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改良

神の庭から戻った後フィトーさん達に鍋を作った

野菜が手軽に食べられるということでギルドでレシピを登録するように言われた

予防料理として広めていければとフィトーさんも頑張ると言っていた

その傍ら締めの麺かご飯があれば、もっと良かったなと考えて気づく

神の庭にお米があったかもしれないということに

もっと探せば良かったと思いつつ、また行こうと意気込んだ


「うーん…」


配達から帰ってくるとフィトーさんが唸っているのが聞こえた

ポーションを前に書類を睨み頭を掻いている

それは私の魔力を加えた白く光る浄化のポーション


「フィトーさん、何かありました?」


「あぁ、おかえり

いやね暗がりの森(ゾフェロスフォレスト)の浄化をしてくれてるだろう?

ミヤが魔力の使い方が上手くなってきたと言っても森のような広範囲の浄化は……正直何年かかるんだろうと思ってね

ポーションを広い範囲に拡散できるように改良できないかと思ったんだけど…」


スプレーみたいに、かな

それとも煙玉みたいな…?


「……そういえば、そのポーションってフィトーさんの作ったものに私の魔力を混ぜてますけど材料全部揃わないと聖属性として完成しないんですか?」


「ん? そんなことはないよ

すでにほとんどミヤの魔力だけで作ってるからね

確かに最初の頃は俺が作ってミヤに魔力を込めてもらってたけど俺がそれで満足すると思う?」


そう言って誇らしげに胸を張ったフィトーさんを見つめ苦笑いした

彼は気になった物はとことん調べたい人間だ

改良できるなら研究して、より良い物を作りたい

そんな彼だから副産物で色んなポーションを生み出してきたんだろう


「もうこのポーションには薬草が一種類しか入ってないよ

通常の浄化ポーションにも入れてる物だし、これが無いと人体への効果は低くなる」


「ただの水に魔力を込めることは?」


「できるよ、暗がりの森(ゾフェロスフォレスト)用に作ってもらってる物は基本ミヤに魔力を込めてもらってるだけだからね

ただ水の質によって魔力の通りは変わってくる」


「水の質?」


「水が不純だと通りは悪くなるんだ

瘴気に塗れた水は使えないからアステリにお願いして定期的に神の庭の水を持ってきてもらってる」


なるほど、と納得しつつ思い出した

水の精霊王ティルクアーズさんなら神の庭と同等の水を出せるかもしれないということを

魔法で水を出してビーカーに注がせてもらう

そしてビーカーを指で叩きながら


「ティルクアーズさん、居ますか?」


すると水が蠢き鏡のような形になった

そこには私が写っているけど力強く微笑んでいる


「久しいな、聖女よ

いや……ミヤと呼んだほうが良いんだったか

中々呼ばれなくて、やきもきしたぞ」


「すみません、色々ありまして」


「まぁ良い、過ぎたことだ

それでどうした?」


「実はお願いしたいことがありまして…

できるかどうかも分からないんですけど」


フィトーさんから説明してもらったほうがいいかな、と視線を移す

だけどそこに彼の姿がなかった

と思ったら床に跪いている

そういえば、みんなには畏怖の対象なんだと思い出し確認をとる


「行き過ぎた不敬は嫌だがミヤくらいの話し方であれば気にしない

楽に話すと良い、それで何だ?」


「ありがとうございます

実はポーションを改良したいという話をしてまして……」


フィトーさんを立たせて私に代わって説明をしてもらう

流石というか、すらすらと説明していった

ティルクアーズさんは静かに聞いた後


「それでミヤは妾に水を出してほしいということか?」


「はい、雨として暗がりの森(ゾフェロスフォレスト)に降らせられないかな、と思いまして

森の上空で水を出して魔力を込めればどうかなと思ったんですが…」


「ふむ……確かにミヤの案は有効かもな

しかし妾のみでは難しい

ラハニスとグリーゾも居たほうが良いな」


単純に水を空中で撒くだけなら簡単らしい

だけど上空でティルクアーズさんが具現化するには水が必要だし安定した地面が必要とのこと

それには土属性のラハニス

そして大量の瘴気を浄化できた場合、閉じ込めていた範囲を狭める必要がある

そのためにグリーゾさんが必要らしい


「妾のほうから言っておこう、迎えも必要だとな

早速明日やってみよう」


「え、あ、明日…⁉︎」


「早いほうが良いだろう?」


そう言ってティルクアーズさんは消えていった

その後いくら呼びかけても音沙汰が無い


「「………」」


急展開すぎて置いていかれてしまったけど明日実験することだけは決まった



             ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



翌日

グリーゾさんの背に乗り暗がりの森(ゾフェロスフォレスト)の上空に着いた

ラハニスが土で柱を作り用意していた水からティルクアーズさんが私の姿に具現化する

高い位置から見下ろし、それなりの高さがあるからか広く森を見渡せた


「準備は良いか?」


「はい」


「まずは少量の水でやってみよう」


ティルクアーズさんが水を出して私が魔力を注ぎ、真っ黒な木に向かって降らせてみる

木一本の瘴気が問題なく消えたのが見えた


「問題ないのであれば外側から徐々にやっていこう

中心部が一番濃いのでな」


ティルクアーズさんはドーナツのように水を展開していった

それに合わせて魔力を注ぐと淡く光輝く

降らせると一瞬、瘴気が揺らいだ気がしたけど浄化されていった

木一本分くらい小さくなった瘴気をグリーゾさんが漏れないように固めてくれる

この方法でいけそうだと安心する反面、かなり魔力を使うことに気づく

ふらついた私をラハニスが支えてくれた


「森の瘴気を全て消したいなら今と同じ用量で定期的にやっていくしかないな

中心部にいくにつれて量は減っていくから早く済むはずだ」


「分かりました

また皆さんにお願いして良いですか?」


「構わないぞ」

「構わん」

「仕方ないな」


快く返事をしてくれた三人に微笑み、お礼に何か作ろうかと言うと三人の目が輝いた


「それだったら神の庭に寄ろうではないか

ヴィシニに振る舞ったという飯を食べてみたいのぅ」


神の庭に行くのは賛成だ

お米も探しに行きたいと思っていたから

だけど首を傾げる


「ヴィシニさんには会ってないけど」


「なんじゃ、名乗らなかったのか

海エリアで振る舞ってもらったと自慢されたぞ

わざわざ我に変身魔法までかけさせよって、どこに行くのかと思ったらミヤのところだと分かって悔しかったんじゃ」


記憶を辿って思い出す

料理を出そうとしたら声をかけられた時のことを


「……もしかして、あの子どもがヴィシニさんだったの?」


「そうじゃ」


まさかの事実

赤い髪はこの世界では珍しくないから分からなかった

確かに成人男性の声を聞いた気がしていたけど


「ヴィシニは人間が嫌いではなかったか?」


「まぁ…あまり良く思ってないのぅ

しかしミヤは興味があるらしい

自分を浄化してくれた恩もあるだろうからな

名を名乗らなかったのも我らと親しいという印象を与えたくないだけじゃろぅ

気を悪くせんでくれ」


「あ、それは全然大丈夫

ヴィシニさんも色々思うことあるんだろうし

じゃあ探したい食材もあるから行きましょうか」


この後グリーゾさんの背に乗り神の庭に行ってお米を見つけた

小麦もあったから収穫させてもらう

それから山エリア、動物エリア、海エリアと進んでいった


「ミヤは本当に驚かせてくれるな」


「食べられるとは知らなかった、美味しいのぅ」


「おかわりだ、娘!」

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