表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/30

第26話《黒皇龍戦・1》

―――世界を侵食する。


「イフ、ストレージと《無限の可能性(アンリミテッド・イフ)》を接続。魔力を引き出せるようにしろ」


『―――実行します』


ストレージと接続され、築き上げられた《無限の可能性》は三枚のカードを目の前に創り出す。

俺はそれを掴み―――握りしめて、宣言する。


「イフ―――《模倣》の拡張。ついでに召喚も頼む」


『―――了解しました。《模倣》の拡張を実行―――ifの世界へと接続。《無限の可能性》の権能を拡張。平行し《模倣》の効果を拡張しました』


‥‥‥模倣というのはただの再現に過ぎない。だが、旧《偽体・無限の可能性》においてその権能は枠組みを超えた。自身の使用したゲームキャラはある意味自分の写し身。そこに《無限の可能性》を合わせることにより―――あり得たかもしれない可能性として再現する。


『召喚実行。我が元に示せ―――《ソーマ》、《レイン》』


「―――コール・オブ・ミー。我が転性の可能性を今ここに」


―――光が形を成す。カードが人間へと変化する。


「―――ふむ、二度目か。だが―――この技も大きく性質を変えたようだ。それに、正直出番はないと思っていたのだが」


白と黒の剣を携えた青年が最初に口を開く。


「こうして話すのは初めてだけど―――よく私を使ってくれてたからね。うん‥‥‥よく知ってるよ」


―――雨の名を冠する少女は腰の刀を抜いてから話しかけてくる。


「―――久しぶり、ソーマ。それに‥‥‥いつも助かってるぜ、レイン。ま、どっちも元は俺なんだがな」


苦笑しながらも挨拶をし、俺は最後の一人を見る。


「‥‥‥」


お互いに何も話さず、ただ見つめるだけだが―――


「―――いや、なんか喋れよ。正直この無言がつらい」


「わかる」


「わかってんじゃねえ‥‥‥って言いたいがお前は俺だからな。あいつら二人みたいに性格が違うって訳でもないし、しゃーねえか」


「そうそう、しゃーないの。‥‥‥それじゃ、改めてよろしくね。それと―――私はフィーって呼んでね」


「おう、んじゃ、俺はレンで」


お互いに握った拳をぶつけ―――《剣製》から村雨を精製する。


「作戦は簡単だ―――俺はソーマを、フィーはレインをイフで補助。魔力量は心配しなくてもいいから―――とにかく全力で行くぞ!」


『―――了解!!』


「早速―――イフ、俺らのステータスをレベル200相当に。」


―――正直300相当にしても良かったんだが‥‥‥魔力消費はできる限り抑えたい。


‥‥‥それから数秒後、肉体に力が漲り、全能感を得る。


「―――どのくらい持つ?」


『演算開始―――完了。魔法使用数が最小限の場合およそ一日。滅茶苦茶な魔法の使い方をしない限り六時間は持つでしょう』


「随分と長いな」


『ええ、現在《無限の可能性》に内包された魔力量はかなりあるので』


「‥‥‥なら上々。それじゃ―――(天駆)」


空中に足を踏み出し、空へと駆け上る。


「空中戦で不利ゲー仕掛けんのは嫌だからな―――墜ちろ。(瞬間加速)」


空高く、グランバルツよりも遥かに高く跳躍した俺は、足を太陽の方に向けて空を踏み込む。


刀を自身の右後ろに構え、瞬間加速によって接近した瞬間―――轟音と甲高い音が同時に鳴り響く。


轟音は俺がグランバルツに刀を叩きつけた時に響いた斬撃の音。甲高い音は―――俺の刀と鱗が擦れあった音だった。


数秒後、上からの衝撃によってバランスを崩したグランバルツは落下し、ゴオォン‥‥‥。と低い重低音を響かせて着地する。


―――刃が一切通らなかった。鱗に阻まれ、刃を肉体に通せなかった。


「硬すぎだろ‥‥‥。流石としか言いようが無いな」


だが‥‥‥どうする?かなりの速度で叩きつけたのにも関わらず、あの鱗に傷がついた感じは無かった。正直対抗できる気がしないんだがな‥‥‥。


「―――シッ!」


ソーマの斬撃が弾かれるのを見て、着地点に居たフィーと合流する。


「―――どうする?」


「とりあえず‥‥‥レインとソーマに任せよっか。正直私達がアレにダメージを与えるなら七剣魔法を使わないとだし―――様子見が一番でしょ」


「‥‥‥そうだな。俺たちのスタイルの源となったアイツらを信じようか」


戦いの幕は落とされた。ここからは―――アイツら二人の時間だ。


━━━━━

《ソーマ視点》


―――硬い。それが俺の感想だった。

強化されたステータスと剣の性能が合わさっても無理‥‥‥か。


「だが‥‥‥奴等に任せられた以上、無様な所は見せられんな。レイン、そっちはどうだ?」


「―――アーツでも差し込めないから結構キツイ!奥義クラスを叩き込むか逆鱗、腹、翼を中心に攻撃するしかないっぽい!」


「了解した!」


―――確かに腹には鱗が見えない。なら―――そこを狙うのが安定。逆鱗は‥‥‥無理。翼は飛行を防ぐのに必要‥‥‥か?


