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終電で知らない駅に降りた。ホームにいた全員が「明日死ぬ人」だった。  作者: 不可思議ラボ


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3/7

第3話 僕は昨日、五人全員を見殺しにした

「僕たち

昨日も死んだんです」

少年の言葉を

理解するまで

数秒かかった。

電光掲示板には

赤い文字が光っている。

再試行回数

2回目

「昨日も死んだって

どういう意味だ」

少年は

僕から目をそらさなかった。

「そのままの意味です」

「僕たちは昨日

ここにいました」

「あなたも」

ホームにいた

他の四人が

少年を見る。

「私は知らない」

若い女性が言った。

「こんな駅

来たことない」

「俺もだ」

スーツ姿の男が続く。

少年は頷いた。

「みんな忘れてるんです」

「僕もほとんど

忘れてました」

「じゃあなんで

思い出した?」

少年は

電光掲示板を指さした。

最初の時刻。

00:42

「昨日

あれがゼロになったとき

思い出しました」

僕は時計を見る。

午前0時34分。

あと8分。

「何が起きた?」

少年の顔から

血の気が引いた。

「死にました」

「誰が」

「最初は

あの人です」

少年が指さしたのは

ホームの端にいる男だった。

さっき線路へ

降りようとした男。

男が怒鳴る。

「ふざけるな」

「俺がどうやって

死んだっていうんだ」

少年は答えなかった。

代わりに

駅員を見た。

駅員は

静かに立っている。

「あなたは知ってるんですね」

僕が聞く。

駅員は否定しなかった。

「昨日も

僕が一人を選んだ?」

「いいえ」

「では

選ばなかった?」

駅員は

僕を見る。

「選べなかったのです」

胸の奥が

冷たくなった。

「その結果

五人全員が死亡しました」

女性が

小さく息を呑んだ。

スーツ姿の男が

僕につかみかかった。

「お前のせいなのか?」

「待ってくれ

僕は覚えてない」

「こっちは死んだんだぞ!」

「俺には家族がいる!」

男の手を

振りほどこうとした瞬間

頭の奥に

鋭い痛みが走った。

景色が変わった。

ほんの一瞬。

僕は

このホームに立っていた。

目の前で

女性が泣いている。

老人が叫んでいる。

少年が

僕を見ている。

そして僕は

何もできずに

立ち尽くしていた。

次の瞬間

ホームが真っ赤に染まった。

そこで記憶は切れた。

僕は膝をついた。

「今のは……」

少年が近づいてくる。

「思い出しました?」

僕は答えられなかった。

見た。

確かに僕は

昨日ここにいた。

だが

もっと重要なものが

抜け落ちている。

なぜ僕は

一人を選ばなかった?

そのとき

電光掲示板から

警告音が鳴った。

00:42

残り5分

ホームの空気が

変わった。

駅員が言う。

「最初の死亡予定が

確定します」

線路へ降りようとした男が

突然僕の前に来た。

「俺を選べ」

「待ってくれ」

「俺が最初なんだろ?」

「だったら俺を助けろ!」

「選んだら

他の四人はどうなる?」

男は黙った。

誰も答えない。

老人。

女性。

スーツ姿の男。

少年。

全員が

僕を見ている。

一人を救えば

残り四人は死ぬ。

選ばなければ

全員死ぬ。

そんなものを

選択と呼べるのか。

「昨日の僕は

どうして選ばなかった?」

僕は少年に聞いた。

少年は

少し迷ってから答えた。

「途中で

気づいたからです」

「何に?」

「この五人の中に」

少年が

周囲を見回す。

「本当は

死ぬ予定じゃない人が

一人混ざっているって」

全員が

顔を見合わせた。

「どういうことだ」

スーツ姿の男が言う。

少年は続けた。

「昨日あなたは

その人を見つけようとした」

「だから

時間切れになった」

僕は電光掲示板を見る。

死亡予定者 5名

その表示が

一瞬だけ乱れた。

そして

別の文字が現れた。

死亡予定者 4名

侵入者 1名

すぐに表示は戻った。

だが

僕は見逃さなかった。

「侵入者……?」

駅員の顔を見る。

初めて

駅員が動揺していた。

「今のは何ですか」

「答えてください」

駅員は黙っている。

僕は気づいた。

この駅には

僕を含めて六人いる。

僕は乗客ではない。

五人が

死亡予定者だと

思っていた。

でも違う。

死亡予定者は四人。

その中に

この駅へ来るはずのなかった

誰かが混ざっている。

「誰なんだ」

僕が呟いた瞬間。

ホームの時計が

午前0時40分を示した。

あと2分。

すると

少年が僕の耳元で

小さく言った。

「昨日」

「あなたは

侵入者が誰なのか

分かったんです」

僕は少年を見る。

「誰だった?」

少年の唇が震えた。

「僕です」

頭の中が

真っ白になった。

少年は続けた。

「だから昨日

あなたは僕を殺そうとした」

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