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第25話《前哨戦》

 ―――正面には無数の兵士。そのどれもが俺の敵であり―――超えなければいけない壁。


「‥‥‥《剣製》―――村雨二連」


 二振りの刀を精製し、対面する。


「準備はいいな?」


 そう問われ、俺は頷く。


「―――それでは、始め!」


 合図が響く。兵士達は抜刀し―――俺は魔法陣を展開する。


「一気に決めさせて貰うぞ―――(伏雷)。接続して―――(昇雷)!」


「―――ッ、総員、回避だ!」


 地面に雷が迸り―――範囲内にいた兵士達は地面に倒れる。それと同時に、空へと向かった雷が身を焦がした。


「‥‥‥大体半分がノックアウト。残り半分も―――(氷結世界)」


 雷から逃れた兵士達に追い打ちをかけるように冷気を放出し、周囲を凍りつかせる。


「―――これで終わりか?」


 周囲を警戒しながら凍った世界に問いかける。


「―――そんなわけ無いだろう」


 背後から一声、風切り音を参考に斬撃を回避する。


「ああ、知ってるよ。(雷切)」


 剣に雷を纏わせた超速の一閃を放ち―――


「ブレイドガー―――グガァッ!?」


 剣を切り裂き、防御すらも貫通して命中させた。


「それに―――読めてるぞ」


 サイドステップで攻撃を回避し、残った敵に目を向ける。

 ―――残存戦力は残り三人。だが‥‥‥覇気が違う。


「ここからはバフを切っていかないと巻けないかもな‥‥‥。流石にバフなしでコレを相手にするのは避けたい。てか何もそこまで本気にならなくても‥‥‥」


 ―――まあ、無駄なことか。


「(瞬雷)、(統魔)」


 魔力を流し、バチバチと音を発生させる。

 三人は駆け出し、同時に剣を振るう。


『―――(ダブルスラスト)』


 剣技の名前が宣誓され、高速の2連撃が三方向から来る。


「―――ッ、(月歩)ッ!ついでにこれも貰ってけ、(ウェポンバッシュ)!」


 右足を一歩下げ、そのまま重心を移し―――地面を蹴り上げる。

 バク転の応用で持ち上がった体と合わせて剣を振るい、左右から迫る剣を弾き飛ばして足を剣の腹に当てて軌道をそらす。


 月歩の勢いをそのまま流用してバク転し、距離を開く。


「速攻で決める―――(伏雷)」


 雷を流し、その中に俺は飛び込む。


「切り裂くは雷光の一閃。纏い飛ばすはイカヅチの神!(絶空・雷切)!」


 雷が収束し、雷切を超えるほどの音と振動を感じさせる。


「さあ―――いくぞ」


 確かな重みを感じながら剣閃を虚空に放つ。

 斬撃の塊が空を走り、命中するのと同時に―――剣閃の音が響いた。


「―――ゲームセット。俺の勝利ってことでいいよな?」


「‥‥‥そこまで!勝者、フィーレン!」


 ―――ふう、一応余裕を持って勝利することが出来たが‥‥‥。


「‥‥‥これで文句はないな?」


「―――ああ、対人戦において君は圧倒的な力を見せてくれた。もちろん文句はないさ。それで―――」


『グオォォォァッッァ!!』


 ―――轟音が響き、空が黒に染まる。


 いったい‥‥‥何事だ?


