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転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?  作者: サクラ近衛将監
第三章 貴族として

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3―18 領地経営とその他 その一

 公爵に叙爵されてから早2年が過ぎた。

 クラウディアが、15歳になった時(数えではなく満年齢)、僕とクラウディアは夫婦の営みを始めて為した。


 今は、その結果としてクラウディアのお(なか)には、新たな命が育まれている。

 妖精s達の話では、クラウディア付きのメイドを中心に随分とクラウディアに子ができないことを心配していたみたいなんだけれど、それが一気に喜びとなって王都別邸の屋敷内に満ち溢れている。


 クラウディアと子供の健康を気遣ってのことだったんだけれど、15歳になるまで僕とクラウディアが童貞と処女のままだったことは今後も伏せておくつもりだよ。

 但し、診療所では、女性が15歳程度にまで発育しないと、出産時に母子ともに危険になることが有るという啓蒙(けいもう)活動を行なって民意の転換を図っているところだ。


 生憎とこれまでの慣習もあって、なかなか根付かないことはわかっているけれど、地道に啓蒙活動を推進するしかない。

 ところで、領地経営は、代官達の働きもあって順調に推移している。


 ここ最近は、概ね二月に一度、僕がブルームランドへ行くのが定例になっている。

 クラウディアも二回か三回に一度は同行しており、領民たちには若き領主夫人として慕われているようだ。


 クラウディアを主軸として、ブルームランドに於ける孤児院と老人養護施設の支援事業を始めているんだ。

 但し、彼女の妊娠が分かったので、一時的にブルームランドへの訪問は控えさせているけれど、クラウディアの配下を使って、現地で代理をさせている。


 余り領地視察が頻繁過ぎると、配下の者や領民に嫌われるかなと思って、僕の方でセーブしていたんだが、最近は僕がブルームランドに行くことが待ち望まれているみたいなんだよね。

 僕が行くたびに何某(なにがし)かのお土産を持ってゆくから、あるいはその所為かもしれない。


 お土産と言っても、新たな事業計画のようなものであり、配下にとっては仕事が増えるような話を持って行くんだけれど、それが領地の発展につながることだから、うまく行けば領民の暮らしぶりは良くなるし、新たな産業が芽吹いて来ることになる。

 実際にその実績が徐々に溜まってきているから僕の来報を待っているみたいだね。


 また、訪問の都度、新規採用の官吏や騎士を少なくとも一人か二人は同行して行くから、代官のジョシュア・ケアンズや同補佐のオーラッド・マクブランが喜んでいる。

 当然のことながら、ブルームランドでの新規採用も定期的に行っているよ。


 それらの採用者は、僕が鑑定をかけて選ぶから人物的には問題はない。

 また、従来から住んでいる者であって、ブルームランドにとって悪しき人物が居るような場合、陰で当該人物が失脚するように動いたから、最初の一年でそうした人物はブルームランドから出て行ったね。


 ブルームランドの農業では、従来から小麦栽培がメインだったけれど、新たな穀類や野菜等を他所の地域から導入するとともに、堆肥や錬金術師による肥料生産を奨励し、小麦の連作による地力の低下を防ぐように指導している。

 この結果、休閑地が生じない分、農民の収入が増えているんだ。


 また、元王家直轄領とは言いながら、これまで多くの土地が当事者同士で管理されており、その境界が至極曖昧だったので、所謂検地を実施して、土地の境界を明確にするとともに、入り組んでいた農地を区画整理し、区画整理で土地が減った農民には、新たな開墾地を僕が造って農民に与えた。

