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第22話《日常の破綻》

―――卒業するまであと四ヶ月。気温も低くなり、寒さが体を襲ってくる。


そんな中、俺は全速力でとある馬車を追っていた。


「―――ッ。クソ、距離は縮まってるんだが‥‥‥どこからか妨害がかかってきやがる」


事は大体五時間前に遡る―――。


━━━━━


「―――って事があったんだよね〜」


「そりゃすごいな。俺は―――うん、なにもないな!魔法の練習くらいしかしてないぞ俺」


「‥‥‥でも、それがフィーレンくんらしくないかな?」


「‥‥‥そうか。サンキュ、フェルナ」


「‥‥‥うん」


‥‥‥なんか初々しいな。最近は会話のあとに黙ることも珍しくないし‥‥‥。ふむ、人間関係とは難しいものだ。


「―――なーんて気難しいようなことを考えてるが‥‥‥ま、どうでもいいだろ」


「どうしたの?そんなブツブツと」


「ああいや、特に何も。まあ‥‥‥平和だなって位か?」


「そうだね〜。ちょっと前までいろんなことに関わってきたりしたから‥‥‥。どれもこれもフィーレンくんが首を突っ込んだせいだけど」


そう言って俺をジト目で睨みつけてくる。


「悪い悪い。なにか奢るから許してく―――。ッチ。フェルナ、そこを動くんじゃねえ!」


―――殺気。それも、そこそこ高い。


「―――フェリアス、周囲の警戒」


「了解です、マスター」


‥‥‥気配は無い。だが殺気は感じる。場所は‥‥‥不明、か。

気を感じる能力は最近高まってきたから事前に警戒出来るが―――あのときフェリアスを仲間にできなかったらワンチャン死んでたかもな。


「いやホントフェリアスに感謝感謝。それと―――フェルナ、俺が抱えるからさっさとここから離れるぞ」


「うん‥‥‥今度は何がおきたの?」


「知らん。だが‥‥‥嫌な予感がする」


フェルナにこれ以上喋らせず、俺は彼女を抱えて走り出す。


「―――おいおい逃げてもらっちゃあ困るよ君ィ?残念だけど‥‥‥逃さないぜ?」


俺たちの周りを闇が囲み―――魔法が発動した。


━━━━━


「ここは‥‥‥いや、それよりもフェルナはどこだ!?」


周囲を観察してもフェルナの姿はどこにも見当たらない。だが―――正面には黒のローブを纏った一人の青年がいた。


「君が何者かは知らないが―――依頼に邪魔になるヤツはここで死んでもらうよ」


「おいおい、まともな会話無しにいきなり殺そうとするってか?危ねえことするじゃねえか」


ナイフを構えた男が姿勢を低くして接近し俺に向かってそれを振るう。


俺はバックステップで回避し、気を込めた蹴りを放つ。


「うお!?危ないな〜。それ、かなりの威力でしょ?」


‥‥‥ほぼモーションせずに放った蹴りなんだが‥‥‥予備動作で見抜いたってよりかは反応か?

だが、距離は開いた。なら、魔法を使う余裕くらいなら―――。


「《剣製》―――村雨二連。それと―――ついでだ、(統魔)」


二刀を構え、魔力を整えて身体能力を強化。


「‥‥‥何もないのに武器を取り出した‥‥‥?コイツ、空間魔法の使い手か?」


目の前の男からは動揺が読み取れる。

‥‥‥なんだ?俺の何に動揺をしているのか‥‥‥。だが、早く終わらせるのが先決。


「(伏雷(フシイカヅチ))‥‥‥からの接続、(昇雷(ノボリカヅチ))ッ!」


地面に電流が俺を中心として円状に這い、数秒後、範囲内にある電流が一斉に天へ昇る。


「クゥッ‥‥‥!流石にこれは避けれないね‥‥‥!だけど!」


ローブの中の薬品を飲み干し、俺へと走り―――さっきまでとは違い圧倒的な速さで接近する。


「なッ―――!?」


「そこだッ!」


ナイフが振られる。

一瞬反応が遅れ―――振られたナイフが俺に直撃した。


「‥‥‥ナイフには毒が塗ってある。致死性のはずだが‥‥‥」


―――確かに斬り裂かれた場所からなにかが回る感覚があるな。


だが―――精神耐性が高いから意識は保てる。毒がまだ回りきってないのは‥‥‥統魔のおかげか?


