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第二話【俺の知ってる入学式と違う】

「じゃあ何するんだ?」

「パーティー」

 はぁっ!?

 どうなったら入学式がパーティーになるんだよ。

「色々なシステムとかあるだろ? そういうのってやっぱり俺らに聞いた方が早いからさ、入学式は情報交換の場所兼友達作りましょうの会ってやつかな。この市ではあんまり年齢とかは関係ないから、ここに長い先輩とかもいるんじゃねぇかな」

 やっぱり普通の学校とは違うのか。恐るべし玉ノ凪市、いや緑染ヶ崎。

「それで、内部生の駿河はどうすんだ?」

 外部生に優しいシステムなのはわかったが、内部生にはつまんないんじゃないか。

 俺が内部生だったらバックレる。冗談だが。

「俺は……、暇だからお前に付き合ってやるよ。これから選択する授業も決めなきゃいけねーしな」

 選択する授業? またよくわからない。

「まさかお前、全く生徒要項読んでないんじゃ」

「あー、読んでもわかりそうになかったから読まなかったぜ」

 明らかにあちゃあ、という表情で頭を抱える駿河。俺、そんなに悪いことしたのか?

「封筒の中身くらい確認しろよな、あれに色々大事なことは書いてあったはずなんだ」

「めんどくせーよ」

「いやそこは読んどけよ。仮にも新入生なんだからよ」

「だってわかんねーもん。あれ本当に日本語なのかよ」

 駿河は完璧に頭を抱えている。俺そんな変なこと言ってないと思うんだが。

「しょうがねぇな。パーティーには先生たちも参加して、自分の受け持つ授業の説明をしてくれるんだ。んで、これから受けたい授業を決める。主要教科は先生だけ選べるんだけどな。けっこう自由が尊重されてんぜ、成績さえ取ればの話だけどな」

 めっちゃ先進的だな。俺にはわかんねぇわ。

「授業ってけっこう自由だな。なんでこんな自由にできるんだ?」

「携帯端末が一人一台配られてそこに授業動画が配信される仕組みなんだ。どこでも授業が受けられるってやつだな。だからさ、引きこもりのやつもいるぜ? もちろん、普通に授業もやってるからそっちに出たけりゃ出りゃいい」

 ここまで自由なのか。なんかすげーな、玉ノ凪市。

 トンデモないところに来ちゃった気分だぜ。

「ただし、月一のテストで点数良くないと授業に強制的に出頭プラス放課後補習だから。サボんなよ」

 おっとこんなところに落とし穴があったのか。ま、そんなうまい話があるわけないよな。

「だいたいわかってきたぜ」

「あとはそのうち慣れてきゃいいさ」


 入学式場、ならぬパーティー会場に足を踏み入れると一斉に歓声が耳をつんざく。うるせーな。

 それにしても、本当にパーティーだな。一応みんな正装を着てはいるがやっぱり自由なやつもいるようで(おそらく内部生であろう)、外部生は会場の隅でごちゃごちゃしている印象を受けた。

「今年もすげぇわ。理事長は相変わらずみたいだな」

 理事長ってあのよくテレビに出てるじいさんのことか。すげーなやっぱり。

「いつもこんなんなのか?」

 心配だから駿河に聞いてみる。

「いつもよりうるせぇけど、だいたいこんなもんかな。とりあえず、どっか座ろうぜ」

 駿河に促され、テキトウな席に座る。やっぱりまだ緊張するわ。俺ってメンタル弱いんかな……。

「そんで、さっき言ってた授業の説明とかはいつなんだ?」

「そう急ぐなって」

 焦らすなよ。気になるじゃねぇか。

「まだ先生方は集まってねぇしそれに一応は理事長が説明してくれっから。俺らは大人しく待っときゃ大丈夫だろ」

「そうなのか」

 すむ世界が違いすぎてわからないことだらけだぜ。まったくこんなところ初めてだ。

 座ってちょっと余裕もできたし辺りを見回す。

 楽しそうだ。

「よっす駿河! お前も変わんねぇな」

 親しげに駿河に話しかけるやつがいた。やっぱり内部生ってもともと知り合いなわけだから友達もいるわけだ。

「またお前と同じかよ、いい加減飽きたわ」

 そんなふうに言いつつも駿河は笑っている。

「そいで、お前今年から他のクラス取んの?」

「俺は桐花先生のかなぁ……」

 そのあたりまで聞いていた気がする。なんかよくわかんねぇしつまんねぇからブラブラし始めた。

 外部生は俺だけじゃないよなぁ、内部生よりは友達になりやすそうだし、そっちに行ってみるか。


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