表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
就職先は正妃様代理(仮)  作者: 美月一乃
番外編IF
49/49

後宮での生活29

久方ぶりの更新で少し短めですが、読んでいただけたら嬉しいです。

「お、お、お待ちください、リーリオ様」


転がりそうな勢いで飛び出して来たフロルの姿に、誰もが驚きそして納得した。


あの子ならやるだろうと……


そんな事を思われてるとは全く思ってもいないフロルは、頬を染めながらリーリオを見つめいていた。


「あの、その……お会いできて光栄ですわ、リーリオ様」


嬉しそうな表情で話すフロルの視線には蛍は全く入っていない、完全に二人の世界(フロルの脳内では)だった。


「あ、あの、私が摘んだお花を殿下にプレゼントしたくて、その、あの、貰っていただけないでしょうか?」


もっていた|≪握りしめていた≫花束をリーリオに差し出した。


この間、リーリオは何も言わず、ただ静がに笑みを浮かべていた。

 他の令嬢達が面白くないと内心思いながらも、場の空気を読まないフロルにある意味、最強なのではと思っていた。


(あれ、もしかして固まってる? ちょっと、早く受け取らないと可哀そうだって)


 リアクションを起こさないリーリオに蛍は見えないように肘鉄を食らわせ、リーリオは肘鉄の痛みに涙目になりそうになりながら、フロルから花束を受け取った。


「ありがとう、レディーフロル、わざわざ済まないな……本当はゆっくり話でもしたいが、母上に呼ばれて居てな」

「いいえ、お気になさらないでください。こうして花束を貰って頂けただけで、フロルは、フロルは幸せでございます」


|空気≪蛍≫な状態の蛍にフロルのメイドが歩みよってきた。


「どうかしたのかしら?」

「……いきなり申し訳ありません、お嬢様から次期正妃様にも花束をと……」


 リーリオの花とは少し違う種類の花束がメイドから差し出された。


「まあ、私も? 嬉しいわ、ありがとう、レディーフロル」


 嬉しそうな表情を浮かべながら、花束を受け取り、未だリーリオ以外に眼中にないフロルに声をかけた。

 話しかけられた、フロルは驚いた表情を浮かべながら、花束を持っていたメイドに視線を向けたが

 メイドはただ笑みを浮かべるだけだった。


「リーリオ様、私も頂きましたの」

 

 蛍の言葉に、リーリオは笑みを深めながら頷いた。


「それは良かったな、ありがとう、レディーフロル」

「い、いえ、そんな」


 リーリオの言葉に頬を染めるフロルの様子に、周りの令嬢達の表情はどんどん険しくなっていった。

リーリオには見えないようにしては居るが、正直怖い。


(これ以上いたらまずいかな、他の令嬢達の顔も怖いし)


「リーリオ様、もう戻りませんと、王妃様がお待ちになっています」

「そうだな、申し訳ないが失礼するよ」


 リーリオの言葉にまた何か声をかけようとするフロルを制するように、慌てた様子でその場を後にした。

 その場に残ったフロルは幸せな表情を浮かべ、そんなフロルとは反対に話しかけるチャンスを得られなかった

 令嬢達は憎らしい視線を向けていた。

 フロルはそんな視線に気づくこともなく、その場を後にした。


 一方、リーリオ達は王妃様を待たせては不味いと小走りで廊下を進んでいた。


「……ふう……急がないと、王妃様が待ってるわ」

「そうだな、さすがにレディーフロルに声をかけられた時は焦ったが、何とか切り抜けられたな、大丈夫か?」

「…大丈夫、疲れただけだよ、それにしても、私まで花束を貰えるとは思わなかったわ」


 そんな事を話しながら、部屋に戻ると王妃様が楽しげな表情を浮かべながら、お茶を楽しんでいた。


「「遅くなって申し訳ありません」」

「良いのよ。リーリオの事だから、令嬢達に囲まれていたのでしょう? あら、その花束は? 」

「……はい、レディーフロルから……私とリーリオ……にって」

「大丈夫?顔色が悪いわ」

「い、いえ……大丈……夫……ッ!! ドサッ 「蛍!! 」


 いきなり倒れ込んだ蛍を、リーリオが間一髪の事頃で受け止めたが、呼びかけに答える様子もなく

すぐさま、自室のベットに運ばれた。


 王妃は蛍が持っていた、花束を見た瞬間、勢いよく花束を外に投げ飛ばした。


「女官長、すぐに宰相と魔術師サフィロを呼び出しなさい」


 緊迫した面持ちの王妃に女官長は慌ててその場を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