第12話《測定》
んっあぁぁ〜、寝みぃ。
これから学校か‥‥‥なんか久々だな、この感覚は。学校━━━前世とは違うんだろうが、どっか似てるんだろうなぁ‥‥‥楽しみでもあるし、辛くもあるかもな。
よし、行くか!
ああ、そうだ。魔法の開発時に失敗してネタ魔法を作ったことがあったんだよな‥‥‥いくつか使って見るか!
「(幽体変化)、(星幽雨化)、(身地転換)」
(幽体変化)で霊体になり、(星幽雨化)で霊体を雨のように降らせる。最後に(身地転換)で現在地から雨のあるポイントに転移‥‥‥いや、場所を置換する。
単体ではほぼ意味を成さない魔法でも組み合わせると使えるのはロマンだよな!
あとはこれを繰り返して‥‥‥結構楽に着いたな。タイムは大体三分。歩けば十五分だと考えるとかなりの短縮になるな。だけど‥‥‥魔力の消耗が酷い。普通の人じゃ扱いきれんぞこりゃ。
まあ俺が使えるからいいが。
次第に生徒の影がちらほらと見える。そろそろ教室か。
ガラガラ〜
ゆっくりとドアを開く。
「よーっす。おはよー」
挨拶を返してくれる人が数名‥‥‥割と流れは良さそうだな。
朝礼まで‥‥‥大体あと10分。やることも無いし、寝てるかなぁ‥‥‥‥‥。
「は〜い、皆さん、おはようございます。今日は技能テストをしたいと思います〜。一時限目から始まるので、校庭に早めに来てくださいね〜」
zzz‥‥‥
「フィーレンくん、起きて、起きてよー!」
なんか聞こえて‥‥‥ヤベェ!いつまで寝てた!?
「すまん!今何時!?いや、どうすればいい!?」
「今はねー、先生の話が終わってすぐだよ!なんか技能テストをするんだってー。校庭にすぐ来てだって」
「了解‥‥‥そうだ、ミリシャさん、ちょっとよろしい?」
彼女を手招く。
「え?な、なに?」
「ちょっと時間短縮をする予定なんだけど‥‥‥来るかい?」
「出来れば急ぎたいし‥‥‥分かった。嫌な予感がするけど、何をするの?」
頭の中で(瞬雷)、(ヴァーミリオン・アップ)、(天駆)、(統魔)、(バリアフィールド)を発動。
お姫様抱っこで身体を支えて‥‥‥窓を蹴破る!んでもって(リペア)を使用してガラスを修復し‥‥‥
「嫌ぁぁ━━━━━!!嫌な予感はしてたけどこれはないでしょ━━━━!」
悲鳴が聞こえるが無視だ無視!
空を駆けて数秒、人混みの中に着地ィ!
魔法を全て解除し、ゆっくりと彼女を降ろす。
「ふぅ、大丈夫か?」
「大丈夫━━━ではないけど、ありがとうね。おかげで早く着けたよー!」
「いや、別に大したことじゃないさ。一応回復させて貰うぞ‥‥‥(フルヒール)」
回復をし、周りを見渡す‥‥‥めっちゃ注目が集まってるな、デジャヴを感じる。
さて、時間的にギリギリだろうが‥‥‥おっ、先生が来た。なんとか間に合ったみたいだな。正攻法で行ったら間に合わなかっただろう。良かった良かった。
「皆さん、今日は朝話した通り、技能テストをしたいと思います!入学試験で行った戦闘技能テストとは違い、生徒一人一人の個性や性能を把握するための物です。まずは近距離組と遠距離組、非戦闘組に分かれて下さい」
まあ、戦闘出来るのが全てじゃないし、非戦闘組が、いるのはおかしくはないか。俺は‥‥‥どっちだ?
近距離も遠距離も出来るし、どっちでやっても困らないんだよな‥‥‥よし、近距離組に行こう。
「分かれましたね?それじゃあ、それぞれ専門の先生がいらっしゃいるので、そちらに向かって下さい」
近距離の先生は‥‥‥気の強そうな女騎士?みたいな人物だ。というか、どっかで見たことあるぞ‥‥‥。
「君たちの担当となった、フレイヤ・アーチストだ。今回は本来担当するはずである者の都合が悪くなったため、依頼を受けて今に至る。早速だが、まずは身体能力を測らせて貰うぞ」
マジかよ知り合いが来やがった!?
