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蜩のキッチン(苦悩の春2)

深澤は彼女が出ていった日から仕事もしていないと言う。




もう、一月近く 社員に任せっきりらしい。




「もう、何もかもヤル気にならないんだ!!」







「でも、いつまでも、そんなこと言ってられないでしょ。社員の家族も貴方の肩に掛かってきてるのよ」




「あぁ〜、もう、会社も仕事も辞めちまおうか!」





こんな深澤を見たくなかったと言うのは私の本音だった。




この桜の花が散る頃、深澤の心は、今以上に寂しく切ないものになりゃしないだろうか!?




桜の花が、この年ほど

散り去ることを悔やんだことか知れない。




深澤は人生終わりとでもいう顔をしている。


立ち直るには時間が掛かるだろう。




それに、この問題が解決しないままでは、きっと体を壊してしまうのではと心配していた。




私は、その日から頻繁に深澤の様子をメールでチェックした。





『おはよう。朝食摂りましたか?』





『お昼は、どうしていたの?』





『季節の変わり目だから、体調気を付けてね』





『今夜は、休肝日すれば?最近、深酒が過ぎるよ』




ことあるごとにメールを送り続けた。



深澤からは三通に一回の返信はあった。





『深酒をしないと眠れないんだ』






『明日、病院に行くよ。脛椎が堪らなく痛くて。少し、精神も変だ!』




案の定、深澤の病院通いが始まった。






内科・精神科・整形外科と日課となってしまっていた。


深酒をした上、睡眠薬を飲んだりするものだから日中もボンヤリすることが頻繁にあったようだ。



そのまま車の運転を要することもあるようだ。





『今日も、仕事が手につかない。昨晩も眠れなく眠剤を多目に飲んだんだぁ』





『ダメだよ。飲みすぎちゃ!何を飲んでるの?ハルシオンじゃないでしょうね』






『そのハルシオンだよ』







『もう、そういった薬は、止めようよ!その内に、鬱をなって体が蝕んでいくんだからね』





私は、心配でならなかった。


深澤は限界に来ている。







なんとかしないと‥私に何が出来るというのか!!




いや、私には深澤を助けねばならぬ使命があるのだと強く思った。






このままでは深澤が可笑しくなってしまう。




この頃、我が家でも異変があった。


主人に高収入の管理職の誘いがあった。


色々と悩んだ挙げ句、借金を返さなくてはならないと主人は、その誘いを受け入れた。



東京への出張が多く、頻繁に家を空けるようになったのだ。



私の頭の中には、深澤を救いたい!!そればかりが渦巻いていた。




主人が出張に出たある日の深夜、私は意を決して深澤を訪ねることにした。







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