47「野次馬根性丸出しなのです」
「……気のせいでしょうか、わたくし全然授業に出ていないような気が」
「気のせいじゃ無いですか?」
「シッ! それより、後を追うわよ」
気分はジェームズボンド、若しくは007。やあ諸君、バルカだよぉ。なんだこのキャラ。
さて、私とアリアンローズ、アリーシュは今、ある男を追ってスラム街を隠れ歩いている。そのある男とは当然、ケツァルコルトニー。
何故追っているか? そこに面白そうなものがあるからよ。
ちなみに、アリーシュとアリアンローズまで一緒なのは、出かける前に色々と誘導尋問されて、最終的に自白させられたからよ。あそこで超高級スペアリブとか、生ハムとか出してくるなんて卑怯じゃない……。
「ところで、この帽子と茶色い服はなんなんです? バルカ様?」
「追跡と言えば探偵でしょ」
「ならなんでバルカ様はスーツなんですの?」
「007だからよ」
二人が『なに言ってるんだこいつ』的な感じに首を傾げているが、バルカ挫けない! いいもん、いつか私と同じ転生者見つけて、映画について語り明かすんだもん!
別に外国人でも余裕だし、私のスペックは転生前に比べて、チートと言えるくらいに上がっているし依然問題は無し!
「それより後を追うわよ、アリアンローズ、アリーシュ! ……アリーシュ?」
「アリーシュでしたら、怖そうなおじさんに着いていきましたわよ?」
「アリーシュゥ!?」
~しばらくお待ちください。。。~
「バルカ様~、どうしたんです~?」
「どうしたもっ、こうしたもじゃあないわよ。なに着いて行ってるのよあんた。そこまでお馬鹿ちゃんだったの!?」
「アリ~シュ馬鹿じゃありましぇんよぉ~、えへへ~」
「……酔ってますわね。多分ですが、誘拐犯が霧吹きで度数の高い酒を吹きかけたのかと思われますわ」
平民ってのは、割と酒に強い傾向があるんだけど……そのアリーシュを酔わすなんて。あのワインを樽半分飲み干して「お腹たぷたぷで苦しいです……」と酔った雰囲気さえ見せなかったアリーシュがへべれけにされるなんて。いったいどんな手を使ったのかしら。
……もしかしてスピタリスがあるとか!? 後で買いに行こうかしら。まあでも今は、ケツァルコルトニーよケツァルコルトニー。
「あそこが孤児院かしら……?」
「いえ、あそこは教会ですわね。ミハル教の教会ですわ」
「ミハル教……?」
どっかで聞いたことがあるわね……ミハル教。ええい、ガン●ムは出てくるなガン●ムは! カ●の彼女とかそんな情報はどうでもいいわい!
あー、駄目だ。この世界確か、私が死ぬ頃にはもうレトロゲームに分類されるくらい古いゲームの世界だったわ。全く思い出せん。
「バルカ様、もしかして知りませんの? 我ら聖アリストテレス学院の創立教ですわよ?」
「あー、そうだっけ?」
「バルカ様、礼拝の時間の時いつもぐっすり眠っていますもんね」
アリーシュめ余計な事を言いよって……アリアンローズお願いそのジト眼やめて。仕方ないのよ、アヘンが夜いっつもうるさかったり、寝るときお酒をガバーッて、冒険者の時の癖で飲んで寝ちゃったり……。
あれ、もしかして私、今のところかなりの駄目人間化してる!? 前世では……ああ駄目だ、確か退職金を株でそこそこ増やして自堕落な生活してたわ。人生の後半とかトイレ行くの面倒だからっておむつで済ませてずっとオンラインオフライン問わずのゲーム漬け状態だったわ……。
あらやだ死にたくなってくる、もう一度死んでるけど。
って、それじゃあない、それじゃあないのよ。どこかで、確かにこのゲームで名前を聞いたような……。
「バルカ様バルカ様、あれがお布施って奴なんでしょうか?」
「んー、多分そうね。幾らぐらいかしら」
「音からして80,000アレサってところですわね」
わーお、アリアンローズの謎技術出たわ。私にゃ小銭がじゃらじゃら入ったなーってのしか分かんなかったのに。
何かしら、この悔しさ。
まあ、それはどうでもいいわ。あいつが幾らお布施として出したかなんて興味ないもの。つかよくあんな得体の知れないものに金をつぎ込もうと思えるわね……神の愛なんて形に残らないものに金つぎ込むんなら、飯につぎ込むわ。
まっ、それはどうでもいいわね。
「で、恋してるのはどの修道女にだと思う?」
この教会で働いている……いや、暮らしているか。修道女はかなり多い。というか、そもそも教会自体かなり強大だ。流石に城やらには負けるけども、そこらの民家なんて2件くらいすっぽりと入りそうなくらいだ。
修道女も今見える範囲では10数人は居るだろうか。
「あの顔にそばかすのある女性とか……私達の間では、素朴って感じで意外とモテたりしてましたね」
「酔い醒めたんですの? 早いですわね……わたくしはあの、眼鏡をかけている女性と睨んでいますわね。かなり顔が整っていますわ。わたくし程ではありませんが」
ふっふっふっ、甘いな2人とも。
男が見るのはいつだって決まっている。もし私が仮に男だったとしたら、確実に私はあいつを選ぶ!
「あの金髪がちょっと出ている女性ね、間違いない。胸がデカいから」
そう私が言うと、2人は呆れたようにため息を付いた。