 また、水利に関しては、灌漑事業と共に領主の直轄管理として、水利権の争奪に基づく内紛を防いだよ。


 畜産業については、これまで国内でもほとんど例のなかった養鶏事業を発足させた。

 前世の(にわとり)よりも大型で飛べない鳥(前世のエミューに似た鳥)を試験的に飼いならしている最中だ。


 また、同じく、(ボア)の品種改良も行っているところなんだ。

 ボアは魔力だまりに棲息すると魔物に変わるので危険なんだけれど、僕の能力でDNAを(いじ)って品種改良を試みている最中なんだ。


 凶暴化の因子を取り除くとともに、徐々に小型化することで、農民が取り扱いやすい大きさにまでなりそうんだが、養豚事業を実用化するには、もう二、三年かかかるかもしれないね。

 養豚飼育が上手くいったら、牛についてもやりたいんだけれど、実のところ、牛がヴォーラ大陸には棲息していないんだ。


 流石に、魔物のミノタウロスは畜産には向かないと思うけれど、ジーゼル大陸には、前世のバッファローに似た大型の偶蹄目が野生でいるので、こいつをブルームランドへ運び、いずれ品種改良するつもりでいる。

 成功すれば乳牛や肉牛が手に入ることになるよね。


 林業では、これまこの世界に植林と言う概念が無かったので、ブルームランドでは、営林事務所を設置して、乱伐を防止するとともに、植林を推し進めている。

 いずれ、林業全般を直轄事業にするつもりだ。


 問題は、住民が使う燃料なんだけれど、これまでは森林を伐採して得られる薪が使われていた。

 薪は手頃な燃料ではあるんだが、人口が増えると都市部の周りには森林が無くなり、入手しにくくなるというデメリットがある上に、はげ山などを放置すると土砂崩れなど人災になりかねない。


 幸いにして、ブルームランドの東側山地には石炭層が眠っており、これを露天掘りで採掘して、コークス生産を始めたんだ。

 石炭のままでは使いずらい面もあるので、ブルームランドでは産業用にコークス、家庭用に煉炭を造るようにしたんだ。


 このために、煉炭用のストーブ(暖房用と炊事用)も作り出して、ブルームランドの住民に対しては割引価格で販売しているんだ。

 それに、製紙業をブルームランドで始める予定なんで、どうしても森林管理が必要なんだ。


 一方で、森林や山地は、魔物生息地域でもあることから、営林作業には冒険者ギルド等との連携も必要になって来る。

 製紙業では、製紙過程で使う魔導具を揃えて、既に紙生産を始めているよ。


 これまで羊皮紙と質の悪い()き紙に頼っていたのが、新たなブルーム紙の出現で、ハーゲン国内でも徐々に紙が置き換わっている。


 今のところ、国内需要だけで手一杯だから、外国との交易は今のところ難しいんだが、引き合いは既に来ている。

 生産量を上げるために、領内の植林と共に、国内各所にあるチップや廃材の確保に動いている最中だ。


 そうして、ブルームランドでは、水産業が余り発展していなかったんだけれど、領地北西部にドルイデン湖という比較的大きな湖があるので、そこを中心にして水産養殖を始めるべく試験場を設置したよ。

 この湖を中心とする河川には、前世のマスとかイトウに似た大型魚が居るんだけれど、こいつは捕まえるのが大変らしく、これまで誰も手を出していないんだ。


 ある意味でアマゾンのピラニアみたいな肉食魚なので、下手に釣りあげたりすると指を食いちぎられたりするから、住民は誰も手を出さないらしい。

 ある意味で魔物に似た危険動物のようだね。


 いずれにせよ、湖の近くに人工湖を造り、そこに試験場を造って、目下品種改良を進めているよ。

 これらの試験場で行っている事業は全て僕の資金からの持ち出しだ。


 実は、鉱山を新たに見つけて開発したので、金・銀はもちろん、ミスリルやアダマンタイトなどの希少金属も僕が採掘、精錬の上、販売していて、これまでに随分と儲けているから、資金は潤沢にあるんだよ。