「―――大変です!黒皇龍―――グランバルツが‥‥‥復活しました!」


 ―――グランバルツ‥‥‥だと?聞いたこともない名前だ。だが‥‥‥あの咆哮。ただの魔物にしては()()()()。もしかしたら―――レベルが150以上かもしれない。


「そうか‥‥‥。今の兵力でヤツに勝てるのか‥‥‥?」


 ガリウスさんの覇気が消え、弱々しくなっている。


「すみません、ガリウスさん。その‥‥‥グランバルツについて教えてもらっても?」


「―――ああ、すまない。君は知らないんだったね」


 軽く咳き込み、意識を話に向けさせたガリウスさんは話し出す。


「―――およそ100年前、我が国に一つの災厄が訪れた。有り体に言えばそれはこのグランバルツだ。そして―――グランバルツは当時の国を壊滅寸前まで追い込み、王都しか残らなかったそうだ。まあ、その王都も壊滅しかけていたらしいがな。それ以来、封印の地であるここに黒皇龍の伝説が残されたのだ」


「―――封印ってのは?」


「昔はそのような術があったらしい。当時の勇者一行が封印まで追い込んだらしいが―――勇者はいないし封印の術はない。八方塞がりというやつだ」


 ―――成る程、グランバルツはクソ強ドラゴンで‥‥‥当時の勇者とかでも苦戦したと。で、それが復活―――か。


 うん、控えめに言って無理。正直二年前とかに来てたら討伐出来なかっただろうが―――まあ、今ならいけるかもな。


 楽観視してる感じもあるが、もち得る全てを使えば対抗可能だろう。


『グオッァァァッァ!!!』


 咆哮。今度は世界にかかる重圧が増え、空を見上げると―――全長20メートル位の龍を見つける。


 ―――《真理の魔眼・鑑定》。


 ━━━━━


 名前:グランバルツ

 種族:龍族

 レベル:300


 ━━━━━


 ‥‥‥ッグァッ。

 クソ―――頭痛が酷い。ステータスは見えないのか‥‥‥。辛うじてレベルは見えたが―――バケモンだろ。

 だが―――こんなにも都合のいいことがあるもんなんだな。


 レベル300程度なら―――ギリギリ手が届く。

 まあ、今回は規模が大きくなったと思っとけばいいだろ。


「‥‥‥なあ、ガリウスさん」


「‥‥‥なにかね」


「一つ聞くが―――アレ、倒したら二つ目の試練を認めてくれたりする?」


 別に何をするのかは知らされてないが―――あんだけ強けりゃ代用くらいにはなるだろ。


「―――っ、君、まさか!?」


「ああ、その通りだよ。んで―――どうなんだ?」


 俺が質問し数秒、無言の空間が続くが―――ガリウスさんの口が緩み、声をあげて笑う。


「―――ハッハッハ!そうかそうか。君は―――ヤツに勝てると、そう言いたいのだね?」


「‥‥‥ああ、確実に勝つとは言えないが―――少なくとも致命傷は与えてやるよ」


「―――面白い!いいだろう。そこまで言うなら我々は見ていようじゃないか」


「おう。それと―――フェルナ!」


「え、なに?」


「―――そこで待ってろ。勝ってくる」


「―――うん!」


 グランバルツの元に向かい、俺はストレージを開く。

 アイテムリストの中に有ったのは三桁もの数の血晶魔剣。その全てが魔力装填済み。


 歩きながら詠唱を口ずさみ、しばらくしてグランバルツの前に立った。


 ━━━━━


 目の前には黒き龍。俺には勝つ理由があって―――それを守る為に、俺は全力を尽くす。


「―――さあ、勝負といこうか。‥‥‥《無限の可能性(アンリミテッド・イフ)》」


 世界の色は変化する―――!


年が明けたら投稿出来ないかもしれないことを先に伝えておきます。

それと、リメイク版を投稿しているので良かったら感想をお願いします。


月歩:足に魔力を集中させ硬質化、筋力強化を行う魔法。月歩そのものはバク転の勢いを利用した蹴りのため体術としての扱いはするが、分類は魔法。簡単に言えば複合技みたいなもの。

複合技:今回使用された月歩など。分かりやすい言い方だと魔法剣とか。主に魔法と物理技を混ぜた属性攻撃のことを指す。月歩はこの中だと若干ズレているが一応魔力という属性を持っているため分類される。主人公は無自覚で使用しているのと、魔法剣士にとっては必修技能だったりもする。


今回も見ていただきありがとうございました!

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