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作戦

「失礼します」


突然フィトーさんと一緒に第二の会議室に呼ばれた

なんだろうと思いながら入室するとセリーニさんや第二の隊士数名とアステリ達が居て驚く

みんなが怒りを隠すことなく私を見ていて何かしてしまったかと不安になった


「この金の腕輪について、です」


第二の軍隊長であるメガロスさんが机に先日押しつけられた腕輪を置きながら言った

それならセリーニさんに経緯を説明したと言うと彼らの怒りが増したように見える

何故なのか分からず首を傾げた


「この腕輪は隷属の腕輪、というものです」


「れいぞく…?」


「腕輪をつけられたら最後、身に着けた者の意思を奪い操ることができる物です

これは製造、販売が禁止されていて、もし違反すれば極刑が待っています

フィトー殿と魔法研究科に居るレモニー殿にも確認をとりました」


れいぞくって、もしかして隷属…⁉︎


聞き慣れない単語の意味を理解して目を丸くした

そんな物を私に押しつけたのか

そしてつけていれば洗脳されていた、ということか

背中に冷や汗が伝う


「それで、ここからが本題なんだが腕輪を渡してきた人物は覚えてるか?」


「……ごめんなさい、覚えてない」


「そうか……」


彼らは私のその言葉に項垂れた

どうやら、その人の名前が分からず探すことができないらしい

隷属させるなんて国としても見過ごせないからだ

だから特徴でも良いから思い出してくれと言う

興味がなくて早々に記憶から消していたから本当に覚えてない

申し訳ないと思いつつ何かないか必死に考える


「…罠を張ってみましょうか」


「「罠?」」


メガロスさんが出してくれた案では私が隷属の腕輪を使用していることを偽装して犯人をおびき出すというもの

魔法研究科のレモニーさんに協力を頼み、そっくりな腕輪を作ってもらう


「おびき出した犯人を捕まえようと思う」


「なるほど、確かにあの魔法研究科ならそっくりなものを作れるでしょうが…危険ではありませんか?」


「だがそれ以外に手はないだろう」


「それは許可できない」


「なぜですか?」


アステリとメガロスさんで、やるやらないの話が平行線で続く

長くなりそうで、その間に思い出そうと考えていると隷属の腕輪についての報告書が目に入った

読み進めていくと本当に凄惨で、隷属させられて自由を奪われたり性玩具にされたり、戦争に行くように強要されて死んでいったり酷いものだった


「どうにかして捕まえないと」


メガロスさんが早く捕まえたいと思うのも当然だと思った

これ以上、被害者を出さないほうが良いに決まってる

渡してきた人を思い出せないのは私の責任だしメガロスさんの案に賛成することにした



             ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「メガロス第二軍隊長、あの方法は今後やめてくれよ」


「…なんのことですかな?」


レモニーさんに話をしに行くためミヤさんとフィトーさんが部屋を出てった後とぼけるフリをするメガロス第二軍隊長を軍隊長は睨む

俺たちが話し合っている最中にミヤさんが見た資料

わざわざ彼女が気づく場所に置いていたのは間違いなかった

資料には隷属によって虐げられた人々の状態が細かく載っている

彼女の性格を考えると自分が囮になると申し出てくれると確信していたのだろう

ミヤさん本人が承諾してしまっているから今さら我々では強く止められないのが悔しい

だから、せめてもの抵抗として軍隊長は言っているのだ


「ミヤを俺らの都合に巻き込むな」


確かにメガロス軍隊長の言い分も最もだし分かっている

だが軍隊長は囮が嫌いだ

誰かが危険な目に遭う可能性がある

それは仲間であっても同じで

守るために存在している俺たちがして良いことじゃないと言っていた


「…それは母上殿のことがあるから、ですかな?」


そう言われた瞬間、部屋の温度が下がった気がした

全員がそれは感じ取っていてメガロス軍隊長は死を覚悟したように口を結ぶ

先程までの雰囲気とは変わり、まるで別人のような軍隊長に息を飲む

ミヤさんの前では決してしない顔

威圧感のある雰囲気に変わっていた

肌に刺す殺気で上手く息ができない


「…だったら?

お前に関係あるか?」


一段と低く冷えた声で問われて怯む

第二の隊士は真っ青な顔で震えていた


「…アステリ、そこまでだ」


震える身体を深呼吸でなんとか鎮めているとセリーニさんが止めた


「落ち着け、ここで争っても意味はないだろう」


返答は無かったがひとまず殺気は鎮まり、なんとか落ち着いた様子を見せると頭を冷やしてくる、と言って軍隊長は部屋から出ていった

扉が閉まり足音が遠ざかると全員で息を吐いた


「……メガロス軍隊長

二度とあの話は持ってこないでくれよ

次は助けられる保証ができない」


「……承知しました」


メガロス第二軍隊長は額の汗を拭いながら静かに答えた

正面からあの殺気を浴びて、よく立っていられるものだと関心する

ミヤさんに出会って随分柔らかい表情を見せていたはずなのに、また昔に戻ってしまったかのように思えた


もう、あんなことにならないようにしないといけないのに


その後ミヤさん達が戻ってきても軍隊長は姿を見せなかった

突然呼ばれたと言ってミヤさんには黙っておいた

レモニーさんからは了承は得られたらしく明日の夜には出来上がるらしい

それに伴い細かく作戦の内容を決めていく


「レモニー殿から腕輪を受け取ったらすぐに装備し周囲に見えるようにしてください

その後は夜は家に戻らず無防備に歩き回ってください

第二が巡回しますし、一人見張りをつけるので安心していただきたい

もし男が接触してきた場合はすぐさま応援を呼んでください

これは念の為に渡しておきます」


メガロス軍隊長が渡したのは笛型の魔法具

それを吹けば即座に巡回中の第二が駆けつけてくれる

相手がどんな人なのか分からないから注意してほしいと言っていた


「わかりました」


「ミヤ殿が安心できるように全力を尽くしますので、ご協力感謝致します」


「こちらこそよろしくお願いします」

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