48「ケツァルコルトニーの儚い恋を叶えよう大作戦なのです!~失敗編~」
さて、どうするか……私達3人は、ミハル教徒教会の前にあるカフェ『カフェドウィル』の店内の隠れるような席で、作戦会議を立てようとしていた。
私はこの作戦を【ケツァルコルトニーの儚い恋を叶えよう大作戦】と命名しようとしたんだけど、アリアンローズとアリーシュにそれとなーく止められてしまった。なんでよ、良い感じにB級映画っぽさが出ているじゃあないの。
「まあ、作戦名は何でも良いですわ。その前に1つ……皆さんに伺いたいことがありますの」
「言ってみなさい」
「……恋愛、したことありますの?」
えっと、それはその、ゲームで……ごめんなさい、BLの方でした。
私が言葉に詰まっていると、アリーシュがまず先に答えた。
「私はいつも恋しています! 何度も私を救ってくれた王子様に、国のために戦った勇者様に!」
「へー、かなりお熱ですのね。それで、相手は誰ですの?」
「バルカ様ですわ!」
「……一応言っておきますけど、わたくしには婚約者がいます故、恋愛なんてものしたことありませんわ」
最後の望みに、とばかりに私に向けられる4つの視線。
私はそっと目を逸らすと、それを察したのかアリアンローズはため息を付いた。いや恋愛の経験ならあるのよ、こう……寝取られたり堕としたのが女性ばっかりだったりとか、色々と問題はあるけども。
「……どうしましょう?」
「どうしますの?」
「万策……尽きた……ッ!!」
3人寄らば文殊の知恵とか言った馬鹿出てこい! 3人集まってもなにもアイデア出てこないぞコルァ!!
さてどうしよう……いやマジどうしよう……。完全にいらんお世話っていうのは分かっているし、私達3人も知っている。
だが、しかしっ! 面白そうじゃあないか……だから私は全力で、学業も捨てて全力でケツァルコルトニーの野郎を支援すると決めたのよ! その結果玉砕しようが恋が実ろうが、私が楽しめるからそれでOK! うん、完璧な作戦ね。不可能という点に目をつぶれば! 畜生!
こうなりゃ太った店員、お前の店を繁盛させてやる!
「ええいこうなりゃ自棄だやけ食いだ! 店主、この店にある肉料理全部持ってこい! 金はキャッシュで払ってやる!」
「キャッシュって何だ!?」
「現金払いよ! オラ持って来い!」
ドン、と私が札束を出すと、店主は「グッド」と言い料理を作り始めた。ざっとメニューを見ただけで数十種類はあるから……まあ全部食えるわ、余裕余裕。
2人の顔は引きつってるけどね、どんだけ食べるんだお前って言いたげな表情ね。うん、私ももうそろそろダイエットしなきゃ、お腹に肉が付いてきたって気づき始めたのよ。
でもね、この大陸平和すぎるの。でも食欲は元には戻らないのよ。
そんな言い訳を頭の中で組み立てていると、次々に運び込まれてくる肉、肉、肉!
最後にドンと豚のような魔物の姿煮が置かれ、ノーベジタブルでフィニッシュとなった。ちなみに最後の料理が運び込まれてくる前に私、半分くらい平らげてたわよ。
「……あんたらも食べて良いわよ?」
「いっ、いえ、遠慮しておきますわ……ちょっとお腹のお肉が」
「流石にこんな量は……ふわぁーっ」
なによ、腹の肉がなによ。私? 着いてないわよ、まだ。まだ着いてない……筈……よね……。
ふと私は気になって、服をちょっとだけ捲ってお腹を摘まんでみた。
……やめときゃ良かった。
「まだ……まだ大丈夫だと思っていたのに……なんで、そんな、なんでっ!」
「あー、お嬢ちゃん。案外体型ってのは、自分じゃよく分かんないもんなんだぜ。離婚したうちの元カミさんも、どう見ても豚みてーに太ってたのに『私全然太ってないから、まだまだ十分綺麗よね。少なくともあんな小娘より』とかほざいてやがって……畜生、結局デブ専の男に寝取られちまったしよぉ、なんでだよ……」
最初は忠告だったのだろうが、店主さんの言葉が途中から明らかに愚痴になってきている……。いや、そりゃ女として見られる男の方に行くだろうと私は思うのだが、アリアンローズとアリーシュはそんな店主を慰めている。
……あれかしら、わたし寝取られすぎて感覚がおかしくなってんのかしら。ラストのせいね畜生。
……取りあえず、この豚の肉を全部たいらげてから考えるかしらねぇ。




