表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

ホワイトポインセチア(お互いの家族3)

それから、深澤から マメにメールが入った。





『今夜、愚息の下宿に来ました。そちらのご子息様が来ています。今から三人で焼肉食いに行きます』



こんなメールは、しょっちゅうあった。




『明日から出張で海外に行きます。電話は使えるようにしておきます。何かあれば連絡ください』




私は、深澤が守ってやる!そう言ってくれたことだけで有り難く、それ以来、深澤と会うことを避けていたある日。





自宅に電話があった。




「蓉子ちゃん、携帯に電話したけど繋がらないんだけど~どうしたの?」






「ごめんね。料金が払えず、止まってしまって‥」




「そうだったのか?心配したよ。明日、木曜日だね。夕方まで仕事だけど‥6時頃に会えないか?」





「6時?余り、遅くならなければ大丈夫だよ」




深澤は、さらりと会おうと言った。




それまで、夕飯の支度を済ませば一時間ぐらいなら時間が取れるはず。





先週、海外でお土産を買ってくるよ~そう言った深澤。きっと、そのお土産を戴けるのだと そう思っていた。






そして‥



翌日、深澤と待ち合わせたのはホームセンターの駐車場。




深澤は作業着のまま私の車に近づいてきた。




手に握りしめた小さな箱は携帯のストラップだと言って手渡された。




その場で開けてみた!


swarovskiのストラップだった。




「わぁ~綺麗!!ありがとう」



私がそう言うと‥



「身に付けるものが良いかと思ったけど‥ストラップが無難だろう」






と、深澤は、窓越しに にっこり微笑んだ。






そして‥



深澤は作業着のジッパーを下ろし内ポケットから封筒を取り出した。



「蓉子ちゃん、使ってくれないか。五十万で足りるか?」





「えっ?!私の為に用意してくれたの?でも‥こんな大金返せやしない」




深澤は私が苦しい生活を余儀なくさせられていることが気が気じゃないと言う。





私が快く受け取ってくれることの方が、嬉しいのだと言う。




「受け取れないよ!」






「じゃあ、催促なしの期限なしで蓉子ちゃんに貸すことにするよ」




嬉しかった。




深澤の気持ちが嬉しくて堪らなかった。





「分かった助かる。有り難く貸して戴きます。必ず返すね」





「了解!本当にいつでもいいんだからね」




「ありがとう」




深澤は振り返りもせず、背を向けたまま手を振り帰っていった。





私は狐に摘まれた感じで暫くその場でボーッとしていた。





今、現実に起きた出来事を整理してみた。



なぜ?



深澤は こんな大金を私に持ってきてくれたのか‥




何度考えても解答が出ない。




私は深澤の細やかな配慮に感謝し、




もし‥


深澤に何かあった時には何を放っても救けなければならないと決意した。





そんなことがあってから深澤からの連絡は途絶えた。




このことが原因ではなく、後で分かったことだが 翔君の下にいる次男のことで忙しく




また、深澤の仕事自体が多忙な時期だったようだ。




私の生活は、深澤からの支援で少し楽になっていた。




深澤を忘れていた訳ではないが、私の方でも色々と忙しく




その上、思わぬ遺産相続の裁判が始まっていた。



そして‥




時の流れというものは早いもので‥




お互いの息子たちも無事高校を卒業し




其々が大阪の大学に進学した頃、




約一年半を費やし相続問題が解決した。




深澤に返済の連絡をした。



借りていた分を返済した時、深澤は




「大丈夫なのか?いつでも良かったんだよ」


と、穏やかな表情で訊ねてくれた。





「うん!ある時に返して置かないと一生返せなくなるから‥」





「また、いつでも言っておいでよ」





「ありがとう。本当に助かったよ。また、甘えちゃうかもしれないよ~いいの?」





「いいよ、いつでも言っておいで。俺の出来る範囲でだぞ!」




その日、受け渡しだけで 私たちは、その日を境に深澤も、そして私もお互いに連絡をしなくなった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