第七十九話
「本日は女神様のためお集まり頂きありがとうございます。リリーナ号の冷却室のお陰で女神様に環礁ベリーをお供えすることが実現いたしました」
リーナが礼拝堂に設置された『お供えの祭壇』を前に挨拶をした。礼拝堂にはリーナとリーグの他に神殿長と神殿の神官たちと子どもたちが並んでいた。
「今回のお供えにはリリーナ号の皆さんもご招待しました」
礼拝堂の入口からドルナンと船長が入り船員たちも続いて入ってきた。
「環礁ベリーは乾燥させないとリフールまで持ちませんでした。乾燥させていない生の環礁ベリーをお供えする事は悲願だったと言っても過言ではありません」
リーナとリーグはドルナンたちリリーナ号の全員に感謝を伝えた。
「お供えの後にこの場での試食会を開催します。多くはありませんし環礁大ベリーはお供えとなります。それでも初めて食べるので楽しみにしてください」
リーナが試食会の開催を伝えると子どもたちの歓声が上がった。
「次回の入荷は暴風の季節もあるので当分先です。リーグが次に建造する子に冷却室を備えると言ってますのでご支援のほどよろしくお願いします」
リーナとリーグがペコリと頭を下げた。ちゃっかりしているリーナに神殿長は苦笑を浮かべた。王国に発注する必要があるので神殿長は少しだけ思案した。
「それではお供えを行います」
リーナがお供えの宣言をすると神官や子どもたちが礼を取った。ドルナンも礼を取り船長や船員たちも見様見真似で礼の体勢を取った。
神殿長が礼拝堂を眺めリーナに頷き神官たちの横に移動し礼を取った。
リーナとリーグは『お供えの祭壇』に山盛りの環礁大ベリーを積んだ大皿を置いた。二人は祭壇の前に立ち二回礼を取った。
「創世の女神様にお供え致します。この度、フェルノート王国貿易船リリーナ号の協力を受けフィリーエル環礁より生の環礁ベリーを持ち帰ることができました」
リーナは今回の成果を創世の女神に報告した。
「また、暴風を抜け無事にリフールへ帰還が叶いました。無事な航海を感謝し創世の女神様に是非とも一緒に環礁ベリーをご賞味して頂きたく思います」
航海の無事にも感謝を捧げリーナとリーグは二回拍手をして礼を取った。
祭壇に置いた環礁大ベリーたちがキラキラと煌めき小さな光の粒が周囲に散った。しばらく煌めき祭壇から環礁大ベリーは姿を消した。
煌めきの気配が消えたのでリーナとリーグは顔を上げた。そして祭壇を見て二人は目を見合わせニッコリした。祭壇に手紙が置かれていた。
「女神様からお手紙が届きました」
リーナが手紙を取り軽く黙読した。そしてクスッと笑いリーグに手渡す。
リーグも手紙の内容を確認して苦笑を浮かべた。リーナに手紙を戻した。
「環礁大ベリーは美味しかったわ。懐かしい味でした。ルクレイとヴィオナがこっそりお供えしてくれたのが懐かしいです」
リーナは創世の女神にとって初物ではないと知ったが懐かしさを感じてもらって嬉しかった。お供えを忘れずにいてくれる事はリーナにはご褒美だった。
「今回は思わずガン見しちゃってゴメンね。暴風たちまで張り切ってしまって困りました。無事に戻れて良かったわ。爆裂ココナツ水もお願いね」
最後まで読み切ったリーナは耐えきれず「プッ」と吹き出してしまった。爆裂ココナツを持ち帰った事を創世の女神は見逃してなかった。
「リーグ……爆裂ココナツをリーフにお願いね。それで一個持ってきて。あっ……環礁ベリーも運んで一袋は神殿に持ってきてね」
リーナは早速雑用をリーグに頼んだ。リーグは「任せて」と笑顔で駆け出した。
リーグが雑用している間に試食会が開催された。子どもたちの歓声で神殿はしばらく騒々しかった。ブラナン島はまだ復旧の途中だが神殿に笑顔が広がった。
リーグが戻り爆裂ココナツの爆裂を実演しココナツ水と白い塊を回収した。リーナは手早くココナツミルクスープを作った。
リーナとリーグの試食分から半分ずつ捻出し乾燥カイや乾燥カニを加えココナツ水とココナツミルクスープも付けて再びお供えした。
リーナとリーグは創世の女神と同じ献立を食べた。
リーナはニコニコしてリーグに甘えていた。冷却室を暴風の季節が終わるまでに何とかしてと無茶振りだった。リーグは「頑張る」とだけ答えた。




