうか!我々の次の目的地は、あなたとも関係があるかもしれない…あの化け物どもと対立しているのであれば…」
マスミは唾を飲み込んだ後、一呼吸置いてまた口を開いた。
「“赤髪”…。これを聞いて、何か思い当たることはありませんか?」
カッパ・イート・マンは歩みを止めた。振り返り、マスミたちのもとへ足を進める。
2人の横を通り過ぎ、地面に突き刺さったままにしていたステンレス定規を拾い上げた。
そしてゆっくりと口を開く。
「今回だけだ」




