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勇者と姫のそれから  作者: べるこさん
第1章 異世界編
8/135

008

マリアと部屋に戻り 向かい合わせに座る。すぐに、シオンさんが来たが


シオンさんは マリアがいることに 驚きの表情を一瞬見せた。


「シオンさん お茶を二つお願い」


「畏まりました」


シオンさんが 控え室に消えた頃を見計らいマリアが


「シオンって言うの?なかなかの 美人さんね」


「そうだね。綺麗な人だし よく気が利くし シオンさんのおかげで不自由しないよ」


「ナオキ様!」


「なんだい マリア」


「私だって やきもちくらい妬くこともあるのですよ?」


マリアは いつもの笑顔で 詰め寄ってくるが 目が笑ってません。


こ、こわいですよ。マリアさん・・・。


「は、は、は、なに、言ってるんだ・・・」


タイミングよくか 悪くか シオンさんが 戻ってきて 給仕を始め 


俺とマリアの前に お茶を 置き 俺の後ろに 控える。


マリアは お茶に一口 二口 口をつけ あら 美味しいなどと 呟く。


一息つき マリアは 尋ねてきた。


「ところで、魔方陣の解読は 進んでいますか?」


「まだ、始めたばかりだからね。ただ、概要だけは少し見えたかな?」


「概要と申しますと?」


「あれは 多重魔方陣だね。まあ それは マリアも知ってるかもしれないけど

俺が ざっと見ただけでも 15層もある」


「15層ですって!?我が国の 3賢人を持ってしても 3人がかりで 3層がやっとですわよ?」


ちなみに 3賢人とは 先日の結界事件のときに 男泣きしていた 大魔道師さまを


含めた この国にいる 3人の大魔道師さまの総称となっている。


「見える範囲でだから 潜っていけば もっと深い階層もあるかもしれないけど

とりあえず 1層目は八割方 解読できたよ」


「もうですか?まだ、数日ですよ?15層以上あるかもしれない多重魔法陣にも驚かされますが ナオキ様の 解読の早さには もっと 驚かされます」


「この数日 ほとんど 篭って解読してたからね。1層目は 封印魔法の術式みたいだね。

解読した八割ってのがそれに当たるんだ。ただ、残りの2割は まったく意味のない物だったりするから困ってるんだ」


「私も詳しいわけではありませんが 魔方陣を解読させないように

紛れを 忍ばせると聞いたことがありますが?」


「うん。そう言うこともあるだろうけど 今回はどうだろう?明らかに 関係ないと

すぐに わかるからね。普通 紛れを忍ばせるなら 解読を間違った方向へ誘導したり

全体の意味を 理解させないようにしたりするだろ?」


「そうやって 悩ますことが目的とか・・・と、言い出すと きりがありませんね。

ところで、どうして 召還魔法に 封印魔法なんでしょう?」


「能力を持つ精霊や人間 魔物を封印して その能力を 触媒や 魔術回路の一部として

組み込むことがるんだが・・・それは 術式を簡略化するためのもので 簡略化されてもなお 15層以上あるかもしれないと思うと ちょっと 恐ろしいね」


マリアはしばらく 難しい顔をしていたが 自分の知識では 役に立てることがないと


諦め 話題を変えてきた。


「ナオキ様 早く帰還されたいのはわかりますが、無理をされてはいけません。

時には 息抜きも必要ですよ。そんな時に 新たな閃きも生まれてくるものです」


「そうだなー この二ヶ月 ずっと忙しかったしな」


「では 息抜きに 城下に降りてみてはいかがでしょう?」


しばし悩み 出した結論は


「行ってみるか」


それまで、侍女らしく静かに控えていたシオンさんが言う。


「それでは ご準備いたします。私がお供いたしますので 少々お待ちください」


「待ちなさい」


控え室に戻ろうとしたシオンを呼び止める。


「その必要はないわ!お供は 私がいたします」


そこには したり顔のマリアが居た。




城の門のところに 立っていると 街娘の服装をしたマリアがやってきた。


聞くと 俺が一緒だから 陛下の許しが出たらしい。陛下も止めろよ・・・。


「お待たせいたしました。デートに参りましょう」


「デート?」


「ナオキ様の世界では 仲の良い男女が出かけるのを そう言うのでしょ?」


「まあ そうだけど」


「では デートです」


「はぁーー じゃ 行こうか」


マリアは 突然 腕につかまってきた。胸が 胸が当たってますよ。マリアさん・・・。


「お、おい」


「今 城下は とても賑わっているそうです。はぐれては困りますので、しっかりエスコートしてくださいね」


俺の抵抗は いとも簡単に論破されてしまった。


確かに 今 タラクシャの城下町は かつてない 賑わいを見せている。


街として機能しているのは 世界的に見ても この国だけなのだ。


だから どこの国も 物資の調達 買い付けはタラクシャにやってくるため 街の中は


かなりの人が 集まっているらしい。今や世界経済の中心はタラクシャと言って良いのだ。


人が集まれば 自然と治安も悪くなる。行商人を狙うため偵察に来た 盗賊や山賊。


仕官を求めて来た 元兵士や騎士。


そう考えると 「一応 渡しておくか」 立ち止まり ポケットから二枚の札を取り出し


マリアに手渡した。


「これは?」


「念のため一応 持っておいて。一枚は 命に関わるようなことがあったときに 自動発動する結界の呪札で もう一枚は 俺の魔力を 込めた呪札。探知魔法で すぐに居場所がわかるようになっているんだ」


「このようなものがなくても ナオキ様が常に私の横に居てくだされば 良いのですが

念のためということであれば 頂いておきます」


札を二枚 綺麗に折りたたみ 胸の谷間に 押し込んだ。


「マ、マリア?」


「ポケットに入れておくと 衣服を脱がされた場合 意味がありませんから。ここが一番 安全です」


小悪魔的な笑みを浮かべ また しがみ付いてきた。


マリアって こんな子だったっけ・・・




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