 新たに造ったブルームランドの領主館近くの丘の地下深くに眠っていたのを発見したんだ。


 そもそも、地下200mほども掘り下げたところにある鉱脈だから、僕じゃなければ誰も気が付かなかったろうし、簡単には掘り出せなかっただろうね。

 僕が治めている領地で、僕がみつけた鉱山だから、当然のことながら採掘した鉱物は僕のものなんだ。


 この鉱山に作業員を雇用することは今のところ考えていないが、状況により人口が増えたら就職先の一つとして検討することにする。

 鉱山と言うものは、うまく管理しないと事故が起きるからね。


 特に例がないほど地下深くの鉱山だから、領民を危険に晒したくないという気持ちが多分にあるんだ。

 鉱山の安全が保てると判断できるようになったら、領民の採用も考慮するつもりだよ。


 尤も、王家直轄領時代からある鉄鉱石鉱山の管理については、代官に任せている。

 後は、僕がブルームランドに行くたびに、道路整備と河川整備をすこしずつ行なっているんだ。


 当然のことながら道路整備には橋梁整備も入っているよ。

 少なくとも領内の重要拠点と隣接する南北の王家直轄領、それにフランツ・ヴィスク・マンハイム・リーベルト子爵領とデニス・ヴァロ・オットマイアー・ローエン男爵領にそれぞれつながる街道は鋭意整備を進めているんだ。


 優先順位は、北の王家直轄領であるセリアンと南のエレーズランドに至る街道が先で、リーベルト子爵領とローエン男爵領につながる街道整備の優先度は低くなるんだが、それでも流通を考えると、できるだけ早いうちに整備をする必要があるかもしれないね。

 特に、リーベルト子爵領とローエン男爵領につながる街道は比較的険しい峠道であり、魔物の出没も多い地域なんだ。


 取り敢えずは、旅人や商人には僕の作った魔導具をレンタルで貸し与え、旅の途上で魔物が接近することをできるだけ防止しているけれど、この魔導具はある意味で魔物が嫌うような音波と臭いで距離を空けるように仕向けているだけで、魔物除けとして絶対のものじゃないんだ。

 行く行くは、街道自体に魔導具を等間隔で設置することにより魔物による襲撃を防止したいと考えているよ。


 まぁ、経費と手間暇はかかるよね。

 時間をかけて徐々に整備して行くしかない。


 河川整備は、ブルームランドの歴史を垣間見る限り、大きな洪水は起きていないんだけれど、土地に住み着く精霊に聞いたところでは、二百年ほど前に大雨による洪水でブルームランドの南部域一帯が洪水に見舞われたことが有るようだ。

 現地に行って僕も確認したけれど一応高い堤防が築かれているので当座の問題はないみたいだけれど、百年に一度の大雨が来た時にこの堤防が持つかどうかは不明だな。


 堤防は一か所だけ増強しても他が破れることになるから、全体を徐々に強化する必要が有るだろうね。

 こいつも長期計画には入れておかねばならないようだ。


 今のところ、ブルームランドへ行くたびに、上流から堤防の高さを1mほど嵩増ししているけれどね。

 一度に施工するのが両岸で200mほどの距離だから、全部終えるには数十年単位の時間が必要になると思う。


 また、河川にかかる橋梁は木造か石造りのようだったけれど、強度計算と耐久力を計算したところ、いずれも構造的に弱そうなので、鋼鉄製のものに置き換えるつもりだが、これも追々の作業だね。

 それと、現在鋭意進めているのが、家を造る際の基準だね。


 前世であったような建築基準法の整備だ。

 同時に、経費節減やら工期短縮に必要なプレハブ工法のための規格導入と品質の維持にも力を入れたいと考えている。


 こいつは林業や石工、大工にも関わって来るんだが、建築基準法を守らせようとしても、これまで学問ではなく経験で培ってきた職人の意識を変えるのは大変だ。

 だから規格製品を造って、できるだけそれを利用してもらう算段なんだ。


 試験的な段階では、職人達にも好意的に受け止められているよ。


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