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第三十四話 “聖炎熾天 イグニス・エゼル” “妖焔爛魔 ヴァルゼリオン=ラグナ”

 天使が茨を破壊して出てくる。

 一対だったはずの純白の翼は三対の計六枚になっていた。


「《熾源陸翼展開セラフィック・エクスパンス》」


 翼の色が薄桃色のようになって、天使の身体についていた細かな傷が癒えていく。

 また純白の翼に戻って、白銀の剣を虚空から取り出した。

 剣に魔力が纏わり、振るわれた斬撃が魔力の塊となって飛んでくる。


「あっぶね」


 何とか左手を突き出して《怒炎顕現(インパルスフレア)》で相殺する。

 動けないのが辛いな。

 出来る事なら俺も戦いたいが、この状況じゃそれも叶わない。


 レアも頑張って攻撃しているが、レアに魔力を回すと俺のスキルが使えない。

 しかしレアの方が俺よりも役立つので俺は魔力供給以外にやる事が無い。

 シトリーヌが斬り合っているのを眺める事しか出来ないな。


「シトリーヌー、頑張れー」


「おい! お前も戦えよ!」


「すまんなー、俺は動けないからー」


 シトリーヌから怒号が飛んでくるが、どうしようもないので仕方ない。

 そのまま眺めていると、シトリーヌが痺れを切らしたのか、何やら力を溜めだした。

 力のままに放たれたのは、正に《暴食(グラトニー)》に相応しい攻撃。


「《森羅嚥餐(エグジスト・イーター)》!!」


 《暴食》の魔力が形を成して、天使を喰い千切った。

 天使の右肩辺りが無くなり、薄桃色の翼で再生しようとしているが、魔力が再生を阻んでいる。

 動きが鈍くなった天使をシトリーヌが斬り伏せた。


「おー、すげえな。やっぱお前ちゃんと強いんだな」


「オレを誰だと思ってる。美食家を舐めるなよ」


 お前はどちらかと言うと悪食じゃないか?

 何でも食べそうなものだが。

 シトリーヌにそれを言うとぶん殴られそうなので、思考だけに留めておく。


 そしてようやく《怒剣ネメシス》が抜けた。

 もう戦闘は終わったぞ。


「おい、遅いぞ。もう終わっちまったじゃねえか」


「ふざけるな。我にもどうしようも無い事だ。元より、我がいなくとも解決出来る事に呼ぶな。真の危機にのみ顕現させろ」


 ネメシスが文句を言っているが聞こえないふりをする。

 するとネメシスから炎が飛び出してくる。


「おい、あっちいなてめえ」


「我を粗雑に扱うとは何事か!」


「はいはい、偉大なる始祖の剣サマ」


 怒り狂うネメシスを適当にあしらっておく。

 しかし、何故か天使の遺体が消えない。

 何故だろうか、と考えていると案の定天使がふらっと立ち上がり、純白の翼にくるまった。


 次の瞬間、光が部屋を支配する。

 これはただの光ではない。

 魔力を伴った滅する光だ。

 レアを庇って《怒気解放(ブレイズギア)》を全解放させる。


「《聖妖始胎再誕(ジェネシス・リバース)》」


罪焔聖妖(ソラリス・アウレア・)胎界迷宮(ジェネシス=メイズ)イグニス=ラグナ 第一断罪者ファーストエクスキューショナー

 “聖炎サンクトゥス・ソラリス熾天(・セラフィム) イグニス・エゼル=ヘルベラ”


