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騒ぎ

すっかり春の陽気を満喫しているある日の昼間

休みを貰ったから家の用事を色々済ませて買い物に出ると市場の一角が騒がしかった

人だかりができていて誰かが言い争っている声が聞こえる

なんとなく意識をそちらに向け遠目から見ると人だかりの中心には聖女様が居た

言い争っている片方は第二軍の人だと分かるが、もう片方が分からない

医務室には来たことはないけど軍服を着ているから第三の人かなと思う

耳を澄ますと聖女様がまた横暴な態度をとったらしく、それを第二の人が咎めて第三の人が庇っているみたいだ

第二の二人に対して第三は五人


「あーもう! どきなさいよぉ!

アタシは聖女なんだから自由にしてても良いでしょぉ⁉︎」


「ですが今日もお昼までに瘴気浄化をしないといけませんよね」


「聖女様は疲れてらっしゃるんだ!

今日くらい好きにして良いだろう!」


「でしたら事前に申請してください

予定していた者全員が準備を終えておりますし、そもそも聖女様が担当されたいとおっしゃったではありませんか」


「たとえ聖女様といえど規律違反は看過できません

お時間になりますので急いでください」


こんな言い合いが続いていたらしく第二の人たちはため息を吐いて頭を抱えていた

聖女様は自分のことで精一杯らしく周りを見ようともしてない

周りに居る人たちは眉を寄せて聖女様を見ている


「聖女様が困っている! 今日の浄化は中止だ!」


「そうよ、そうしてよ!」


第三の一人と聖女様が声を張り上げた瞬間、ピタリと周りに居た人たちの声が止まった

異様なほど静かになって人々の視線が厳しいものになっているのに聖女様と第三の人たちは気づいていない


「そこまで!」


すると第二軍隊長のメガロスさんが現れた

第二の二人がその場で敬礼をする


「お前たちの言葉は聞こえていたがもう一度言わせてもらう

聖女様だろうと規律違反は見過ごせない

すでに前々から準備をし待機している者たちを置いて今日の任務を放棄するのは頂けない」


メガロスさんの迫力に聖女様も第三の人たちも後退った

身体が大きいから迫力あるなぁ、とぼんやり考える

相当頭にきたらしい

周りの人たちに頭を下げるとメガロスさんは聖女様を脇に抱える


「ちょ、ちょっと⁉︎ アタシは行くなんて言ってないんだけど⁉︎」


「そんなことを言っても部下たちの言う通り、浄化をすると言ったのは貴女だろう

蔑ろにするなんてあってはならない」


ジタバタと抵抗しているもののメガロスさんはそのまま彼女を連れて行ってしまった

途中、何度も聖女様の悲鳴に近い叫び声が聞こえてきたけど無視されている

第三の人たちが焦って追いかけていき第二の人たちも周りの人たちに一礼すると追いかけていった


「あれで聖女なのか…?」


「ちょっとね…」


聖女様が去っていった方角を見ながら周りの人たちが困惑したように呟く

瘴気は浄化してくれるから良いじゃないか、と言う人も居たけど彼女の態度に耐えきれない人のほうが多いらしい

しばらくすると、いつもの市場に戻っていったけど悪い意味で有名になりそうだとため息を吐いた



             ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「…以上が先日起こった騒ぎの報告になります」


真っ青になっている側近から詳細な報告を受けた

第二の者たちからの報告とは別に、かなりの人が騒ぎを目撃している

その目撃者たちからの報告も含めて聞いて頭が痛くなった

すでにかなりの悪評が広がっていたというのに今回の一件でさらに悪化している


「本当に問題しか起こさないな……」


「スコティノース側に送還するというのは無理なんですか?」


「こちらからは無理だ

あちらが受け入れない限りは動かせないと陛下もおっしゃっていた」


そう言うと側近が悔しそうに眉を寄せた

声には出さないが彼女自身が瘴気のように我々を蝕んでいるような気がする

本当に厄介だ

すると一緒に聞いていたセリーニ義兄様(にいさま)が小さくため息を吐いた


「こちらがどうこう言っても無駄だろう

今は自国の問題を解決することに努めたほうが良い

貴族たちの間でも意見が分かれ始めている」


「派閥に影響が出そうですよね」


「すでに第三軍隊の多くが聖女様に心酔しているようで第一と第二と対立し始めているらしい

アステリが疲れた顔をしていた」


「第三は奔放な方たちの集まりですからね

何か通じるものがあったんでしょう

厄介な問題が足されただけですが…」


セリーニ義兄様(にいさま)と顔を見合わせると同時にため息を吐いた


「そういえばアステリ義兄様(にいさま)は、その後いかがですか?」


「だいぶ参ってるな

浄化に行けば聖女にべったりくっ付かれるらしいし通常の業務は何度言っても邪魔されるから仕事が進まない

離れた場所で隔離したいと言ってたな」


「そんなことを言っていると知られれば厄介なことになるでしょうね」


「だから本人には言ってない

愚痴を漏らしてるのも口の固い第一だけみたいだ」


さすがだ、と思いながら医務室には行っているのか訊いてみると行けてないことが多いらしい

薬草茶を貰ってきてもらったりもするらしいが効かない場合があるんだとか

そこで疑問に思う

医務室の三人は貴族であろうが平民であろうが辛そうな人には平等に治癒魔法を使っているし薬草茶も症状に合ったものを惜しみなく出している


…効かないなんてことがあるのか?


「セリーニ義兄様(にいさま)は薬草茶を飲まれたことは?」


「ある、確かルルーディとミヤに作ってもらった」


「その時の効果は?」


「…特に気にならなかったが

その前にミヤに治癒をかけてもらってたのもあるしな

何か気になるのか?」


「少々…調べてから、お話しします」

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