第10回 「第二波、襲来」
暴走したカッパ・イート・マンは、武装した少女の手によって鎮圧された。
それから数時間後——。
静止したカッパ・イート・マンの体から蒸気が立ち上っている。
「で?俺らはこいつをどうしたらいい?さっきの姉ちゃんはなんでトドメ刺さなかったんだ」
「彼女にも、この人と似た特徴を見つけました。彼らはもしかすると仲間…あるいは出自に何かしらの共通点があるのかもしれません」
カッパ・イート・マンの後頭部を見つめながらマスミは話す。
「仲間っつったってよ、あいつも俺らの味方してくれたってわけでもなかったし」
「もし彼らがカッパと敵対しているのなら、いい協力関係を結べるかもしれない。あくまで、憶測ですが…」
横たわったカッパ・イート・マンの隣で会話する萩原とマスミ。2人の周囲にある草木が揺れ始める。
「なんか…近づいてくる気配がしねえか?」
「ええ、あたりが騒がしいですね」
物陰からぞろぞろと、カッパたちが群れをなして出現した。
「…っくそ、このタイミングで追い討ちかよ」
「まずい。さっきの戦いで体力を消耗しすぎました。囲まれてて逃げ場もない。萩原さん、どうしたら…!」
「んなこた言ったって!戦うしかねえだろが!」
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一方、栄高校から数メートル離れた先、三島と松隈。
携帯の振動に気づき、三島は電話に出る。
「はい、三島アツコ」
{いきなりすまねえな三島、今大丈夫か?}
「堂島。…問題ない。生憎これといった進展はない。何かあった?」
{ああ、さっき“大穴”の調査が終わって一度署に戻ってきたところだ。そこで興味深いものを見つけた。一度データを送る」
携帯が再び振動し、三島は堂島から送られてきたデータファイルに目を通す。
『時空の歪みにより生じた大穴の調査記録』
{大穴付近で見つかった一台のノートパソコンから拾ってきたもんだ。ボロボロだったんでほとんどのデータが復旧できなかったんだが、かろうじてこのファイルだけ取り出せた。一度目を通してくれ}
三島は下まで画面をスクロールした後、思わず声をこぼす。
「…!これは…」
{ああ、九条ジュウイチモンの名前がある。俺らが追ってる2つの事件、そのどちらにもこの男が関わってるってことだ。九条息子はお前に、奴はそっち以外にも各所に拠点を置いている、とも言っていた。ちょっと厄介なことになりそうだぜ}
「“時空の歪み”というワードも気になるわね」
{突如現れた大穴、大量発生した未確認生物に続いてこの言葉…今更もう大した驚きはねえな}
「わかった。こちらも九条教授の動きには引き続き警戒しておく」
三島が電話を終え松隈の方を見やると、彼は顔面蒼白で落ち着きのない様子をしていた。
「み、三島警部!辺りの様子が、妙です」
「ようやくお出ましか」
辺りを見渡すと2人を囲むようにしてカッパが群れをなしていた。
「こ、こいつらが、例の!」
周囲に人影はなく、カッパたちは皆2人を獲物とし今にも飛びかかる勢いだ。
「松隈、さがれ。見せてもらおうかしらね、九条教授と我々の《《信頼関係》》を」
三島は、腕に装着した機械を慣れたような手つきで操作し姿勢を構える。
『ユーザー認証システム起動…クリア』
『武装点検…クリア』
『アクセス権限確認…クリア』
「武装を展開する」
『承認』
“超強化武装展開機”。
九条開発、失われた古代技術を応用したその武装機は、腕から展開され三島の全身を覆う。
三島は武装と共に展開された銃器を構えカッパの群れへと向けた。
「貴様らに、処罰を与える」
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森の奥、カッパの群れと乱闘する萩原とマスミ。
先の戦闘で体力を消耗した2人はカッパたちの数に押され劣勢の状態だ。
「はぁ…はぁ…くそったれが」
「次から次と…キリがないです!」
息を切らしながら会話を飛ばす2人。自身の血とカッパの返り血が混じり全身にこびりついている。手足はボロボロだ。
——もう後がない。そう思った時、2人の背後に影が忍び寄る。
「うるせえなァ…人の眠りを邪魔しやがってよォ」




