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終電で知らない駅に降りた。ホームにいた全員が「明日死ぬ人」だった。  作者: 不可思議ラボ


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4/7

第4話 0時42分、最初の一人が死んだ

「だから昨日

あなたは僕を殺そうとした」

少年の言葉が

頭の中で何度も響いた。

「僕が……?」

少年は頷いた。

ホームの時計を見る。

0時40分。

最初の死亡予定時刻まで

あと2分。

「どうして

君を殺そうとした」

「分かりません」

「昨日のことを

覚えてるんだろ?」

「全部じゃないんです」

少年は

自分の頭を押さえた。

「思い出せるのは

断片だけで」

「あなたが僕を

線路へ突き落とそうとしたこと」

「そのとき言った言葉だけは

覚えています」

嫌な予感がした。

「何て言った」

少年は僕を見る。

「お前が死ねば

全員助かる」

ホームが

静まり返った。

全員の視線が

僕に集まる。

「そんなこと……」

言いかけて

僕は黙った。

昨日の記憶がない以上

否定できない。

そのとき

警告音が鳴った。

0時41分。

残り1分。

最初の死亡予定者だった男が

僕の腕をつかんだ。

「もういい」

「俺を選べ」

「まだ方法があるかもしれない」

「ないだろ!」

男が叫んだ。

「一人しか助からないんだろ!」

「だったら

最初に死ぬ俺を助けろ!」

スーツ姿の男が

割って入る。

「勝手に決めるな」

「お前を助けたら

俺たちはどうなる」

「じゃあどうしろっていうんだ!」

声が重なる。

老人も

女性も

怯えた顔で

時計を見ている。

残り30秒。

僕は駅員を見る。

「選ばなかったら

本当に死ぬんですね」

駅員は答える。

「予定は

実行されます」

「予定?」

その言葉が

引っかかった。

死亡ではなく

死亡予定。

予定なら

変えられるのではないか。

だから

一人だけ取り消せる?

「どうやって選ぶ」

駅員が

ポケットから

五枚の切符を取り出した。

それぞれに

時刻が書かれている。

00:42

03:18

07:05

11:31

16:44

だが

一つ足りない。

最初に見た電光掲示板には

六つの時刻があった。

最後の

22:09がない。

「六人目の切符は?」

駅員の表情が

わずかに変わった。

残り10秒。

「答えてください!」

9。

8。

7。

男が叫ぶ。

「早くしろ!」

6。

5。

僕は

00:42の切符に

手を伸ばした。

4。

3。

少年が叫んだ。

「取っちゃ駄目だ!」

2。

僕の手が止まる。

1。

0時42分。

すべての照明が

消えた。

暗闇の中で

誰かの息遣いだけが

聞こえる。

そして

電車が来た。

音もなく。

ライトもなく。

真っ黒な電車が

ホームへ滑り込んできた。

扉が開く。

誰も動かない。

暗い車内から

声が聞こえた。

「00:42」

「予定時刻です」

最初の男が

突然苦しみ始めた。

胸を押さえ

その場に倒れる。

「おい!」

僕は駆け寄った。

男の目は開いている。

だが

呼吸をしていない。

「救急車!」

スマホを取り出す。

圏外。

心臓に手を当てる。

動いていない。

「嘘だろ……」

ほんの数秒前まで

生きていた。

誰も

声を出せなかった。

電車の扉が

ゆっくり閉まる。

その瞬間

男の体が消えた。

「え……?」

服も

靴も

何も残っていない。

まるで

最初から

ここにいなかったように。

電車が

暗闇へ消えていく。

照明が戻った。

電光掲示板を見る。

00:42の時刻が

消えている。

残りは五つ。

03:18

07:05

11:31

16:44

22:09

その下に

表示された。

「死亡予定者

残り3名」

僕は目を疑った。

「3名?」

一人死んだ。

死亡予定者が

四人だったなら

残り三人。

計算は合う。

だが

ホームには

僕を含めて

まだ五人いる。

老人。

女性。

スーツ姿の男。

少年。

そして僕。

死亡予定者は三人。

僕は乗客ではない。

少年は侵入者。

それなら

人数は合う。

「やっぱり

君が侵入者なのか」

少年を見る。

少年は

首を横に振った。

「違う」

「さっき自分で

そう言っただろ」

「昨日は

そう思っていました」

「でも今

思い出しました」

少年は

線路の向こうを見る。

「僕はこの駅に

自分で入ったんじゃない」

「誰かに

連れてこられたんです」

「誰に?」

少年の顔が

青ざめていく。

「あなたです」

僕は言葉を失った。

「昨日の僕が?」

「違います」

少年は

はっきり言った。

「もっと前です」

頭の奥に

痛みが走った。

一瞬だけ

知らない記憶が見えた。

昼間の駅。

制服姿の少年。

そして

その後ろを歩く僕。

この駅じゃない。

普通の駅だ。

僕は少年に

何かを渡している。

切符。

そこで映像が消えた。

「今のは……」

少年が

僕の手元を見る。

「それです」

いつの間にか

僕の右手に

一枚の切符があった。

駅員が出したものではない。

古く

汚れた切符。

表には

こう書かれていた。

「入場券」

裏返す。

そこには

僕の字で

一文が書かれていた。

「六人目を

絶対に選ぶな」

僕は電光掲示板を見る。

最後の時刻。

22:09

駅員が持っていた

五枚の切符には

存在しなかった時刻。

「六人目って

誰なんだ」

その瞬間

駅員が初めて

大きな声を出した。

「その切符を

捨ててください」

僕は駅員を見る。

これまで

何が起きても

表情を変えなかった男が

明らかに怯えている。

「どうしてですか」

駅員は答えない。

僕は切符を握った。

「22時09分に

死ぬのは誰ですか」

沈黙。

やがて

駅員が口を開いた。

「その時刻は」

一度

言葉を止めた。

「乗客の死亡時刻では

ありません」

背筋が冷たくなる。

「では

何の時刻ですか」

駅員は

僕を見た。

「この駅が

死ぬ時刻です」

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