007
勇者ナオキです。
自分で勇者と名乗るのも恥ずかしい限りなのですが・・・。
魔王を倒し城に戻って 二ヶ月ほど経ちました。この二ヶ月 まあ 大変でした。
ほぼ毎日のように どこかの王様と会ったり パーティーがあったり。
今は少し落ち着いてきましたが どこの国の王様も俺を引き抜こうと必死なので
気の休まるときがありません。
領地や爵位などは 当たり前で 娘を嫁になんてのは 常套手段
自慢の三人娘を全て俺の嫁になんてのは まだ 可愛げがありました。
敵もさる者(敵ではありませんが)普通の縁談では 駄目だと悟り
今度は 6歳の娘を嫁になんて 言い出したり。
6歳ですよ?俺は ロリコンじゃねーし!
そんな 6歳の少女を 自分好みに育て上げて 光源氏計画 なんて邪まな
感情を一瞬でも抱いたりしてないですよ。いや 本当に・・・。
で、それでも駄目だと 今度は 美少年の王子を 付き人や弟子にって。
俺にはそっちの趣味も ねーーーー!
女の子とも男の子とも見える中性的な美少年。そんな彼が 潤んだ瞳で
「ボクじゃ・・・ダメ・・・かな?」
とか言われたら 抗いきれなかったかもしれない。
うん。大丈夫 俺は まだノーマルです。
ギリギリ セーフです。
極めつけは 東の大国 ダリーンでした。王様と王妃がが来られました。
ダリーンの王妃は 世界一の美妃と言われいまして
実際 お会いすると 確かにとても美しい方で 俺なんか、その美しさに
照れてしまって 真っ赤になって うつむくほどでした。
えーと 一応 説明しますと 王妃ってのは 王様の奥さんのことです。
いわゆる 人妻です。
寝ているときに 人の気配で目を覚まし 見ると そこには ダリーンの王妃が
妖艶な装いで立っていました。
平たく言うと エロい格好です。
王妃ですよ?人妻ですよ?
人生最大のパニックに陥りました。はっきり言って 召還されたときよりも
大きなパニックです。どうしていいのかわからず 丁重に自室にお戻りいただきました。
転移魔法で・・・。
しばらくすると 夜中だというのに 城内が少し 騒がしくなりました。
聞けば 転移魔法の防止結界が 破壊されたとか。冷や汗をかきながら そ知らぬ振りを
してたのですが すぐ ヨーヒムさんにばれました。
そして、こっぴどく怒られました。だって 仕方ないのに・・・。
城には当然 王様や王族の方がいますので 暗殺などのテロを防ぐために
城内は全て 結界が張られています。タラクシャの結界は世界でも5本の指に入る
強力なもので、魔法院の大魔道師が年単位の時間を掛けて作り上げた物らしいです。
他国の王族が滞在しているときに 結界が切れる事態は 国際問題に発展することも
あると 脅されたので 鼻歌交じりで それまでの結界の数倍の強度を持つものを
作ってあげました。
大魔道師様は 膝を付いて男泣きしていました・・・。
ヨーヒムさんには 怒られもしたのですが 実は 褒められもしたのです。
ダリーンとしては 既成事実を作りたかった。それは 俺にもわかります。
ただ、コトが なかったとしても 勇者の寝室から 王妃が出てくるのを
タラクシャ側の人間に目撃させる。それだけで タラクシャに揺さぶりを掛ける
効果がある。だから 誰にも目撃されないように 転移させたのは 良かったらしいです。
しかも ダリーンは 入国する際に かなり日程を 微調整してたことから
王妃が妊娠しやすい日を狙って来てた可能性もあると 言うのです。
ヨーヒムさんが 口に出して言うほどですので かなり 高い可能性だったと思うと
背筋が寒くなりました。
俺を獲得したいだけのために 自分の妻に 他人の子を妊娠させるとか
それを受け入れる王妃の決意とか 尋常ではありません。
怖いです。
翌日 お見送りに出たのですが 王妃に 刺すような視線で 睨まれました。
超絶美人に睨まれて 少し ゾクゾクしました。
また、違う世界に目覚めてしまいそうです・・・・。
少し落ち着いてきたこともあり 帰還のため 召還陣の解読を始めて 数日
その日も 早朝から 召還の間に篭っていたのですが 昼前に 疲れと空腹で
一度 自室に戻ろうと思い 召還の間から出ると マリアが立っていました。
「ナオキ様 お疲れ様です。解読は進んでいますか?」
「ああ マリア こんなところで どうしたんだい?」
「そろそろ お昼の時間でしたので ご一緒しようかと思い お待ちしていました」
「それなら 中に入って 呼んでくれたらよかったのに」
ん?マリアの表情が 瞬きをしていれば見落とす程度の寸瞬 曇りすぐに
いつもの笑顔に戻る。
「お邪魔しては 悪いですので」
マリアの表情の変化に 気になりながらも
「そんなこと 気にしなくていいのに」
「ナオキ様 私のことを ナオキ様のお部屋にご招待していただけませんか?」
「姫様 謹んで ご招待させていただきます」
少しふざけて返事をすると マリアはクスクスと笑ってくれた。




