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ホワイトポインセチア(お互いの家族1)

一週間後の木曜日 いつもと変わらず 白衣を着て家を出た。





途中で着替えた私は 何の後ろめたさもなく 深澤の元へと走った。




空は、一面に厚い雲に覆われ 今にも雨が降りだしそうである。





日本海までは二時間半。

どうか天候が変わってくれと‥祈りながら。



私は深澤の車に乗り込んだ。





深澤の車の薫りは20年経った今でも同じ薫りである。






そう、この20年間、この薫りを追いかけていたような気がする。



思わぬ場所、偶然乗った車‥


この薫りに出会った時は 泪が込み上げるほど深澤を恋しかったことを思い出した。



確か、ムスクの甘い薫りが深澤の薫り。


そして、いつの間にか私の好きな薫りになっている。








車を走らせてから一時間。県境の険しい峠を越すと心配していた通り雨が降りだした。


いやっ、峠を境に雨が降っていた。




運転しながら深澤は急に家族の状況を話し出した。


絵に描いたような幸せ家族だが、実は細い糸で辛うじて繋がっているようなものだと言っていた家族の状況を話し出したのだ。



「うちの嫁さん、浮気をしていたのさ」




「いつ?」




「もう、何年も前のことだよ」




「それで許したの?」




「一度はね」





「一度はねって何度も?」


「二度目の時は離縁も考えたよ〜丁度、翔が小学校を卒業する時だったかな~子どもたちを乗せていて大事故を起こしたんだ」




「うん、それで」




「命も危なかったのさ!情に絆されたって言うか!つい、許しちゃったんだよ、バカなことを‥」




「仕方ないよ、子どもたちも まだ両親が必要だしね」




「あぁ~」


悩み事があると一人で悩む深澤である。

辛かったろうに‥





そうこうしている内に海が見えてきた。


小さな漁場に車は吸い込まれ


そして その漁場を横切ると その先にはビーチが見えた。



雪のように冷たく頬に掛かる小雨。



潮風が吹き荒れ



前方に広がる日本海の荒々しさは、


ゾクッとするようなグレイ一色で染まり反っている。




寒さに震えながら‥車の中へと。


暫く静かに海を眺めたのでした。





深澤との縮まぬ距離は、私の方の警戒心。


腹の内を全てさらけ出すことが出来れば どんなに楽かしれない。




女性というものは往々にして母性というものが備わっている。人によって多少の違いはあるだろうが‥



私自身、普通以上に母性本能が発達していると自負しているほどだ。



深澤の妻の話を聞いただけで母性本能が擽られるのである。






海面に殴り付けるように雨は激しく降りだした。






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