3/13
【第三章】検査員
しばらくすると、白い服を着た人たちがやってきた。
検査員、と呼ばれていた。
何を調べているのかは分からない。
腕を見られる人。
首を見られる人。
背中を見られる人。
時々、耳をじっと見られている人もいた。
外へ出た人のほうが、長く調べられている。
そんな気がした。
けれど、それも確かなことではなかった。
検査が終わると、そのまま家に戻ってくる人もいる。
一方で、検査員と一緒にどこかへ連れていかれる人もいた。
連れていかれた人たちが、どこへ行くのかは誰も知らない。
食料や水は、検査員の近くに大量に置かれていた。
水。
缶詰。
乾いたパン。
保存のきく食べ物。
袋に入った、何に使うのか分からないものまである。
食べ物を持っていく人もいた。
検査員から受け取っている人もいた。
勝手に持っていく人もいた。
けれど、それを見ても誰も何も言わない。
何が正しいのか、もう誰にも分からないようだった。




