表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/107

失われれば決して

正直、アリシアも<スローライフ>を楽しみたかった。


戦いは好きじゃない。必要とあれば躊躇わないものの、本当はしたくない。


とは言え、VRアトラクションの中での<戦い>は、誰かが死ぬわけでも傷付くわけでもないので、まだマシではある。


もちろん、先刻の<魔獣>のように倒されれば死んだように見えるものの、また最初からプレイすれば再び現れるわけで、死んではいない。


実際に死んだ者とは、そのように再会することはできない。アリシアはそれをよく知っている。


たくさんの<死>を実際に目にしてきたから。


そしてアリシア自身はロボットではあるものの、彼女自身も、<死>を手に入れてしまった。今の彼女が維持できなくなれば、彼女はもう二度と再現されない。それはある意味では<死>ともいえるだろう。


『失われれば決して会えなくなる』


という意味では。


さりとて、今回はアリシア2234-HHCを介してのことなので、<万が一>ということもない。


アリシア2234-HHCとしては<ORE-TUEEE!>とのリンクは解除できないものの、<千堂アリシア(アリシア2234-LMN-UNIQUE000)>としては影響もない。


実際、<千堂アリシア(アリシア2234-LMN-UNIQUE000)>の方は、今も、自身がロボットであることを最大限に活かして、アリシア2234-HHCを介して<ORE-TUEEE!>をプレイしつつ、メイトギア課での仕事もこなしている。


アリシアの主人である千堂京一(せんどうけいいち)の慎重さが彼女を救ったと言える。




などということもありながら、アリシアはナニーニと共に馬車に揺られ、ボーマの街を目指す。


とは言え、ボーマの街へは馬車で二日の距離。一日目も日が暮れ、夜間の移動は危険だということで、<カンダリ>という村で宿を取ることになった。


カンダリはボーマの街への主要な街道沿いにあり、決して大きな村ではないものの宿は充実していた。


けれど、到着する直前、


「びひひひひひ~ん!」


突然の馬のいななきと共に、牽いていた馬車が急停車。アリシアはこの先の展開を知っているので対処できたものの、ナニーニはそのままつんのめる。


それを、アリシアは転倒しないように支えた。


さすがのバランス感覚。


アリシアに抱き留められたナニーニの頬がパアッと火照る。


が、それを誤魔化そうとするかのようにナニーニが御者の方へと移動して、


「どうしたんですか!?」


問い掛ける。すると御者が、


「す、すませんお客さん! あいつが急に飛び出してきて……!」


ナニーニに応えながら向けた視線の先には、道路に倒れた子供の姿があったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