彼女は俺と同じく冒険者で━━━Bランク。つまり強いんだが━━━不幸体質を持っていた。
初めて会った時は、落とし穴に落ちて動けなくなった所から始まる。身につけた鎧が邪魔となり、どれだけ足掻こうと脱出することははなかったのだが‥‥‥そこをたまたま俺が発見、そして救助といった流れになった。
それ以降、ちょくちょくトラップに引っ掛かったりしていた所を助けたことにより、色々な話をし━━━友人のような関係となっていた。
え?まじでどうしよう。
‥‥‥どうしようもねえな!諦めるか!
「はいはーい、まずは俺から良いでしょうか?」
「君は━━━ッ!?んっ、ん"ん"。ああ、分かった。走力検定から初めさせて貰おう。スタートはここ、ゴールは向こうにあるカラーコーンまでだ」
「了解です。じゃあ、カウントダウンをお願いします」
距離は大体二百メートル。俺は直立し、目を閉じる。
「レディーセット!3」
全身の力を抜く。
「2」
これから走り出す自分をイメージし、意識を集中する。
「1」
体を前に倒し━━━
「スタート!」
斜め40度になった瞬間、合図と同時に左足で加速!
スタートは上々、更にブーストをかけ、一歩ごとにスピードを上げ、五分の一に差し掛かった所でトップスピードになる。
あとは全力で駆け抜けるだけッッ━━━!
「ゴール!‥‥‥よし、もういいぞ。タイムは‥‥‥4.
38。良いんじゃないかな?あとお前━━」
「ありがとうございます。あと、俺は落とし穴に落ちた貴女を見ていませんし、ここで初対面です」
「‥‥‥はぁ、分かった。そういうことにしておこう━━━次!!早く走ってこい!」
まあバレてはいるが、初対面で通すことを伝えたし、大丈夫だろう。
「14.65!次!」
計測は続いてるな‥‥‥やっぱ俺異常じゃね?同年代でも屈指のステータスは持っていた自信は有ったが‥‥‥差がありすぎねぇ?
━━━━━
その後も、筋力やジャンプ力など、様々な能力を測定し、次は戦闘能力検定となった。
「君たちには大きく三つの検定を受けて貰う。まず、最大火力テストだ。これは単純に、目の前に用意したダメージ計測人形に全力で攻撃するだけだ。見本を見せるぞ‥‥‥シッ!」
片手剣での綺麗な一閃。かなりのスピードがあるが、これでもフレイヤはタンク役だ。そのため火力は低めだが━━━
『3479』
「私はまあこんなものだ。さあ、ぜひやって見てくれ」
順番をしっかり守り、それぞれの全力を持って攻撃を仕掛ける。
『614』『339』『1420』『549』など、幅広い数値が挙がる。
‥‥‥おお、シーラか。ん?剣を両手で構え━━━横薙ぎに一閃。途中で魔力によるブーストをかけ、速度を底上げしていた。
彼女は‥‥‥『5319』。
こりゃすげえな。技の出始めから十秒も溜める必要はあるが、かなりの火力だろう。
‥‥‥ふむ、これは俺も負けて居られないな。さあ、俺の魔法、技術、能力全てを使って限界の一撃を導き出せ。
俺の順番がやって来た。
「《剣製》━━━【無魔の剣】、(瞬雷)、(ヴァーミリオン・アップ)、(統魔)、(エンチャント・レールガン)」
肉体を強化。
無魔の剣は無限に魔力を溜め込む性質を持つ。つまりどれだけ強い強化を施しても、どれだけ多くの魔力を注ぎ込んでも壊れない。それを利用し━━━強化を重ね続ける。二重、十重、五十重、百重━━━!
前提条件突破。残るは技術的問題。
最速最大の一撃。俺の知る中ではいくつもあるが━━━抜刀。それがいいだろう。
「《模倣》━━━連断縮地」
━━━一閃。
音も鳴らない超速の一閃。振り切った一秒後に風が吹き荒れ、剣に込められた魔力が霧散する。
『計測不能』
破壊された人形の上にその四文字が現れた。
‥‥‥ふむ、どうやらやりすぎたようだ。
しっかし計測不能か‥‥‥バケモンみたいな火力だな。いや、実戦では使えないし使いたくないけどさ。
魔力が全部持ってかれるし、そもそも俺のモットーとして無双とかは基本やらないようにしようと思っている。シーラ戦で能力を制限してたのはこのためだ。
無双を嫌っている訳では無いが、ステータスで無双するより、スキルをしっかりと磨いて自分の技術にするのが大切だと思うからな‥‥‥いつかステータスを封印する奴が現れそうだし。
「「「‥‥‥‥‥‥」」」
無言空間は辛いんだが?
