28「新しい名前を付けるのです」
部屋着(軍服)に着替えた私は、ラストと一緒に夕食を取っていた。ちなみに半袖の動きやすいタイプよ、私の服装は。
ラストの? 何というのかしら……ノースリーブなんだけど、なんでこいつが着るとこうエロいのかしら。下? 何故かスカートよこいつ、しかもミニの。
「へっ? 同室の娘の名前が分からない?」
今日は金曜日的な時間らしいのでカレーらしい。
ちなみに私の国では、戦時中は月月火水木金金だったわね。今は日日火水木金土日な生活リズムらしいけれど。よく潰れないわね私の国。
つかこのカレー美味っ! ぴりっとくる辛さの中から、暗殺者の一撃のように甘さが私の舌を刺激する――!! そして、このペッパーソースをかければ……もう、世界大戦……!!
「おーねーえーさーまー?」
「んぐっ!?」
おお、いかんいかん。犯罪的に美味いカレーの虜になっていたわ。
「うーん、自己紹介はしたよね?」
「ええ、したわよ」
「……なのに分からないの?」
ラストが呆れたように言う。まあ私も、ラストの立場だったらそう思うわね。だって自己紹介したのに名前が分からないとか言われても、意味不明だもの。
私はカレーをぺろりと平らげおかわりを要求してから答える。
「アヘン、って名乗ったわ。明らかに蔑称ね」
「アヘン? ……えっと、確か違法薬物だっけ」
「ええ、そうよ」
阿片はどういう訳か、私の生きていた世界と同じように違法となっている。それも死刑という、おかげで私の財政計画が完全に完璧に破綻してしまった。
驚いたのは、私の国以外の殆ども違法としている点。まだ技術的に見てみたら、合法であってもおかしくはないというのに。不思議よねぇ。
っと、それはともかく。問題なのは、あのアヘンと名乗ったあの娘についてのことよ。
「それがまだ合法なのは……北欧の国ぐらいね」
確か、未だ巨人族との戦争が起こっているという国だったかしら。戦時国であれば麻薬も普通に流用されるのよね、死ぬよりはマシってことで。
でも北欧の国は、今残っているのそんなに多くは無い筈だけれど……一応、モンテクルズからもある程度の戦力支援を出しているとはいえ。
まあ、それがアヘンに関係しているとは限らないけれどもね。
「アヘン、関連性があるとすれば……滅亡国は?」
「亡命してきて、ここで匿っていると? 理由は?」
正直北欧の国はどこもかしこも、人種差別やら粛正やらをしている暇なんてものは無い筈。いや、一部だけ『兵は畑から取れる』とばかりに人海戦術やっている国もあるけれども。
「うーん、もっと簡単に聞ける人がいればいいんだけど……」
「そうねえ……」
はあ、と頬杖を付きながら私はため息を付く。
ふと、ほぼ無意識にアリーシュの姿を探してしまう。ああ、癒やしを求めているのだわ私。
その癒やしに対する餓えはどうやら相当だったらしく、ものの1分もしないうちにアリーシュの姿を見つけ――あの子、何もない所に話してどうしたのかしら。
……まさかあの子も大麻を!?




