鍛冶屋
あれから剣の訓練を続けて早くも二ヶ月ほどが経った
初めよりも上達していると自負している
といってもまだまだで実践には到底達しないレベルだ
それでも毎日の積み重ねは確実に成果を出していて自信に繋がっている
引き続き頑張ろうと決意したある日、カフェティさんから提案された
「鍛冶屋に行ってみませんか?」
どうも練習で使わせてもらっている剣だと私が振り回されているらしい
どうせなら私に合う剣、私専用の剣を造ったほうが良いんじゃないかということだった
確かにそんな気はしていたので了承する
やっぱりちゃんとしたものを使えるようにならないといけない
「では明日、行ってみましょう」
そうして翌日、私はカフェティさんと一緒に鍛冶屋へと足を運んだ
「いらっしゃい」
店に入ると奥で何か作業をしていたらしい店主さんが顔を出した
カフェティさんが軽く挨拶したので私も頭を下げる
ドワーフと人間のハーフらしい店主さんのこの店でどうやら第一軍が使う武器は揃えているようだ
「今日は何しに来たんだ?」
「こちらの方の剣を打ってほしいのです」
「新人隊員か?」
そう言いつつ店主さんは私を頭から足まで見る
そして手を見せてほしいと言われ両手を見せた
しばらく唸っていたけど、ぶつぶつ言いながら奥に引っ込み、すぐに戻ってきた
「お嬢ちゃん、試しにこれ振ってみな」
そう言って渡された剣は特に何も変哲のない普通の剣のように見えた
でも何故かすごく馴染む気がしたので言われるままに振る
すると驚くくらいスムーズに振ることができた
「おー、いい感じだな
剣との相性がピッタリだ
ちょっと持ち手の部分弄りゃもっと使いやすくなるだろうな」
その後、細かな調整をするため手を握られる
この人は他人の手を見たり触ったりするだけでどんな武器が合っているのか分かるらしい
カフェティさん達もこうやって造ってもらったと腰にある剣に触れていた
「まー、とりあえず完成したら取りに来てくれ
明日にはできてるからよ
ちなみに、これくらいだな」
そう言って店主さんは料金の書いた内訳の紙を見せてくれた
ずいぶんと安いですねと覗き込んでいたカフェティさんが言うと、元々造ってあった剣を手直しするだけだからと返される
これなら貯金から払える
「分かりました、お願いします」
そう言うと店主さんは目を丸くしていた
どうしたのか首を傾げる
「いや、もっと値切ってくると思ったからな
まともな奴なんだなと思ってよ」
あぁそういうことかと納得する
確かにそういうことをする人も居るかもしれない
でも払えるお金はちゃんと払うのが当たり前だと思う
そう言うと店主さんは、そうかと嬉しそうに笑って奥に引っ込んだ
私たちも邪魔にならないように帰ることにする
「あの人の腕は確かですよ
良い剣になると思います」
帰り道でそう教えてくれたカフェティさんに頷く
明日出来上がるのが楽しみだと思いながら
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
次の日の昼前、ミヤさんと鍛冶屋に行き剣を受け取った
とてもしっくりくる剣で少し振るだけでも違うと分かると彼女は言っている
変わらず無表情ではあるものの明らかに剣を見る瞳が輝いていた
それを嬉しそうに頷きながら店主が見ている
「大事にしてやってくれ
それなりに愛着があるんだよ、俺は自分の打った剣に対してな」
笑顔でそう言う店主にミヤさんは深くお礼をする
彼女に似合う剣をありがとうと私もお礼を伝えると店主は良い子たちだなと言って満足そうにした
ずいぶんとミヤさんは気に入られたらしく、お金を払った後、店の中の武器をひと通り見せてもらった
「さっそく今から剣の訓練しますか?」
新しい剣を持ったミヤさんにそう尋ねてみると首を縦に振られる
その勢いに思わず笑ってしまわないように私は堪えて歩き出した
「ではミヤさんの剣に合った動き方を一緒に模索しましょう」
私の言葉に頷くミヤさんを見て、これからのことを考える
剣が身体に馴染むのが早いだろうから訓練内容を変更しても良いだろう
ミヤさんに剣を振ってもらうと今までの素振りとは比べ物にならないくらいに綺麗に振れるようになっていた
やはり武器というのは自分に合ったものを選ぶべきなのだと思わされる
何度か打ち込みをしてもらった後
「これからは体力作りと筋力増強を中心に内容を変えていくことを提案したいのですが……どう思いますか?」
「賛成です
今の私ではまだ力不足なので……」
「でしたら早速今日から始めていきましょうか」