「分担するぞ!俺が腹、レインは翼を頼む!」


「あいさー!」


接近し、腹に向かって斬撃をすると―――弾かれることはなく、めり込む感触がする。


『グオォォァッッ!?』


―――これまで一切声を上げなかった龍が、ようやく声を上げ、俺達という脅威に気付いた。


「まだまだいかせて貰う―――!《黒閃》!」


右腰に溜めていたエネルギーを開放し、一閃。


「いくよ―――《連弾縮地》!」


すると、上の方からも声が聞こえてきて、斬撃によって発生したであろう衝撃波が伝わってくる。


『グラォガアァッ!!』


「―――ッ」


鼓膜が破れるかと思う程の轟音が響く。


そして―――右足から爪が振るわれた。


「しくったか‥‥‥《空閃》」


アーツのアシストに身を任せて、横薙ぎに振るわれた爪を回避する。


「このまま―――《白閃》!」


左の剣を振り抜き、斬撃の勢いを利用して離脱する。


「―――大丈夫!?」


ほぼ同じタイミングで離脱したらしいレインが声をかけてくる。


「ふぅ‥‥‥ああ、まだ大丈夫だ。だが―――」


ここまで話して察したのか、レインは言葉を紡ぐ。


「ええ―――ここからが本番、でしょう?グランバルツも怒ったみたいだし‥‥‥ね」


―――そう、今までのはただの前座でしかなく俺たちを敵だと判断した今からが本番だろう。

敵意を向けてくる龍を見て、息を整える。


「―――レイン、ソーマ、アイギスでどこまで耐えられるか調べるから攻撃を誘ってくれ!」


召喚主であるレンからの無茶振りを聞き、苦笑する。


「フッ―――仕方無いな。了解した!」


隣では同じようにレインも笑っている。


「行くぞ!」


再度グランバルツに接近し―――瞬間、身体を一回転させて薙ぎ払いが放たれた。


「‥‥‥あれを受け止めるのは無謀だろう」


地面を蹴って跳躍し、その薙ぎ払いを回避する。


すると、一瞬なにかに阻まれたかのようにその動きを止め、何事もなかったかのように通過した。


―――恐らくレン達がなんかしたのだろう。


「まあ‥‥‥関係はないが―――ねッ!」


着地と同時に連撃を叩き込む。


龍に比べれば小柄な肉体を生かし、龍の足元を移動することで攻撃を回避し続ける。


「《連弾縮地》!」


ズバババァッ、と斬撃を繰り出すレインの様子を確認し―――龍の足に違和感を感じた。

‥‥‥地面が陥没している?いや、元々が重いのだから沈むのは当然だろう。だが―――数瞬前は沈んでなかった―――


「―――判断ミス―――ッ!グッァ‥‥‥!」


踏み込まれた足は地面を蹴り―――サマーソルトと呼ばれた技が襲いかかった。尻尾が地面を削り、土を巻き上げる。

辛うじて剣で防御したが、そんなものは無意味と言わんばかりの速度と火力で跳ね上げられ、衝撃が体を襲う。


龍の口にエネルギーが溜まっていくのを見て―――ブレスの発動だと、この攻撃は耐えきれないと、経験から理解する。


「だが―――足掻かせてもらう‥‥‥!」


「―――悪いな。まだお前に足掻かせる訳にはいかないんだよ。―――(アイギス・オーバーガーディアン)!」


―――瞬間、光の奔流が俺を襲った。‥‥‥そのはずだった。


「ふむ‥‥‥耐久は申し分なし。流石に魔力消費は大きいが‥‥‥今だけなら連発しても問題はないか」


―――腕を突き出したソイツは、笑みを浮かべながら呟いた。


「‥‥‥すまない、油断した」


「気にすんな。危なかったのは確かだが―――リターンは充分だ。ってわけで、下がるぞ」


「‥‥‥了解」


着地の衝撃を殺し、ステップを踏みながら後退する。


―――あばらが少し逝ったか。痛みに慣れているからかそこまで痛いとは思わないが‥‥‥激しく動いたら支障があるだろうな。


「―――よっしゃ下がるぞ‥‥‥ってあっぶねぇ!?」


グランバルツのひっかきをギリギリで回避し、瞬間加速で逃げるレンと―――


「ちょっ‥‥‥レン、危ない、危ないってば!?‥‥‥《連弾縮地》、三連!」


意図しない方向からの攻撃を回避して離脱するレイン。


「ソーマ、あばらやったんでしょ?治療するからこっちに来て」


フィーに連れられ、白の結晶で囲まれたスペースに移動する。


「ふぅ‥‥‥かなりキツいな」


「―――お疲れ様。それと‥‥‥戦ってどう感じた?」


戦って‥‥‥か。


「控えめに言ってもクソゲー‥‥‥とでも呼んだほうがいいか?コイツは―――グランバルツはこの世界の住民ではほぼ勝てないだろう。数さえ揃えればなんとかなるかとは思うが‥‥‥被害は相当だろうな。とにかく硬いし‥‥‥レンの言動からしてなにかまだあるんだろう」


「うーん‥‥‥私も見ていたから何となく分かるけど‥‥‥こればっかりはレンに聞かないと確証は得られないかな」


―――戦況は依然として不利。だが―――きっと、俺たちは勝利する。そのための布石は―――既に準備できているだろう。

‥‥‥そもそも準備も無しに挑むようなバカではないのだから。


恐らく今年最後の投稿。正直月一は無理があったかなと思いながらも意外と楽しんで書いてました。この作品が面白いと思ってくださったすべての方に感謝を。本当にありがとうございました。


補足:アーツとは?

正直分かってない。レインさんの技でこの世界の技 (ブレイドガードとか) みたいなのでいいんじゃないでしょうか。てかスキルに内包された技ってなんて呼べば良かったんだ‥‥‥?

‥‥‥とりあえずリメイクで新しく纏めときます。そっちで説明があったらこっちでも使うことになりそうなので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