教会
「…騒がしいのぅ」
我の魔法で上空に設置された足場から暗がりの森にミヤが浄化の雨を降らせていると地上が騒がしくなった
ティルクアーズとグリーゾも下を見て顔を顰める
騒がしくなった原因は教会の者たちが集まっていたからだった
「なんだ、未だに娘を探っているのか」
「妾の魔法で姿が見えないのだから諦めれば良いものを」
ミヤは今、姿を隠している
足場には我ら精霊王が変身した人間三人の姿しか見えないはずなのに教会の者たちは必死に呼びかけている
聖女が居ると疑っていない
「ミヤはグリーゾと待っておれ、少し話してくる」
そう言うとティルクアーズと共に下に降りた
舞い降りた我らに教会の者たちは騒ぎ出す
その中で責任者と思われる男が近寄ってきた
「アステリ様、フィトー殿、聖女様が居らっしゃるんでしょう
我々にお渡しください!」
我らの正体を知らないのか
髪の色を変えているのに姿を借りているアステリの名を呼んでいた
ティルクアーズも医務室でフィトーの姿を借りたままでいる
聖女を渡せ、という要求を無視して問いかけた
「この森の瘴気は浄化されているのだから、わざわざ行く必要はなかろう?」
「瘴気が減っているからこそです
聖女様は我らを導く存在、教会に居なければいけないのです!」
「それを聖女が望んでいると言うのか?」
「そ、それは分かりませんが……しかし聖女様が教会に居ることが正しいことなのです!」
「随分と自分勝手な解釈だな」
ティルクアーズが冷たく言い放つ
しかし責任者の男は引き下がらない
聖女を探すのは教会の使命なのです、と
その言葉にティルクアーズと共に深い溜息を吐いた
「話にならないな」
「その聖女は我らが守護しておる、渡す訳にはいかん」
「アステリ様たちでは力不足です
いつか怪我をされては大変だと思いませんか?
我々に預けておいたほうが安心ですよ」
その言葉に我は目を細める
我ら以上にミヤを守れる力があるのか
未だに我らの正体に気づかないことも含めて苛立ちを覚える
どうしてやろうかと考えていると一人が何かに気づき真っ青になった
「あ、あの…もしかして、もしかしてですが……」
「どうした?」
「この方……もしかして精霊王のラハニス様じゃ……」
その言葉に教会の者たちは一斉に我らを見る
我もティルクアーズも何も言わない
「そ、そんなはずは…ない、だろう…⁉︎」
「し、しかし確か皇后陛下が発表した内容に、外見がアステリ様そっくりだとあった気が…」
そう言われ思い出したのか全員が真っ青になり地面に伏して頭を垂れた
「し、失礼しました!
かの精霊王様とは分からず…!
お恥ずかしい姿をお見せしてしまい申し訳ありません!」
「今さら謝罪されたところでどうにもならん」
「申し訳ありません……しかし厚かましくもお願い致します
聖女様と会わせていただけませんか?」
「断る」
「妾たちが居れば問題ないし、そなたらに会いたいと思っていないからな」
本当に厚かましい、と思いながら拒否した
ティルクアーズの言葉に教会の者たちは沈黙する
聖女が会いたくないと思っていることに驚いたのか、それともその言葉を受け入れられなかったのか
彼らは黙り跪いたまま動かなかった
「……申し訳ありません……っ」
ミヤの姿を隠したまま医務室に送り届けると、その足で皇后のところに赴いた
先程の出来事を話すと彼女は苦虫を噛み潰したような顔をして頭を下げる
「ミヤ本人に危害を加えない限り我らが何かすることは無い
ただ…分かっておろうな?」
「申し訳ありません……」
「別にそなたが謝ることじゃない、だが教会に言っておけ
妾たちが怒っていたとな」
ティルクアーズが睨むように言うと皇后は顔を上げて頷いた
これ以上ミヤの心に不安要素を加えさせないよう我らも警戒を強くしようとグリーゾも交えて約束し合った




