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婚約破棄され過ぎて心が折れそうです  作者: プラン9


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79/79

79「冒険者ギルドよ、私は帰ってきた!なのです」

「そういえば姫様、今日はいったいどのようなご用で?」

「ああ、学園の友人に冒険者の素質を感じてな。ちょっと体験させてやろうかと」

《ほほう……趣味道楽で冒険者をしている者も珍しくありませんからな。新たな世界に触れてみるのは、とても良い体験になるでしょうな》


 実際のところ、冒険者家業で生計を立てているのは6割程度といったところだ。オフェンシヴの言うように、残る4割は趣味道楽で冒険者をしている。

 実際、最高ランクである私達も、本業は冒険者ではない。博士は魔術・錬金術の学者で、オフェンシヴは剣を教えているらしい。ネクロは……そういえばあいつ、2人が仕事で忙しい時も普通に私と絡んできていたな。

 あれっ、もしかしてあいつ本業:冒険者?

 いやいや、まさか……そりゃ、あいつをスカウトした時はまだ年端もいかぬ子供だったけどさ、流石にもう最近は……働いているよな?


「なあ博士、ネクロってどんな仕事に就いてるの?」

「ネクロ、ですか? ……オフェンシヴ、知ってます?」

《いや、我が輩は知らないが……》


 なるほど、奴の本業は冒険者か。

 とそんな雑談をしていると、突然私の後ろから飛びついてきた。むせかえる死体の臭い。


「久しぶりー姫様! あー相変わらず……あれっ、太った?」

「ネクロ、お腹をさするのはやめなさい」

「ぷにぷにだー」

「摘まむのもやめろォ!!」


 久しぶりに会って速攻がこれって……というか、なんで死体の臭いしてるんだよこいつは!?

 私が引きはがすと、ネクロは、私の腹の感触を確かめるように虚空を揉んでいる。


「……ふむ」

「ふむじゃない」


 時折こいつの考えている事が分からなくなるわ……。

 いや、きっとなにも考えていないんだろうけど。でないと死体掘り起こしたのがバレて投獄とかされないだろうし。


「いやー久しぶり姫様、ちょっと見ない間に太ったねー」

「向こうじゃ冒険者ギルド無いのよ……」

「それで食生活変えずにで……ですか。でもそれにしては、あまり太っていないように見えますが……?」

《恐らくだが、王女様は新陳代謝に優れているのだろう。だがそれでもカバー出来なかった分が、腹の肉になっているのだと予測する》


 オフェンシヴ、冷静に分析しないで。私めっちゃ恥ずかしい。

 部活辞めた後も食生活改善させなかった元運動部みたいなもんなんだよ今の私は。


「まっ、いいや。姫様-、久しぶりに適当なクエスト受けない?」

「ああ、良いけれど……ちょっと頼まれてくれるか?」

「頼み事……ですかー?」


 受け入れてくれるだろうとは思っているけれど、一応断りは入れておかなければならないからな。

 とはいっても、こういった護衛を雇い魔物を倒すという遊びは、割と貴族達の間で流行っていたものでもあり、ちょっと前なんかはよくクエスト掲示板に貼られていた。なので、多分だけど断られたりはしないだろう。


「ああ、向こうの学園で知り合った友人がいてな。そいつ、冒険者をやってみたいらしいから、色々とサポートしてやってくれ」

《我が輩は構いませんぞ》

「私も……別に大丈夫、ですよー」


 さて、残るはネクロの返事か。

 しかしネクロは顎に手を当ててうーん、と唸っている。どうしたのかしら?


「どうせ狩るならさ、向こうにいない魔物の方が良いわけでしょ? こっちにしかいない魔物ってどんなのがあるの?」

「9割くらい、我が大陸で見かける魔物は、向こうでは見かけなかったわね」

「なるほど。なら大丈夫、私もいけるよ!」


 よし、ネクロからも了承は取れた!

 これで後はアリデレスが来るのを待つだけだわ。


「で、どのクエスト受ける? 私としては、コバルトイーグルの討伐とかオススメなんだけど、綺麗だし」

「そうですねー……ホソバリドクエリトカゲとか、どうですかー……?」

《初心者にはゴブリンソルジャーが1番適しているであろう、貴様等は王女様のご友人を殺すつもりか》

「そこら辺は適当に、でいいんじゃない? なにが出るかなんて分かんないし」


 ああでもない、こうでもないと議論をしていると、あっという間に時間が過ぎていく。

 気がつくと時計の針は、12時前を示していた。


「でさ姫様、その人って何時くらいに来るの?」

「昼頃って伝えておいたから、12時くらいじゃないか?」

「12時……」


 博士がなにやら意味深に時間を呟き、ギルドに備え付けられている時計を見る。


「……そういえば、時差ってどれくらいあるの?」

「さあ?」


 でも精々2時間くらいだと私は思うけどね。

 でも、それにしたって少し遅すぎる気がする。まあ、きっと疲れて寝てしまっているんでしょうな。

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