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婚約破棄され過ぎて心が折れそうです  作者: プラン9


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29/79

29「自分だけ特別って憧れていましたが、こんなのは望んでいないのです」

「あら、どうしましたバルカ様にラスト様?」

「ご機嫌よう」


 私が若干早足にアリーシュの所に向かうと、アリーシュと隣に居る黒髪の少女が同時に礼をした。

 黒髪の女性……初対面ね、多分。別のクラスかしら。ってそれはともかく!


「アリーシュ! 貴女、大麻吸ったりしてるんじゃないでしょうね!?」

「えっ!? いえ、そんなもの吸っていませんよ!? どうしたんですかいきなり」

「だって、だって何も見えない所に話しかけて!!」


 あれ端から見たらただの危ない人だったわよ!? アリーシュの肩をがくがくと揺らしてると、黒髪の少女が私にデコピンをした。

 だけどダメージは相手の方が大きかったようで、涙目で指を押さえながら私をキッと睨んでいる。その様子にちょっとのほほんとした私は、少し落ち着きを取り戻した。

 私がまともに話が出来るようになったと判断したのだろう、少女はわざとらしいため息を付き、紅茶を白いティーカップに注ぎ、私に差し出した。


「少し落ち着いてください、全く……無用な注目を集めていますわよ」

「いや、だって、アリーシュが何もない所に……」

「えっ」

「えっ」


 あれ、アリーシュ、なんで「えっ」って言ったのよ。あれ、なんでみんな私見てるの? 何、見えてないの私だけなの?

 ……マジ?


「……ラスト、何か見えてる?」

「うーんと、緑色の、羽の生えた小さい女の子かな。それがアリーシュちゃんの隣に見えるよ」


 ……私には何も見えないのだけれど。

 まさかラストまで大麻吸っているとは考えにくいし……そもそも大麻で見る幻覚ってどんなのなのかしら。少なくとも、談笑出来るような状態ではなかったわよね、アヘンは。


「えっと、みんな、見えているの?」


 私がドラゴンから受けた傷の箇所を掻きながら訪ねると、ほぼ全員がうんと頷いた。

 ほぼ全員――つまり、私だけが見えていないというのは、確実らしい。すわ幻覚作用かとも思ったが、私はラストと同じ食事を取っているからそれは無い筈。

 となれば考えられるのは……マジで妖精っているの?


「まさか、妖精が見えませんの? 心が汚れていたとしても見えるはずの妖精が……」

「えっ、そういうもんなの妖精って」

「海賊さんも見えていたようですよ?」


 アリーシュが小首を傾げながら言ってくる。

 となると、心の綺麗さは関係ないようで……なら、見える条件って何なのかしら? 気になるわね。ああ、ここに博士がいたらもっと楽になるのに。色々と研究がはかどるのに。


「……えっと、その、元気を出してください。ねっ?」

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