第18話《我が家に来たメイドさん》
「帰ったぞ‥‥‥って、何があった!?」
帰還アイテムを使い、帰ってくると‥‥‥惨状が広がっていた。
血の匂いがし、周囲は戦闘の跡が残っている。魔物の足跡も見えることから‥‥‥恐らく襲撃にあったのだろう。
「‥‥‥フィーレンか。どうやらそっちは無事だったみたいだな」
「フレイヤ‥‥‥これはいったいどういうことなんだ!?」
俺は最悪の光景を思い浮かべるが‥‥‥
「落ち着け。少なくとも、死傷者はゼロだ。みんな生きてるよ。だが‥‥‥何人かがケガを負ってしまってな‥‥‥」
すぐに否定され、俺は安心する。
‥‥‥良かった。無事だったんだな。
「‥‥‥ありがとう、落ち着いた。それで━━━俺の班の二人から話は聞いてるか?」
「もちろんだ。魔族に襲われたらしいが‥‥‥」
‥‥‥正直これは言ってもいいのか悩む。まさか来たのが魔族の中でもトップクラスでヤバい幹部だし、それを俺の従者にするとか‥‥‥誰も信じないだろコレ。
「フィーレンくん‥‥‥フィーレンくん!」
フレイヤの後ろに居たのであろうサディフォートさんが俺に抱き付く。
‥‥‥抱き付く!?
えっ、ちょっ、まっ‥‥‥!?
俺の腹に柔らかい感触。俺は普通の男子高校生と感性は変わらないと自負している。正直めっちゃ喜んでます。
‥‥‥このままでいいのか?このままだと俺は後悔するだろう‥‥‥主に世間体的な問題で。
ならば‥‥‥俺の答えはただ一つ!冷静に引き離す!
「‥‥‥無事だったか。良かったよ。それと‥‥‥さ、悪いんだが‥‥‥ちょっと離れてくれないか?かなり‥‥‥恥ずかしい」
「‥‥‥‥ッッ━━━━━!?ご、ごめんね!?つい嬉しくなっちゃって‥‥‥ホントにごめんね!?」
あっ、顔が赤くなってる。
‥‥‥ふぅ。とりあえずなんとかなったな。相手はガチの美少女なんだよなぁ‥‥‥。心臓に悪い。
「悪い、フレイヤ。本題に戻るぞ。それと‥‥‥サディフォートさんも一応聞くか?」
「うん、お願い。あとごめんね?話に割り込んじゃって」
「いや、大丈夫だ。‥‥‥それじゃ、話すぞ?」
「俺たちを襲ったのは魔王軍幹部、フェリアス・ブラッドエンド。簡単に言えばバケモンだな」
(‥‥‥流石にそれは言い過ぎですよマスター。ワタシはバケモンではありません)
フェリアスが影の中から反論してくる。
(ああ、悪い。だが、俺━━━いや、俺ら人間からすりゃほぼほぼ勝ち目がないレベルでヤバいからな?)
フェリアスを黙らせ、二人の方を向くと━━━
「「‥‥‥‥‥」」
完全にあっけにとられていた。
「‥‥‥俺が言うのもなんだが━━━お前ら、大丈夫か?」
「ああ‥‥‥大丈夫━━━ではないぞ!?何故生きているんだ!?」
サディフォートさんも首をブンブン振り、肯定する。
「‥‥‥ボコした。ついでに主従契約を結んだ。以上」
また絶句。
‥‥‥いや、絶句してるんじゃないのが一名。
気絶してるだと!?
「サディフォートさん!?ホント大丈夫か!?」
この場合どうすれば‥‥‥あっ。
「初仕事だ。来い、フェリアス」
「承知しました、マスター。用件は‥‥‥彼女を運べばよろしいのでしょうか?」
「ああ、頼む。確か‥‥‥あっちに簡易休憩所があったはずだ。そこに寝かせてきてくれ」
そうして、サディフォートさんとフェリアスが去り‥‥‥
「‥‥‥あれが‥‥‥その、フェリアス、だと?」
「そ。まあなんやかんやあって俺の従者になった。それで‥‥‥これ、どうすればいいと思う?」
「‥‥‥私に聞くな。そもそも従者にするのはおかしいだろう?」
だよなぁ‥‥‥。
どうにか出来る方法があるなら‥‥‥
「王にフェリアスを認めて貰うか‥‥‥俺がこの国から逃げるか、あとは‥‥‥隠すしかないな」
「だろうな。私の意見だが‥‥‥逃げるのは最終手段だろう。そして、隠すのも恐らくだめだろうな」
なら、王に話すしかないかなぁ‥‥‥。
「‥‥‥よし、とりあえず今日はこの辺にしておこう。まあ、なんとかするさ。このことはちゃんと伝えておいてくれ」
「了解した」
━━━━━
あれから数日、王様に呼び出され━━━今、俺の前に居る。
ちなみに親には既に伝えている。まあ、それで一悶着あったが‥‥‥。
「‥‥‥フィーレン・エイプレイよ。まずは魔族襲撃を防いだくれたことを感謝する」
‥‥‥威圧が強い。
「いえ、私はただ自分の身に振りかかる火の粉を払っただけです」
「‥‥‥そうか。だが、お主はこの国を救ってくれた。それは正しく報奨を与えなければならないだろう。して、お主は何を望む?」
‥‥‥思ったより話が早いな。正直フェリアスを従者にしたことは何か言われそうだったんだが‥‥‥?