「あっ、あー、よし、もう良いぞ。下がってくれ。‥‥‥よし、次は秒間連撃力のテストだ!これは十秒間に何回の攻撃が当たったのかを計測し、その平均から秒間連撃力を計測する!まずは手本を見せよう!」
新たな人形が置かれ、そこにフレイヤは連撃を繰り出す‥‥‥。
『15』
「こんなものだろう、さあ、始めようか!」
他の奴らはさっきよりも萎縮した感じで連撃を繰り出している。‥‥‥俺のアレが原因かねぇ?
おっと、俺の番か。流石にアレはやりすぎだから‥‥‥抑えて‥‥‥
「《剣製》━━━【クロスエッジ】、(瞬雷)」
今回はスキルを封印して自分の技量だけでやるぞ。
クロスエッジは二刀で一つの武器となる、双剣というジャンルの武器だ。リーチは短く、連撃が素早く出せる。
‥‥‥ラア"ッッ!!!!
左右を高速で、そして重心を常にずらし、時折回転を加え、速度を維持し続ける!
『100』
スコアは百、完璧だ。
「コイツのことは気にするな!最後だが━━━コントロールテストだ!これは簡単で、どれだけ正確に攻撃を繰り出せるかを計測する。攻撃を入れるラインは赤で表示される‥‥‥そうだな、今回はフィーレン・エイプレイ!お前にやって貰う!」
おっとぉ!?俺!?
「うぇ!?お、俺ですか?あのちょっといやなん「拒否権はないぞ」仕方ねぇな!」
拒否権はないの一言に言外に(断ったら後で処す)といっていた。
「じゃあやりますが‥‥‥人形のセットをお願いします」
「分かった」
少し大きめの人形が出され、俺の眼前に置かれる。
「《剣製》━━━【ソルファ・ダ・ブレイド】」
《思考加速・改》の発動を再確認し━━━途端、赤いラインが首筋に現れる。
「フッ!」
首を斬ると、ラインが消え‥‥‥今度は右腕に現れる。
‥‥‥ふむ、こんな感じの流れなのか。時間がたつにつれて厳しくなりそうだ。
━━━━━
「(瞬間加速)、(アクセルエッジ)、(エア・スラッシャー)、(ムーンクロウ)、(ブリッツスラッシュ)!!!」
クソ、ヤバい!反応が追い付かなくなって来やがった!スキルを使ってギリギリ間に合わせているが、限界だ━━━あっ、死んだ━━━。
「ふむ、ようやく終わったようだな。これにて全計測を終了する!皆教室に戻るといい!」
「「「ありがとうございました!」」」
やっっと終わった〜。
‥‥‥さて、ちょっとお話をしようじゃないか。
「お疲れさん、フレイヤ」
「ああ、フィーレンか。そちらもお疲れ。しかし、驚いたぞ。まさかお前がこの学校に入学するとはな」
「そうだな。俺もお前がここにいることに驚いているよ。何でこの依頼を受けたんだ?」
「‥‥‥言わなくても「言え」‥‥‥はい」
「実はだな‥‥‥私━━━金欠に陥ってしまったんだ」
おいおい嘘だろ??
コイツに限って金欠はないはずだが‥‥‥ギャンブルでスるのはないし、変なものを買ったりとかもしないし‥‥‥他に金欠になる要素‥‥‥ないな。
「そりゃまた何で?」
「それは‥‥‥だな、おと、落としてしまったんだ。偶然財布と銀行の通帳を持ったときに落とし穴にかかってしまって‥‥‥」
「お前呪われてんの?」
いや、コイツ落とし穴に落ちすぎだって。流石にそれは同情するぞ?
「‥‥‥すまない。不躾な質問だったな。金━━━貸そうか?」
「いいのか?」
「もちろん。俺とお前の仲だろ?普通に貸してやるよ」
「おお‥‥‥!貴方は神だったか!ありがとう!」
「やべ、悪い、俺ももう戻るわ。じゃあな!」
「ああ、また今度」
次は設定補足を書きます。
あと、主人公は本編でもあったように、別に無双が嫌いな訳では無いが、ただ無双しているだけだと後々自分の為にならないと感じた為、自分で自分に制約を課している感じです。
つまるところ縛りプレイですね。
今回もありがとうございました!