統魔が毒をある程度中和してくれるなら‥‥‥回復魔法を使う余裕がある。


「‥‥‥(キュア)」


ゆっくりとだが、痛みが消えるのを感じる。これならなんとか戦えそうだが―――さっきの男はどこに行ったんだ?

付近にいるなら警戒して俺の様子を伺ってもおかしくないが‥‥‥。


まあ、俺の周りを防御できれば最悪の事態は防げるだろう。


「(アイギス)」


防御魔法を展開し、俺はゆっくりと起き上がる。


「嘘‥‥‥だろう?君はさっき致死性の毒をくらったはずなんだぞ!?なんで生きてるんだよ!?」


俺の背後から聞こえる驚きの声。


そして、俺は振り向き―――意識を集中させる。


「残念だったな。正直俺も焦ったが‥‥‥天は俺に味方してるようだ」


「クッ―――クソッタレ!」


やぶれかぶれにナイフを投げてきた。


「そんな雑な攻撃なんか当たんねえよ」


半歩左にズレ、ナイフを避ける。


「残念だったな!君がここから脱出することはないんだよねぇ!」


そしてもう一本薬を飲み―――地面に倒れた。

近寄って息を確認するが‥‥‥生きてる感じはない。


「ここで死ぬと確かに困るな‥‥‥」


思考する。

ここから出る条件は不明、入った原理も不明、ここがどこかも不明。

‥‥‥これじゃあ八方塞がりじゃねえか。


いや、さっき俺は感じてたな。この現象は魔法の一種だったはずだ。

なら‥‥‥デュランダルで斬り裂ける。


「七剣魔法―――第三刃、(デュランダル)」


大量の魔力が詰まった剣を生成し、俺は目の前の空間に向かって剣を振るう。


「‥‥‥マジか」


確かに目の前の魔法は斬り裂けた。だが―――行動に移す間もなくその切れ目は塞がった。


「困ったな‥‥‥。ゴリ押しが効かないならこの空間にかけられた魔法を解析しなきゃ話にならん」


なら―――《真理の魔眼・天眼、鑑定眼、魔力視》。


魔力視で魔法の位置を把握し―――鑑定眼で魔法の構成を理解し―――天眼でその全てを見て、弱点を

見つける。


魔法の核はこの空間全体‥‥‥か。しかもかなりの魔力を消費してる。

鑑定結果は‥‥‥ふむ、空間魔法?いや、それだけじゃないな。他に‥‥‥結界?確証はないが、何かしらを出さない概念的なのが働いてる。


‥‥‥なぜ出れなかったのかは理解した。恐らくだが、結界で俺をここから出さないようにし、空間魔法でなにかあったときに修復を行なっているんだろう。


「時間も魔力もあまり無いな‥‥‥。早く出ないとフェルナが危ないけど、俺が出るときに魔力が無いと対抗出来なくなる‥‥‥か」


俺一人を閉じ込めるのなら、俺の殺害かフェルナの誘拐、または殺害が目的、更に魔法の質や効果からしてそこそこの規模が相手だろう。


「ならば―――血晶魔剣を作成して、魔力を注いだ上で魔力を最大まで回復させるのが最善、か?」


「それに―――フェリアス、聞こえるか?」


腕にある紋章に語りかけ、応答を待つ。


『―――はい、何でしょうか?』


「よし、一応通信はできるようだな。それで‥‥‥今どこにいる?」


『今は‥‥‥連れ去られたフェルナ様を追っているところです。マスターのもとに留まるより追うほうが良いと判断しました。申し訳ありません』


「いや、問題ない。むしろありがたいくらいだよ。だが―――今ちょっと厄介な事になっててね。結構時間がかかりそうだ。フェリアスはそのまま追ってくれ」


