↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
81/85

確認

聖女への苦情が増えてきた、というお祖母様からの手紙を読んで、ため息を吐く

アステリも浄化活動に行くようになって、だいぶ参っている

仮にこの後お祖母様たちが聖女と認めるとしても俺は反対するな、と考えていると扉が叩かれた

顔を覗かせたのはミヤだった


「こんにちは、セリーニさん

アステリを見ていませんか?」


「アステリ?」


「カフェティさん達が探してるんです」


そう言われ俺は無言で目配せをする

ミヤもそっちを見るとソファに横になっているアステリが居る


「だいぶ疲れたみたいでね、さっき来たばかりなんだ

もう少し寝かせてやってくれ」


「…聖女様はここには来ないんですか?」


「滅多に来ないね」


なるほど、と言うとミヤはアステリの顔を覗き込んで眉を寄せた

どうやら酷い顔色らしい

治癒魔法を使っても良いかと訊くので頷くと、アステリの額に触れる

俺も近づくとアステリは薄く瞼を開いた


「起こしちゃった? ごめんなさい」


ミヤがそう言うが完全に起きていないのか彼女を見ると引き寄せて抱き締めた


「ア、アステリ?」


ミヤが呼びかけるも寝てるのか反応が無い

身動ぎをするも抜け出せないらしく彼女は俺を見る

さすがにフィトーに注意された後だと思いアステリの頭を思いっきり叩く

もちろん拳で


「ぃ…っ、ぇ、なに…」


「何じゃない、放しなさい」


そこで自分がミヤを抱き締めていることにアステリは気づく

悪い、と言いながら慌てて放していた

大丈夫、と言うミヤは本当に気にした様子はない


「カフェティさん達が探してたけど起きられそう?」


「…どれくらい寝てた?」


「十五分くらいだな」


まだ眠気は残っているらしいが表情が柔らかくなっているのを見て安心した

もう少ししたら戻ると伝えてくれ、とミヤに伝言を頼みアステリはソファに座り直した

ミヤが出ていくと俺はアステリの向かいに座る


「だいぶ聖女に参ってるな」


「参ってるどころか鬱陶しくて仕方ねぇ

話しかけるなと言っても聞いてくれないしな

最近はミヤのことも出してくるようになった」


「ミヤ?」


「あんな地味な女が俺の近くに居るのは許せない、とか

どうせストーリーが進めば俺は聖女を選ぶとか」


「ミヤの話では男女の恋愛ものが主流らしいな

でも現実の俺たちがその通りになるかどうかなんて誰も知らない」


そう言うとアステリは頷いた

そもそも自分たちの将来がどうなるかなんて分からない

あまり気負うな、と言うとそうだな、と返しアステリはゆっくり立ち上がった


「そういえば医務室に行ってるか?」


「行けてないな、薬草茶は貰ってるけど」


「効果があってもなくても飲んでおいたほうが良い」


「…そんなに顔色酷いか?」


「かなり」



             ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「失礼します」


ある日ディアス殿下が第一軍に現れた

滅多に現れない人物に全員が目を丸くしつつ立ち上がり敬礼する

楽にしていい、と言うと殿下は真っ青な顔の軍隊長に目を丸くしつつ言った


「突然申し訳ありません、義兄様(にいさま)

確認したいことがありまして

短く終わることなので今よろしいでしょうか」


「…珍しいな、どうした?」


「第一の皆さんにも確認したいのですが…医務室の薬草茶を飲んだことがありますか?」


第一の者であれば一度は飲んだことがあると思う

代表して答えると全員が立ったまま頷いていた


「その際、効果が違うと感じたことは?」


殿下が言うと全員が思い出すように考える

するとベズが手を上げた


「頭の痛みに悩まされていた時に何度か処方していただいたんですが、すぐに効かなくて悩んでいたことがあります」


「もしかして効いた時はミヤさんが作ってくれたものだったか?」


ベズは思い出しているのか少し間を空けてから頷いた

どうやら正解らしい

そういえば、と俺たちも思い出して声を上げた

殿下は興味深そうに頷いていた


「義兄様(にいさま)は?」


「…確かに今日はルルーディに作ってもらったが効いてる気がしないな」


頭を抑えながら軍隊長は答える

隣に置いてあるカップは医務室から俺が貰ってきたものだ

殿下は腕を組んで考える

しばらくそうした後、俺たちに向き直り


「おそらくミヤさんの持つ聖属性が関わっているのだと思います

彼女の作る薬草茶だけ効果を持っているのなら十中八九そうでしょう

ただ、そうなると…」


殿下は眉を寄せ一拍置くと


「グリーゾ様とお会いすることは可能でしょうか?」


「ティルクアーズに頼めば呼んではくれるはずだ

ミヤが呼んでるって言ったら、すぐ来ると思うが」


「でしたら呼んでいただいて良いでしょうか

明日、医務室でお待ちしています、と」


軍隊長は首を傾げつつ了承した

俺たちも首を傾げていたが誰も口を挟もうとはしなかった

まだ仮説だから他言しないように、と言って殿下は部屋を出ていった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。