なら‥‥‥こっちから切り出すしかないな。
「‥‥‥フェリアス・ブラッドエンド。この人物について理解はしていらっしゃるでしょうか」
「ほう‥‥‥。ああ、勿論だ。事の顛末はほぼ聞いている」
「それでは、私の望みを。私の望みは‥‥‥フェリアス・ブラッドエンドの保護、又は正式な私の従者としての認定です」
さて、どうなるか‥‥‥?
「‥‥‥フッ、まあそうなるだろう。一応、理由を問おうか?」
「‥‥‥彼女の戦闘能力の高さが主な理由です。そして、今回は彼女を魔王軍から引き抜ける人物であることがわかったので、私の従者としました」
「理由としては妥当であろう。わかった。‥‥‥その上で質問をしよう。フェリアス・ブラッドエンド及び、フィーレン・エイプレイは魔王軍の内通者ではないと言えるか?」
「私は魔王軍の内通者ではないと言えます。そして‥‥‥来てくれ」
「ワタシ━━━フェリアス・ブラッドエンドも魔王軍の内通者ではないとここに宣言します」
‥‥‥数秒の間沈黙が続き‥‥‥
「‥‥‥反応はないようだな。すまない、お主達を試させて貰った。結果は━━━安全であった。よって‥‥‥フェリアス・ブラッドエンドを正式にフィーレン・エイプレイの従者であることを認める。後程証明書を送るため、時間を頂こう」
‥‥‥っし!よかった‥‥‥。これでフェリアスは大丈夫‥‥‥なんだな。
しかし‥‥‥反応、か。何か感知することが出来るモノがあるのか?
一応調べてみるか。
━━━《真理の魔眼・鑑定》。
見える場所にはない‥‥‥な。なら千里眼も重ねて━━━天井や玉座の裏も探る。
‥‥‥あった。概要は━━━へぇ、こりゃ便利だ。まさか嘘を見破る魔道具だとはな。
「‥‥‥ありがたく頂戴致します、陛下。それでは、これにて失礼させてもよろしいでしょうか?」
「ああ、問題はない。‥‥‥案内を頼む」
扉の前で待機していた人物に案内され、俺は王城を出た。
━━━なんとか、なった‥‥‥。
俺はそのまま自宅に戻り━━━
「‥‥‥それじゃ、改めてフェリアス、自己紹介を頼む」
家族に王城での事を伝えていた。
「フェリアス・ブラッドエンドです。前話したように、元魔王軍幹部で、今はマスターの従者をしております。これから長い間関わることになると思うので、よろしくお願いします」
「よろしくね〜。それにしても、まさかフィーがこんな可愛い娘を連れて来るなんて‥‥‥って思ってたけど、訳アリの娘だったのよね〜」
「‥‥‥まあフィーレンが決めたことなんだ。別にそこまで口を出す必要はないさ」
‥‥‥やっぱ俺の親ってすげぇなぁ‥‥‥。
器の大きさが違う気がする。
「父さん、母さん、ありがとう。それと‥‥‥いつも迷惑をかけてるよな。ごめん」
「いいのよ〜。子供は親に迷惑をかけるものなの。だけど‥‥‥ちゃんと大事なことは私たちに相談するのよ?」
「‥‥‥わかった。それで、話は変わるけど‥‥‥リサ、どうしたんだ?」
ずっとそわそわしていたリサが気になり、話を振る。
「えっと‥‥‥それじゃあ、兄様。あの‥‥‥フェリアスさんってなんで兄様の従者になったんですか?」
「‥‥‥一応もう一度説明をしておこうか。フェリアスは魔族である。そして、魔王軍の幹部だった‥‥‥っていうのは話したよな?」
リサはうなずく。
「そうだな‥‥‥ここからはフェリアスに説明してもらおう。フェリアス、どうして魔王軍から抜けたのかの話をしてくれ」
「了解しました。‥‥‥簡潔に言うと、ワタシは魔王軍が嫌いでした。魔王は侵略派の人物ですし、あそこはそこそこブラックは場所でした。正直、あんなところで仕事はしたくありませんね」
「‥‥‥と、このように魔王軍は酷かったらしい。それで、俺がフェリアスを解放し‥‥‥魔族だしこっちだと生活は保証出来ないだろ?だから、俺が保護‥‥‥って形で契約したって訳だ」
「‥‥‥魔王軍ってそこまで酷いんですね‥‥‥」
リサは表情が曇る。
‥‥‥わかる、わかるぞその気持ち。話を聞いているだけでフェリアスの顔が怒りと諦めに満ち、絶望に染まっていくのをみていると悲しくなっている。
「‥‥‥さて、暗い話はここまで!それじゃ、今日はフェリアスを歓迎しようぜ!」
それに父さん、母さん、リサは笑顔になり‥‥‥
「「「「フェリアス(さん)、我が家へようこそ!」
「‥‥‥はい、よろしくお願いします」
ギリギリ投稿です。
‥‥‥久々に書くと難しいですね。
さて、今回はエピローグみたいな感じで書かせて頂きました。
これからは二年ほど時間が飛ぶ予定です。ここら辺は多分ダイジェストになると思います。
今回も見ていただき、ありがとうございました!