『了解しました。このまま追わせていただきます』


「ああ、頼む」


通信を切り、俺は瞑想を開始する。


早く、早く―――!と、焦る気持ちを抑えながら。


━━━━━


あれから何時間経過しただろうか。

俺の魔力回復ペースで考えると大体三時間程だろうが‥‥‥本当に三時間なのかが確信が持てん。それに―――焦りがあるのがかなりメンタルに来る。


「《多重詠唱》―――七剣魔法―――第三刃、(デュランダル)二連ッ!」


二本の剣を生成する。


「―――一発勝負だ。これを逃したら間に合わなくなる。だから―――失敗はしない!」


‥‥‥呼吸を整え、右の剣を上段に構える。

そして振り降ろし‥‥‥同時に左の剣を振り上げ、剣の軌跡が俺の眼前で重なり合う。


すると―――パリンッ、と音が鳴り、一瞬意識が暗転すると‥‥‥眼の前には草原が広がっていた。


「さっきまで町中にいたはずなんだがな‥‥‥転移の魔法も組み込まれてたのか?だとしたらかなり用意周到ってことになるが‥‥‥」


フェルナと行動を共にしていた俺を隔離し、暗殺を試みる。それが失敗してもほぼ脱出不可能の空間に閉じ込め、更に脱出しても追われないようどこかわからない場所に転移‥‥‥これが用意周到と言わずなんと言うか。


「‥‥‥フェリアス、空に光弾を打ち上げることは出来ないか?」


『光弾ですか‥‥‥炎弾で代用しても?』


「ああ、見えるなら問題はない。‥‥‥頼んだ」


―――数秒後、空に赤い塊が昇るのが見える。あれがモノホンの炎弾かはわからないが‥‥‥俺は信じる。


「(瞬雷)、(ヴァーミリオン・アップ)、(天駆)‥‥‥(瞬間加速)!」


空へ一歩を踏み出し、限界まで加速する。

瞬間加速は解除し、魔力消費量を抑えながら空を飛び続ける。


魔力を極力消費しないようにする影響で、上下に乱高下しながら移動するが‥‥‥肉体は耐えてくれている。


―――そのまま大体一時間が経過し、魔力が半分を切ったころ‥‥‥。


『‥‥‥マスター、もう一度炎弾を放ちます』


「ああ、わかった」


炎弾を見逃さないよう、周囲を見渡してみるが‥‥‥見つからない。


「見つからねえ‥‥‥クソッどこにあんだよ。それにしても‥‥‥ケツのあたりがなんか熱い‥‥‥ん?熱いだと?」


俺の頭に疑問が浮かび上がる、下を向くと―――炎弾がすぐそばまで迫っていた。


「そこにあったのかよ!?ッ―――(アイギス)!」


アイギスで身を守り、俺は自由落下に任せて地面に落ちる。


「‥‥‥フェリアス、真上に俺はいる。回収は任せた」


『御意に。マスター』


落下している最中、下を向くとジャンプしてきているフェリアスを見つける。


俺はフェリアスとすれ違った瞬間―――


「少々荒っぽいですが‥‥‥ここから投げさせていただきます」


首根っこを捕まれ、投擲モーションに入るのを見て‥‥‥。


「了解。ターゲットは?」


「右前方にいらっしゃるあの馬車ですね。それでは、投げます」


俺の体ごと一回転し―――その勢いのまま投げ飛ばされた。


━━━━━


その後、妨害を受けながらも追い続け―――とうとう追いついた。


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