30「たぶん神様も馬鹿なんだろうなー、って思うのです」
「まずは挨拶を。わたくし、アリアンローズ家第二子女、オラルケイニー・アリアンローズですわ。よろしくお願い申し上げます、バルカ様にラスト様」
そう言い黒髪の少女、アリアンローズは、どういう訳かラストの手を取り、仄かに頬笑んだ。ラストが笑みをかみ殺したような表情をしている……あいつ肩痙攣してやがる、笑い堪えているのバレバレだかんな!
あっ、私と目が合━━逸らしやがったあいつ。
「あの、オラルケイニーさん。バルカ様はそっちの――」
「……えっ」
「どうも、バルカ・ド・モンテクルズよ。わ・た・し・が! バルカ・ド・モンテクルズ!」
どういう訳か私を知らない人、みーんな真っ先にラストを王女として見るのよね。そしてこのアリアンローズとかいうのも当然例に漏れずその1人。
アリアンローズは2回ほど私とバルカの顔を往復で見直してから、びゅんって音が鳴るくらいの勢いで頭を下げた。
「もっ、ももも申し訳ありません! よもやバルカ王女とラスト王子を見間違えるなど……となると、こちらの、どう見ても花も恥じらう乙女といった感じの方は……」
「ラスト・アガフィア・モンテクルズでーす。よっろしくー☆」
きゃぴっ、という感じに自己紹介するラスト。もう本当こいつ女にしか見えないわ。洗礼名もどういう訳か、神が女性名の方を下したらしいし。
というか、今の今まで私、ラストの洗礼名忘れてたわ……。多分覚えることはないだろうけど。だってもう使わないし、それ付けた宗教潰しちゃったし。
あらら、アリアンローズ萎縮しまくっちゃってるわ。まあ仕方ないわよね、普通の国なら、王子と王女を見間違えたら無礼千万じゃ済まないもの。……私の国が大らかすぎるのかしら?
「どうか、どうかご無礼をお許しください!」
「女の子に見られるっていうのは男の娘冥利に尽きるってもんだよ。だから気にしないで良いよー、アリアンローズさん♥」
普通の男の子はそんなこと言わない! フローズンな香りをまき散らしたりしない! あと女装もしないし男を誘惑したりしない!
……というか、同性愛は別にいいけれど世継ぎ本当にどうしようかしら。というか、この子女相手でも勃つのかしら。
……なーんで私が弟の下の心配しているのよ。
「……ところで、どうして男であるラスト様が女子寮に?」
「男に手を出しちゃったから、かな?」
……出しちゃった? やっぱりもう既に出していたのかこいつ!




