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向かってくるなら

それは、<次のイベント>だった。


少女が突然、ふらふらと馬車の前に歩み出て、倒れたのだ。


それに馬が驚いて急停車したのである。


「構えて!」


この先の<展開>を知っていたアリシアがナニーニに声を掛ける。


「え!? あ、はい!」


言われてナニーニも腰の剣を抜いて構えた。見た目にもあまり立派ではない、いかにもな大量生産品の安い剣。


しかし彼女が自分で働いてようやく買った剣だった。


とは言え、この先の展開は容赦などしてくれない。


「盗賊だ!!」


停車した馬車の周囲を何人もの男に取り囲まれ、御者が声を上げる。


少女を囮に馬車を止めさせ襲撃するという手口の盗賊だった。


本来のアリシアなら事前の情報がなくても周囲に何者かが潜んでいることは察知できたものの、今の彼女は、途轍もない力を有しているとは言っても一応は人間(という設定の)キャラクター。索敵能力そのものは魔法頼みであり、索敵魔法については基本的に凡庸という設定だった。


その辺りまであまり強力にすると、敵が近付き準備を整える前に奇襲を加えて早々に撃破するということもできてしまうので、さすがにそれではという演出上の都合である。


ちなみに<リアル志向>の者達は、


『索敵能力に力を入れないのはおかしい! こんないかにもな場所でロクに備えもしないとか有り得ない! 先手を打つべき!』


とも主張しているそうだ。なので、リアル志向のVRアトラクションではいかに敵を探し出して先手を打つか?というプレイが横行し、絵的に非常に地味な展開が繰り広げられているとも。


同じ嗜好の者であればそのプレイをモニターしていてもそれなりに楽しめるかもしれないものの、やはりフィクション的な<外連味>を求める層からは、


『見ていて面白くない!』


と敬遠されているというのも事実。


結局、<フィクションにおけるリアルさ>というのはあくまでスパイス的な要素でしかなく、それは<個々の好み>が基本となるため、確実な正解というものはないのだろう。


いずれにせよ、すでに賊に取り囲まれているのは事実。そこでアリシアは、敢えて剣を馬車に残したまま降りた。、


それに気付いたナニーニが、


「アリシア様! 剣を忘れ―――――」


『剣を忘れてます!』


と言おうとしたものの最後まで口にすることはできなかった。


それより先にアリシアが、一番近くにいた盗賊の男の顔面に掌打を浴びせて、一撃で昏倒させる。


『向かってくるなら容赦はしない!!』


的な口上さえ述べることもない。<要人警護仕様のメイトギア>らしく、その時点で可能な対処を、淡々と、容赦なく、確実に行うだけなのだった。



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