 光が収まり翼を拡げた天使は、まるで人に身を寄せたような雰囲気を醸していた。

 先程までの無表情で機械的な表情とは打って変わって、目は開かれ視線からは慈しみを感じる。

 更に天使の背後には球体のようなものが脈打っており、何とも不気味だ。


「《神煌審罰ディヴィニティ・インシネレーション》」


 天使から無差別に光線が放たれている。

 床や壁が抉れているため、喰らったらやばいと直感で分かった。

 かなりの速さをしているが、ネメシスのおかげで《怒気解放(ブレイズギア)》が発動出来ているから避けられるな。

 レアは心配だが、何とか出来ると信じている。


 勝負は速攻。

 一発で決める。

 天使めがけて駆けていく。

 《憤怒(ラース)》の魔力を練り、確実にこいつを仕留める。


「《怒火斬刃(フレイム・エッジ)》!」


 天使は避ける事もせず、俺の一撃で地に伏した。

 今度こそ遺体が消え、奥の扉が開いた。

 レアは何ともなかったようだ。

 シトリーヌもそこまで怪我は負っていなかった。


「おー、カイもつえーじゃん。何でそれをさっきやらなかったんだ?」


「どうも俺とレアは魔力が抑制されてたみたいでな。お前が一度天使を倒してくれたおかげで何とかなったけど」


「へー。オレは何とも無かったけどな。ま、無事倒せたし次行くか」


 レアを連れて奥の通路へと向かう。

 またもや看板が置かれている。


『聖炎熾天を打ち負かし者よ。次なる断罪をその身に刻め』


「は?」


 次だと?

 また戦うのかよ。

 というか、やはりこのボスはここを作った者が意図して配置されているものだ。

 次なる断罪となると、また天使と同じレベルのボスが用意されているのではないか?


 そう思考していると、先程と同じ様に落とされる。

 先程と同じような部屋に、今度は二メートル程の悪魔が立っていた。


 “妖焔爛魔プロファヌス・イグニス・アークデーモン ヴァルゼリオン=ラグナ”


 二連戦……マジかよ。

 だが、休む暇などくれてはもらえない。

 悪魔が早速何かを放とうとしている。


「《堕天罪焔界インフェルノ・フィールド》」


 途端に部屋のあちこちから炎が噴き出し始めた。

 そこまで温度は高くないだろうが、二人には十分怪我になる。

 すると、いきなりシトリーヌが自分に起きた異変を伝えてくる。


「さっきお前らが喰らったのはこれか! すまん、オレは動けん」


 今度はシトリーヌが《暴食》を行使出来なくなってしまった。

 レアは普通に動けるし、魔力も使えるようなので大丈夫そうだ。

 レアにシトリーヌを守るよう指示し、俺は悪魔の方へと走る。


「オラァ!」


 斬りかかってみるも、途中で刃が動かなくなり、その隙に殴り飛ばされてしまう。


「いってぇなあ、おい」


 再生するとはいえ痛いもんは痛い。

 追撃しようとする悪魔をすかさずレアが捕らえ、動きが鈍くなっている。


「《怒火斬刃(フレイム・エッジ)》!」


 すぐさま立ち上がり、悪魔へと斬りかかる。

 真っ二つになったが、先程の天使が第二形態を持っていた事を考慮して警戒する。

 案の定第二形態はあったようで、漆黒の繭に包まれた。

 そして中から産まれたのは、炎の翼を生やして更に禍々しくなった悪魔。


 【罪焔聖妖(ソラリス・アウレア・)胎界迷宮(ジェネシス=メイズ)イグニス=ラグナ 第二断罪者セカンドエクスキューショナー

 “妖焔爛魔プロファヌス・イグニス・アークデーモン ヴァルゼリオン=ラグナ・ミュゲ”


「《臨界熾焔崩(カタストロフ・ラヴァ)》」


 悪魔が放ったスキルは直接的な攻撃はしてこなかったものの、部屋中から炎と共に溶岩が溢れ出して来た。

 早く仕留めないと厄介な事になる。

 悪魔もそれを理解しているのか、高く飛び出した。

 だが――。


「お前の前にいるのは《憤怒》だぞ?」


 その程度ならば堕とせる。

 《憤怒》が使えるならば楽勝だ。


「《怒火斬刃(フレイム・エッジ)》ッ!!」


 《怒気解放(ブレイズギア)》で引き上げられた身体能力で悪魔へと肉薄し、《怒火斬刃》を叩き込んだ。

 二つに裂け、燃えて消えていった。

 これで二体目のボスも終わりか?


「ふう、何とかなったな」


「カイ! すげえな、お前! めっちゃ強いじゃねえか!」


 シトリーヌがやや興奮気味にそう褒めるので、何故かレアが嬉しそうにしている。

 俺としては結構二人に助けられてるんだけどな。


 おかしいな。

 通路が開かないぞ。

 そう辺りを見渡しながら思っていると、意外にもすぐに理由が分かった。


「やあ。君達が今の《大罪》かな?」


 奥の壁が開き、一人の男が歩いて来た。

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